Table of Contents
【前回までの内容はこちら】
パーキンソン病のリハビリテーション①〜疾患の機序を知ろう!
https://iairjapan.jp/rehacollege/archives/3792
パーキンソン病のリハビリテーション②〜薬物療法の役割とセラピストの目〜
https://iairjapan.jp/rehacollege/archives/3933
パーキンソン病のリハビリテーション③〜大脳皮質-基底核ループ①
https://iairjapan.jp/rehacollege/archives/4173
パーキンソン病のリハビリテーション④大脳皮質-基底核ループ②〜運動ループ〜
https://iairjapan.jp/rehacollege/archives/4271
パーキンソン病のリハビリテーション⑤〜運動療法って何をどうするの?①〜
https://iairjapan.jp/rehacollege/archives/4312
パーキンソン病のリハビリテーション⑥〜運動療法って何をどうするの?②〜
https://iairjapan.jp/rehacollege/archives/4363
パーキンソン病のリハビリテーション⑦〜運動療法って何をどうするの?③感覚入力のヒント〜
https://iairjapan.jp/rehacollege/archives/4398
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7回にわたりパーキンソン病のリハビリテーションについて色々お話ししてきましたが、
実際問題、皆さんが一番気になるのは「リハビリテーション(運動療法)の効果」ではないでしょうか?
緩徐進行性疾患という現実
パーキンソン病に限らずですが、進行性の難病のリハビリテーションを行うにあたり必ずぶつかる壁は、
どんなに介入しても症状は進行してしまうというジレンマです。
パーキンソン病も緩徐進行性とは言われていますが、その進行度合いも人それぞれ。
早い人も遅い人もいます。ですが、必ず進行して行きます。
家で生活できていた人が歩行が困難になり、リハビリと薬物療法で一時的に改善してもいずれ歩行ができなくなり
寝たきりに。私もそのような患者さんを過去に担当していました。
そのかたは、年齢も若く診断がついたのがかなり早期だったので、外来リハでバルーンを使った運動や野球をやったり、
趣味の絵手紙をいただいたり、診断がついた中でもQOLを維持出来てました。
数年後、歩きにくくなったとのことで入院するようになり、出会ってから10数年経った今は寝たきりの状態です。
その間、当時考えつくアプローチは全て試しましたし、Drにも相談を持ちかけたりもしました。
でも、結果は寝たきりの状態です。
何を持って運動療法の効果と捉えるか?
理学療法評価の中でも、数字として経過を追うための基本的なものはいくつかあります。
ですが、月・年単位で追っていくと必ず下がっていきます。
では、私たちが行うリハビリテーションは意味がないのか?と言われるとどうでしょうか。
長期的にみれば低下していくADL・QOLも、短期間の場面場面で切り取るとそれなりの成果は
出せているはず。それは皆さんも日々の臨床で手応えがあるはずです。
つまり、パーキンソン病そのものの進行は止められなくても、リハビリテーション(運動療法)による
運動機能や、ADL、QOLの維持・向上に短期的には関わっているはずです。
新たなアウトカムの情報
先日、京都大学のHPにてパーキンソン病に対する長期の運動効果について国際学術誌「Neurology」
へのオンライン掲載と、米国神経学会からもプレスリリースされました。
パーキンソン病における運動習慣の長期効果を確認 -進行抑制に光明、活動の種類により異なる効果-
https://www.kyoto-u.ac.jp/ja/research-news/2022-01-13
https://www.kyoto-u.ac.jp/sites/default/files/2022-01/20220113-tsukita-56bccef6f0e1ddb0bb0724b2a7e916ec.pdf
この発表は私たちリハビリテーション従事者にとっては朗報であり、今までの介入も決して報われないものではない
という一つの証明になります。
論文の詳細はNeurologyを購入しないと見れないようですが、少なくとも、運動自体が進行抑制や、ADL・QOLの長期的維持に
貢献できている可能性を示してくれています。
また、進行性の疾患としては特に難病であるALSを抱えた方も生活を工夫しながらリハビリを続け、積極的に活動されている
方々もいらっしゃいます。
https://www.facebook.com/moritake.ota.9
https://www.facebook.com/profile.php?id=100006833852910
私たちも進行性疾患と諦めず、目の前の症状をしっかりと見据え、克服するための様々な工夫と将来的なビジョンを持ちながら、自信を持ってこれからも関わっていきましょう。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
リハカレ認定講師 理学療法士 中嶋光秀