動作分析の前に姿勢分析?〜姿勢分析の基本⑩立位バランスの予測

前回のおさらい

前回の内容はこちら↓

前回は立位の姿勢分析ははすでに背臥位と坐位の姿勢分析で終わっていますよという内容でした。
ポイントは

  1. 立位は背臥位をそのまま抗重力位にしたもの
  2. 頭頸部・体幹の振る舞いは坐位と同じはず
  3. 座位の上半身のアライメントに真っ直ぐの脚をつけると立位姿勢になるはず。
    立位になるとアライメント不良が助長されるなら、下肢機能の影響を受けているはず

というものでした。

立位バランスも座位バランスと同じ傾向?

座位バランスの分析にあたり、重視していたのは頭頸部・体幹のアライメントです。
どんな姿勢をとっているかで重心の位置が変わるので、体が回転しやすい方向の傾向が出ます。

つまり、アライメントの変化によって重心の位置が上下・前後・左右どちらに偏るかで、バランス戦略が変わってきます。

すでに坐位で上半身のアライメントからくるバランスの傾向はみえています。立位は当然その影響を受けているので下肢機能に問題がなければ坐位バランスの傾向と似通ってくるはずです。

立位バランスは坐位バランスの傾向と下肢機能に左右される。

下肢の支持性・可動性に問題がなければ、立位バランスは坐位バランスの影響を色濃く引き継ぎます。
逆に、下肢機能に問題があれば坐位バランスの傾向+下肢からの影響でバランスを崩します。

例えば、OAで膝の伸展制限(筋力or可動域制限)があるとか、片麻痺で支持が弱いor感覚が悪くて荷重できないとか。これらの条件がベースとなってバランス戦略をとっていきます。

足関節・股関節戦略もアライメントの影響を受ける。

立位バランスの戦略といえば、足関節戦略と股関節戦略です。特に足関節戦略は重要な役割を果たしています。
しかし、足関節戦略に関しては股・膝関節が伸展0度の時に一番能力を発揮しますし、膝関節が屈曲位だと機能しにくくなります。つまり、バランス戦略も姿勢アライメントに依存しています。股関節戦略は足関節戦略で補えきれない範囲をカバーするものなので、最初から股関節戦略を使ってバランスをとる患者さんがいれば、足関節戦略を使えない何かが、立位姿勢の中に隠されています。

最後に

ここまで、姿勢分析として背臥位〜立位をみていきましたが、動作分析の前のヒントとしての姿勢分析という位置づけでお伝えさせていただきました。ぜひ日々の臨床に取り入れて活用してみてください。

最後まで読んでいただきありがとうございます。
リハカレ認定講師 理学療法士 中嶋光秀

関連記事

  1. 関節可動域制限を甘くみない。〜40肩を経験して〜

  2. 人口動態をみてみると、本当にリハビリが必要なところに気づく

  3. 動作分析の前に姿勢分析? 姿勢分析の基本 番外編②〜姿勢・動作分析はなぜ必要?〜

  4. 食事動作の見るポイント③

  5. 正常動作ってなんだろう?〜パラリンピック選手の活躍を観て〜

  6. 肩関節周囲炎の評価ポイント⑤