歩行再建を目指す際、病前の歩容を加味していますか?

理学療法士といえば歩行!!
というこだわりのあるPTは多いはずです。

 

私も例にもれずPTなので、歩行獲得に向けた
介入はとても楽しいし、歩行分析によって
導き出した問題点に介入した結果、

 

患者さんにポジティブな変化があった時は
いい仕事したな〜と達成感があります。

 

PTが歩行に関わる際、キーワードとして
必ず上がるのが「正常歩行」

 

多くのPTが目指す歩行再建といえば「正常歩行」
のはず。

 

正常歩行による歩行再建を目標に、
バイオメカ的な考察が繰り広げられ、
装具を用いたり、必要な関節モーメントを
獲得するためのトレーニングをすることが
多いと思います。

 

しかし、多くの患者さんで「正常歩行」の
獲得に時間を割いたにもかかわらず、
なかなか理想通りにいかないのが現実。

 

なかなか努力的な歩行から抜け出せなくて、
バランスが悪かったり、スピードがあげられ
なかったり。

 

そんなふうに行き詰まった時、どうしますか?

 

考えなければならないのが、患者さんにとって
私たちが求める「正常歩行」が、本当に効率の
良いものなのかどうか?

 

そもそも、病前に「正常歩行」してましたか?
ということ。

 

人は多様で、歩容もさまざま。

 

職場の同僚でさえ、「正常歩行」では
歩いていません。

 

重要なのは、病前の体型(姿勢)や生活様式、
仕事などの個人的因子。

 

その中でどんな風に歩いていたのか?です。

 

病気や怪我をした途端「正常歩行」を
求められても、そもそも「正常歩行」を
していないので

 

新しい歩行様式を0から学習するという
難易度が超高いことを要求されているのです。

 

病前太っていて、入院中に痩せた患者さん
なんかは特に特徴が出ます。

 

もともとガニ股歩きだったんです。

 

極端にいえば、ガニ股でお腹を前に出して、
身体を揺すって肩で風を切るような歩容です。

 

そんな歩容の方に、装具をつけてロッカーファンクション
を使った歩行を指導しても、もともと使ってない
機能ですから難しいのは当たり前なんです。

 

ですので、必ず病前の体型、仕事、生活洋式
などの背景を確認して、そこにそった歩容を
目指すこと。

 

それが患者さんにとって、快適で効率の良い歩行に
繋がります。

 

行き詰まったら試してください。
いつもより、足幅を広げる、ガニ股ぎみ、
肩から回旋を補助してみたり。

 

途端にスムーズに歩けたり、スピードが
上がったり、ダイナミックさが出てバランス
が安定したりします。

 

どの要素が患者さんにハマるかは、
事前情報からの予測と、あとは
変えるのは1つずつと決めること。

 

2つも3つも意識させると患者さんが
混乱して、逆にぎこちなくなるのと、
効果判定ができなくなるから。

 

どの要素がより重要なのか?を判断する
ためにも、1介入・1評価。

 

これを繰り返すのみです。

 

正常歩行の知識は大切です。
でも、あくまでも机上の理論です。

 

正常歩行を追い求めるあまり、
「ひとをみる」ことを忘れないように
しましょう。

 

最後まで読んでいただきありがとうございます。

理学療法士 中嶋 光秀

 

 

 

 

 

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