認知症を持つ人との関わり②

前回は認知症を持つ人との関わり方を整理するために、
認知症の疫学について整理してみました。

認知症症状をきたす疾患は様々です。
代表的なのが、大脳皮質の病変によって発症するアルツハイマー型認知症やレビー小体型認知症です。
日本の場合、
・アルツハイマー型認知症 67.6%
・血管性認知症 19.5%
・レビー小体型/パーキンソン病の認知症 4.3%
となっています。

(引用:認知症をもつ人への作業療法アプローチ)

では、臨床でよく聞かれる
アルツハイマー型認知症とはどのような疾患なのでしょうか?
本日はアルツハイマー型認知症について整理していきましょう。

1 病態は?

アルツハイマー病は、大脳皮質連合野や海馬近傍領域を中心に神経細胞に大量のβアミロイドが沈着をきたし、
神経細胞が壊死したり、神経原線維変化を引き起こして発症する。

では、大脳皮質連合野と海馬近傍領域は脳機能の何を担当しているのでしょう?
・大脳皮質連合野:運動野と感覚野の間に介在し、空間認識や道具の扱い方、概念や言語などの高次脳機能を担当している
・海馬:大脳辺縁系の一部であり、記憶や空間認識に大きく関係する

 

(引用:日本認知症学会HPより)

この2つの領域が障害されることで、どのような症状が生じるのでしょうか?

2 症状は?

症状の特徴として

・健忘症から発症し、緩徐に進行し、未治療だと10年ほどで寝たきりにになる
・エピソード記憶と見当識障害が必ずあり、これらを背景因子として、妄想や徘徊などの行動、心理症状が現れる
・大脳皮質連合野の障害により、思考、判断、実行、注意などが障害されるが、病識を欠き、人前ではニコニコと愛想よく、言い訳を取り繕う
・初期には大脳皮質の一次野が侵されないため運動障害はなく、歩行が可能である。
(引用:認知症をもつ人への作業療法アプローチ)

となっています。
記憶や、高次機能が低下していることがよくわかります。

3 注意する点

上記を踏まえて、臨床のリハビリではどのような点に注意をするべきでしょうか?
私が重視していたのは2点です
・ 相手に寄り添うこと
・ 身体介入もしっかり実施すること

物忘れへの自覚はあり、
それにより不安や焦りの心理症状があります。
そこに対して否定的な関わりをすると興奮してしまうことが多くあります。
そのため、否定をせずに、一緒に考え、
事実を確認しつつ問題を解決していく寄り添う姿勢が重要であると考えています。

また、身体的にも歩行が可能なため、
転倒リスクが必ず生じます。
そのため、まずは転倒リスクを低くするために、
身体的な介入も重要であると考えています。

4 まとめ

いかがだったでしょう?

脳機能から見ることで、その人がどのような心理状態になりやすいのか?
が少し理解しやすくなります。
臨床で関わる時の参考になれば幸いです。

最後まで読んでいただき

ありがとうございます。

作業療法士 加藤淳

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