「身近で知らないココロのハナシ」シリーズ。
今回から「神経性障害」をおさらいしましょう。
かつて「神経症」や「ヒステリー」と言われていたものが、今はどう変わっているのか?
うつ病の生涯有病率15%と比べると少ないものの、身近な生活やリハビリテーションの場面で遭遇することがあります。
思い出すきっかけにしてもらえたら嬉しいですね。
【まとめ記事】精神科作業療法・精神科リハビリテーションの基礎知識
・身近で知らないココロのハナシ(9)神経性障害ってなんだっけ?
・身近で知らないココロのハナシ(10)不安障害の概要とリハ介入
・身近で知らないココロのハナシ(11)強迫障害の概要とリハ介入
・身近で知らないココロのハナシ(12)ストレス関連障害とリハ介入
・身近で知らないココロのハナシ(13)解離性障害とリハ介入
・身近で知らないココロのハナシ(14)身体表現性障害とリハ介入
Table of Contents
■神経症性障害を一言で言うと?
神経症性障害は、かつて神経症と呼ばれていました。
心因性……性格や環境からのストレスなど心理的原因……に生じる精神疾患すべてを指す疾患概念と言われています。
さまざまな疾患を含んだ総称で、症候群という認識になります。
ただし、パニック症のように心因が必ずしも発症原因ではないものも含まれています。
概念は変わり続けているようですね。
■ICD-10(1992)とDSM-5(2013)
2022年にはICD-11が出てきますね。日本語訳のなかでは「○◯障害」を「○○症」とする動きなどもありますね。
精神疾患の中には可逆性(治る可能性がある)のものも多くあり、精神疾患がdisability(不可能の意味)であるかのような誤解は偏見を助長する、という意図の提案です。
更新され続けている、若干の違いがあることからも、DSM-5とどちらを見ていいのかわからなくなることもありますよね。
基本的には、所属している病院の医師に確認する。そのうえでICD-10かDSM-5かをチェックすれば良いかと思います。
分類の大項目自体は大きく変わりませんので、今回はDSM-5の分類を紹介しておきます。
- 不安症群
- 強迫症および関連症群
- 心的外傷およびストレス因関連症群
- 解離症群
- 身体症状症および関連症群
より細かい内容は次回から紹介しますね。
■作業療法でどうする?
細かくは……というか、結構な量があるので、今回は作業療法の目的などをざっくり紹介しますね。
以前もお伝えしていますが、「社会生活に戻る準備」が大きな目的です。
そのうえで、各障害にどんな目的目標をもって介入するのかをメモしておきます。
◆不安障害に対する作業療法の目的、目標
- 不安に対する対処行動の獲得
- 不安や恐怖などの症状回避
- 日常生活行為の遂行困難の改善
◆強迫性障害に対する作業療法の目的、目標
- 強迫行為の減少
- 日常生活の安定化
- 症状の軽減
- 日常生活行為の遅延の改善
◆ストレス関連障害に対する作業療法の目的、目標
- 安心して過ごせる時間の提供
- 精神内界や体験の表現
- 作業療法士による受容される体験
◆解離性障害に対する作業療法の目的、目標
- 作業活動を通じた安心できる場の提供
- 関係性の構築
- 依存心や関心を引きたいという気持ちを適度に満たす
◆身体表現性障害に対する作業療法の目的、目標
- 訴えに対して受容的、支持的態度で関わる
- 過度な依存や退行を防ぐ
- 自己愛を満たし自己表現できる場の提供
■今回のまとめ
今回は、「神経性障害」をおさらいしました。
DSM-5にあわせて5つの分類を紹介したので、次回からより細かく振り返りをします。
お楽しみに!
今回は以上となります。
随時追記や分類を増やしていきますので、皆さんも是非ご意見やご要望をお寄せください!
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本日も、最後まで読んでいただきありがとうございました。
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■ 参考資料
- 作業療法マニュアル54:うつ病患者に対する作業療法
- 標準精神医学第7版
- 作業療法学全書第三版:作業療法治療学2精神障害
- 作業療法学ゴールドマスターテキスト精神障害作業療法学第三版
- DSM-5精神疾患の分類と診断の手引き
- ICD-11概要について(厚生労働省)