【作業療法士の苦手克服講座】新人向け!身体に働きかける作業療法のヒント(4)「ストレッチの活用」

作業療法で体操

身体に働きかけるシリーズも、「身体感覚」、「散歩」、「アロマ」と色々紹介してきました。

第1回の記事 精神科で身体介入をする目的とタイミングとは?
第2回の記事 精神科で身体リハを行う際の注意点とは?
第3回の記事 記憶に残るリハビリにする方法
プログラム紹介編
身体に働きかける作業療法のヒント(1)「身体感覚の活用」
身体に働きかける作業療法のヒント(2)「散歩の活用」
身体に働きかける作業療法のヒント(3)「アロマの活用」
身体に働きかける作業療法のヒント(4)「ストレッチの活用」
身体に働きかける作業療法のヒント(5)「合唱の活用」
身体に働きかける作業療法のヒント(6)「美容クラブの活用」
身体に働きかける作業療法のヒント(7)「農耕作業の活用」
身体に働きかける作業療法のヒント(8)「朗読会の活用」
身体に働きかける作業療法のヒント(9)「調理実習の活用」
身体に働きかける作業療法のヒント(10)「外来・デイケアの最適化」

 

今回は「身体感覚」と「身体機能」どちらにも介入できる「ストレッチ」を紹介します。

 

■概要を動画にしてみました^^

■ストレッチ体操プログラム

ストレッチ

ストレッチ……つまり、特定の筋肉などを意図的に伸ばすなどを通じ、身体を良い状態に保とうとする運動ですね。
リハビリテーションに限らず、怪我の予防や、健康維持、リラクゼーション目的でも行われます。
では、リハビリとして「ストレッチ体操」をするなら、何が目的となるでしょうか?

 

■身体に働きかける目的はどこに?

身体機能

リハビリとして「ストレッチ体操」を組み込むならば、どこに目的を置くのかがカギです。
一般的にも様々な効果が期待できるストレッチは、誰もが日常的に行っています。
だからこそ、明確な意図をもって行いたいですね。
でも難しく考える必要はありません。大きく分けて2つ。
「身体感覚」「身体機能」どちらに働きかけるのか?から考えていきましょう。

 

■身体感覚を回復させたい!

元気

回復期前期の作業療法目的には、「現実への移行の援助」「心身の基本的機能の回復」が挙げられます。
そこにつなげるために「身体感覚の回復」が設定され、その実現の手段として「ストレッチ体操」が選択されます。

では「身体感覚の回復」とは何を指すのか?
ざっくり言えば「身体へ意識を向けられるようになる」ことです。
「身体感覚の活用」と異なるのは、五感だけではなく「深部感覚」「ボディイメージ」に働きかけることです。

 

■心が病む=脳が疲れている?

脳が疲れる

心の病は脳の病。では脳がどう病んでいるのか? 単純化して言えば「脳が疲れた状態」です。
脳は疲れてくると、思考停止をしたがります。情報を単純化したり、周辺のゴチャゴチャしたものを取り除いて、考え方などもシンプル化させようとします。
そのなかで、情緒的な反応が遅れたり、理不尽な状況に従ったり、論理的に物事を処理できなくなっていきます。

疲れているだけなら、休んだり、その疲れの原因をどうにかすればいいですが、それでもダメな時は「治療」が必要になってきます。
そう、皆さんの目の前にやってきた方達ですね。

それを踏まえて、思考停止などで自分自身を省みることが出来ない状況を和らげつつ、自身の身体を使って「今、自分の身体がどうなっているのか?」を見つめ直す時間として使えそうなアプローチはなんでしょうか?

それが「ストレッチ体操」なんですね。

 

■ボディイメージを再獲得しよう!

気持ちいい感覚

実は「身体感覚」「身体機能」の両方同時に介入できるのが「ストレッチ体操」です。

心=脳が疲れていると、身体の使い方も小さくなり、俯き、呼吸が浅くなり、腰に負担がかかり、睡眠も不十分だから疲れも取れない。

そんな人が「ストレッチ体操」を通じて、筋肉が伸び関節を伸ばすことで姿勢がよくなり、詰まった胸も開いて深呼吸できるようになります。十分な酸素が全身に行き渡るよう血流も上がり、睡眠の状態も解消。疲れもとれていく。
そんな変化が長期的に期待できます。

もちろん短期的には「自分の身体がどれだけ伸びるのか」「伸ばす感覚がこんなに気持ちが良かったのか」「汗をかく感覚を思い出す」など、運動することで自分の身体が自分のものであると再認識できるようになっていきます。

 

■緊張がほどける時間をあなたに

リラックス

今回は「ストレッチ体操」で期待できる効果を中心にお話ししました。
「ストレッチ」の具体的な方法などは、既に皆さんが実践している方法で問題ありませんので、今回は割愛。
声がけなどで、身体が伸びている感覚を伝えていくことに注力しましょう。

普段から緊張を強いられる環境下にいることが多く、なかなか休めない人ほど、皆さんの前に患者としてやってきます。
入院でも、外来でも、デイケアでも、「身体を動かすことで心地よい感覚」が得られる時間を演出しましょう。
目的を確認して実践していただければ嬉しく思います。

 

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リハカレ認定講師 齋藤 信

 

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参考文献

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