ハンドリングを疎かにしない〜操作ではなく、動きを感じる〜

ハンドリングといえばボバースの用語でしょ?
と感じる方もいるとおもいますが、
そんなことはありません。

 

動作の介助やサポート、例えば
立ち上がりを一緒に行ったり、
装具療法で介助歩行するのも
ハンドリング。

 

つまり、患者さんが何らかの動作をする際、
療法士がサポートする場面全てが
ハンドリングになります。

 

ハンドリングはサポート方法なので
あまり重要視していない方も多いと
おもいますが、実はそうではありません。

 

ハンドリングには、【より動きやすい
身体動作に導く】という大きな要素が
あります。当然、上手い人、苦手な人が
います。

 

このハンドリングが上手い人って、一体
何を目安として動きやすい動作に導いている
のでしょうか?

 

多くの人は、ハンドリングが上手い人は
「正常動作」の知識が豊富で、その方向へ
導く技術に優れているとおもっているはず。

 

つまり、患者さんを意のままに「操作できる」
と思っています。

 

しかし、実際はそうではありません。

 

みなさん、動作介助の際、正常動作の
方向に誘導しようとして、抵抗感を感じて
うまくいかなかった事を経験しているはず。

 

それは、患者さんが動きやすい方法と
療法士が導きたい「正常動作」では
方向や力加減が違うからです。

 

重要なのは「患者さんがどうやって、どの方向に
動こうとしているのかを触れて感じる」こと。

 

ハンドリングが上手い人はこの「相手の動き」
を感じて、足りない部分をサポートする
技術に長けています。

 

動かない方向へ導く術に長けて
いるわけではないのです。

 

あくまでも、「今」の患者さんが「今の機能」で
よりよく動くためには、どこにサポートを入れると
スムーズに動けるのか?を感じとり、手を添えたり、
かつその場所を変えたり

 

つまり触れることで評価をしてます。これが本当の触診。
筋肉を触ることだけが触診ではありません。

 

ではどのようにしたら、ハンドリングが上手くなるのか?

 

まずは単純に、数稽古は必要です。
人の動きを知らなければサポートしようが無いので、
同僚・後輩など健常者同士で練習です。

 

その際に気をつけておきたいところが、
「自分の上肢に余計な力が入っていないかどうか」です。

 

相手の動きを感じるためには、自分自身に
余計な力が入っていないことが理想です。

 

ハンドリングの練習の際、
相手との距離感はどうか?(近すぎ?遠すぎ?)
自分自身の安定性は確保できているか?

 

この2つだけでも意識して関わると、
自然と手の力が抜けて、相手の動きを
感じ取りやすくなります。

 

ハンドリング練習で相手の動きを感じ取れる
ようになれば、動作の介助以外でもその技術
を応用できます

 

例えば、車椅子のシーティング。
座面の状態をどうすれば座位が安定するのか?
体幹ベルトやサポートが必要なら、どの位置で
どのぐらいの力でサポートすれば良いのか?

 

など、ハンドリングでの感覚が製品
作成にもいきてきます。

 

今まであまり重視してこなかった人は
今からでも遅く無いので、ハンドリングの
練習を始めてみませんか?

 

人の動きはさまざまだという新たな発見が
あると思いますよ!!

 

最後まで読んでいただきありがとうございます。

 

国際統合リハビリテーション協会
理学療法士 中嶋 光秀

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