前回は認知症を持つ人との関わり方を整理するために、アルツハイマー型認知症について整理していきました。
臨床でのポイントとして
・ 相手に寄り添うこと
・ 身体介入もしっかり実施すること
を紹介しましたが、いかがだったでしょう?
本日はアルツハイマー型認知症の次に多いとされている血管性認知症について整理していきましょう。
1 病態は?
脳血管障害を原因とする認知症であり、DSM-5の診断基準では以下のように定義されている
A.その基準が認知症または軽度認知障害に合致する
B.臨床像は次のいずれかで示唆される血管性の特徴を有する
1 認知機能障害の発症が、1つ以上の脳卒中発作に時間的に関連する
2 障害が情報処理速度を含む複合的な注意力、前頭葉性の遂行機能に顕著である
C.病歴、理学所見、神経画像所見から、認知機能障害を十分に説明しうる程度の脳血管障害が存在
D. 症状は他の脳疾患や全身疾患で説明されない
となっています。
ここで注目しておきたいのが、障害が情報処理速度を含む複合的な注意力、前頭葉性の遂行機能に顕著という点です。
つまり、脳血管では注意力と遂行機能障害に対して療法士の配慮が必要になるということです。
2 症状は?
症状の特徴としては障害部位によって多岐に渡りますが、共通点として前頭葉機能の低下により自発性の低下などがみられます。
そのほかには
・動作の緩慢
・思考緩化
・記憶や集中力の日内変動
などがあり、病識もあることが多いため、混乱したり、悲観的になることがあります。
3 注意する点
臨床上、注意していた点としては
・身体機能低下の予防
・不安になる要因の考察
です。
脳血管障害があるため、多くの場合身体昨日の障害もあります。
その機能障害が悪化していくと、活動性が低下していき、認知機能の更なる低下を助長しかねます。
また、脳血管疾患の要因となる高血圧や糖尿病、高脂血症なども既往にあることが多く、そちらの進行予防としても活動性を維持することが重要となります。
また、心理面でも混乱や不安になることが多いため、観察の中でしっかりと
・その人がなぜ不安になっているのか?
・その要因は?
を考察し、その人が安心するような環境設定をしていくことが重要となります。
4 まとめ
いかがだったでしょう?
脳血管障害と併発しているため、身体機能へのアプローチも必要です。
しかし、前頭葉症状によりそれを拒否することも多くあります。
その場合、まずはその人が安心する環境を優先し、次に身体へのアプローチに繋げていきましょう。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
作業療法士 加藤淳
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