前回までは認知症の分類別にポイントを整理してみました。
それぞれの病態・症状を理解するだけでも、臨床での応用が効きそうですね。
では、その臨床ではどのようにプログラムを組み立て行けばいいのでしょうか?
まずは、薬物療法について整理していきましょう。
薬物療法の具体的な目的は以下の2種類となっています。
・中核症状の進行予防
・BPSDの抑制
情報としては知っているけど、どのような効果を狙っているのか?
療法士としてどう関わっていくのか?
1 中核症状に対して
中核症状に対する薬は日本では4種類が認可されています。
コリンエステラーゼ阻害薬:アリセプト、レミニール、イクセロンパッチ(リバスタッチ)
NMDA受容体拮抗薬:メマリー
コリンエステラーゼはアセチルコリン分解酵素であるアセチルコリンコリンエステラーゼの動きを阻害し、脳内のアセチルコリンを増加させます。
アルツハイマー型認知症では、アセチルコリンの合成が低下し、注意機能・記憶・学習に障害をきたすとされているため、コリンエステラーゼ阻害薬はその根拠に基づいております。
NMDA受容体拮抗薬は記憶・学習の役割をになっているグルタミン酸の受容体であるNMDA受容体の活動を抑制します。
アルツハイマー型認知症ではNMDA受容体拮抗薬が過活動になり、細胞内に過剰に流失したカルシウムイオンがシナプスの伝達の阻害や、神経細胞のアポトーシスんいつながると言われています。この過活動を抑えるためにNMDA受容体拮抗薬が処方されます。
2 BPSDに対して
BPSDに対しては症状のより多岐にわたる薬が処方されています。
症状としては、幻覚、妄想、焦燥、攻撃性、抑うつ症状、不安、緊張、睡眠障害などがあり、それに対して抗精神薬、抗うつ薬、抗不安薬、睡眠導入薬などが処方されます。
しかし、ここで大切なのが、BPSDに対しては”非薬物的介入で改善がみられない場合に薬物療法を検討する”という注意点です。
非薬物療法は認知機能訓練、認知刺激、認知リハビリテーション、運動療法、音楽療法、回想法、認知行動療法が推奨されています
3 臨床でのポイント
療法士としてのポイントはBPSDに対しての薬物療法は”非薬物的介入で改善がみられない場合に薬物療法を検討する”という点であると私は考えています。
これに対してICFの環境因子・個人因子の調査をしっかりしていく必要があります・
・その人が不穏になるのはどのような時なのか?
・その人が笑顔になるときはどのような時なのか?
しっかりと観察をしていくこと、さらに、他部門と連携をとっていくことが重要です。
この観察によりその方が落ち着いていられる環境を用意していきましょう。
4 まとめ
今回のポイントは、療法士がいかにその人を普段から観察しておくか?です。しっかりと、自分でも観察し、さまざまな職種から情報を聞いて、その人のあった対応を探していきましょう。
また、上記では説明していませんが、各薬による副作用も注意点となります。特に傾眠傾向が強くなることがありますので、そこも注意しておきたいですね。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
作業療法士 加藤淳
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