【作業療法士の苦手克服講座】身近で知らないココロのハナシ(11)強迫障害とリハ介入

強迫障害

身近で知らないココロのハナシ」シリーズ。
神経性障害」のおさらい中です。

なかでも、今回は「強迫症および関連症群」に注目します。

前回までの内容が知りたい方は以下のリンクをチェックしてくださいね。

【まとめ記事】精神科作業療法・精神科リハビリテーションの基礎知識
身近で知らないココロのハナシ(9)神経性障害ってなんだっけ?
身近で知らないココロのハナシ(10)不安障害の概要とリハ介入
身近で知らないココロのハナシ(11)強迫障害の概要とリハ介入
身近で知らないココロのハナシ(12)ストレス関連障害とリハ介入
身近で知らないココロのハナシ(13)解離性障害とリハ介入
身近で知らないココロのハナシ(14)身体表現性障害とリハ介入

 

■強迫症および関連症群

臨床的に有用であることからDSM-5でひとつの大分類とされました。

この疾患群の特徴は以下通りです。

強迫観念および/または強迫行為の存在、あるいは”あることへの没頭、あるいは没頭に伴う繰り返し行為や心の中の行為”である。
特に、強迫症(OCD)以外の疾患では、主に身体に焦点をあわせた頻回の繰り返し行為とそのその行為を減らそう、あるいは止めようとする反復的な試み。

引用:標準精神医学

強迫症以外……どんなものがあるか列挙しておきますね。

      • 強迫症
      • 醜形恐怖症
      • ためこみ症
      • 抜毛症
      • 皮膚むしり症
      • 物質・医薬品誘発性強迫症および関連症
      • 他の医学的疾患による強迫症および関連症
      • 他の特定される強迫症および関連症
      • 特定不能の強迫症および関連症

では、これらをもう少し詳しくみてみましょう。

 

■DSM-5の分類より

強迫症

強迫観念、強迫行為のどちらか、または両方が存在するもの。

        • 強迫観念:反復的で持続的な思考、衝動、あるいは心像で、侵入的で好まないものとして体験される。強い不安や苦痛を引き起こす。
        • 強迫行為:強迫観念による苦痛や不安を予防したり、緩和するために明らかに過剰に反復的に行うもの。

醜形恐怖症/身体醜形障害

身体的な外見に関する1つ以上の欠陥または欠点への過剰なとらわれ。

ためこみ症

現実的に価値がないにもかかわらず、物をため込み、捨てられないと言う特徴がある。理由として、物を保存しておきたいと言う強い衝動、あるいは捨てることに対する著しい苦痛のためと言われている。

抜毛症

自分の体毛を反復的に抜くことで、その部位の体毛が喪失してしまう。この行為を止めよう、減らそうと何回も試みているができない、と言う特徴がある。

皮膚むしり症

自分の皮膚を反復的に掻きむしることで、その部位が損傷してしまう。この行為を止めよう、減らそうと何回も試みているができない、と言う特徴がある。

その他

以下のものは分類名通り。薬物の影響か否か、明らかな原因があるか否か。

        • 物質・医薬品誘発性強迫症および関連症
        • 他の医学的疾患による強迫症および関連症
        • 他の特定される強迫症および関連症
        • 特定不能の強迫症および関連症

 

■作業療法でどうする?

今回も分類だけでも結構な量でした。
改めて、作業療法で何をしているのかを紹介します。

何度もお伝えしていますが、「社会生活に戻る準備」が大きな目的です。
そのために、少しずつ具体的に考えていく流れとなります。

◆強迫性障害に対する作業療法の目的、目標

        • 強迫行為が減少し、日常生活をスムーズに送ること。
        • 症状の軽減。
        • 日常生活行為の遅延の改善。

◆強迫性障害の作業療法で行うこと

        • 強迫観念の起こりやすい活動を避ける。
        • 対象者の評価を行い、個人に合わせて内容を変える。
        • 工程が決まっていて、複雑な内容は、確認が必要になるため、強迫を誘発しやすいので避ける。
        • ルールの少ないもの、ゆるい繋がりのなかでおこなえるものを選ぶ。
        • 認知行動療法。

◆作業活動、アクティビティ例

        • 散歩(汗をかかない程度、院外の場合、休憩場所の事前確認がポイント)
        • お茶会(段階的に認知行動療法セッションにつなぐ)
        • 体操(軽く汗をかく程度、ラジオ体操、ストレッチ、ヨガなど)
        • 認知行動療法(作業時の対応に含める:不安時に何も起こらないことを繰り返し自信をつける、暴露法、反応妨害法、暴露反応妨害法)

◆作業療法時の注意点

        • 適切な距離を保つ。
        • 近すぎず遠すぎず。
        • 強迫行為を制ししない。
        • 強迫行為を指摘しない。
        • 辛さを受け入れ、支持的に接する。
        • 症状にはスタッフで一貫した対応を取る。

 

■今回のまとめ

今回は「強迫症および関連症群」のおさらいをしました。

作業療法の具体的なプログラムはオーダーメイドでその方とともに作っていくことになりますね。

不安障害やその他の症群と共通している介入法は認知行動療法であることからも、認知行動療法のまとめも必要になりそうですね。
ちなみに、ソクラテスメソッドが私は好んで使っていた気がします。

是非、皆さんのご意見もくださいね。

 

今回は以上となります。
随時追記や分類を増やしていきますので、皆さんも是非ご意見やご要望をお寄せください!

具体的な質問やご相談、こんな記事をお願い!
という声がございましたらいただければ、リハビリカレッジの公式LINEとお友達になって、トークでコメントをくださいね^^
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本日も、最後まで読んでいただきありがとうございました。

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リハカレ認定講師 齋藤 信

 

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■ 参考資料

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