【作業療法士の苦手克服講座】作業療法レシピ集(04)ストーリーネタの例を紹介!

作業療法レシピ集

作業療法士の苦手克服講座」新シリーズ「作業療法レシピ集」です。

【まとめ記事】精神科作業療法・精神科リハビリテーションの基礎知識
*アクティビティの構築や概念、作成例、領域外の案などをまとめています。
前回まで
作業療法レシピ集(01)作業療法レシピ集ってどう?
作業療法レシピ集(02)ネタ切れせずに毎週集団レクを続ける方法
作業療法レシピ集(03)集団レクリエーションのバリエーションを増やす方法
作業療法レシピ集(04)ストーリーネタの例を紹介!

今回は「ストーリーネタの例」を紹介します。

 

■お知らせ:アレンジ歓迎!最初の一歩を踏み出すためのレシピ集を作りませんか?

ということで、この「作業療法レシピ集」シリーズでは、

      • 困った時のヒントに
      • 最初の一歩を踏み出す勇気の一助に
      • アレンジしてくれることを期待して

みなさんの行っているアクティビティやアイデアの断片を集め、レシピ集を作っていこう!としている次第です。

とはいえ、全く何のレシピも無いのでは、面白くありませんね。
そこで、まずは筆者の持ちネタや思考回路を紹介していきますね。

 

■前回の振り返り

前回、集団レクリエーションのバリエーションを増やす方法として、「季節ネタ」、「時事ネタ」、「物ネタ」を紹介しました。
リハビリテーションとしての目的を忘れてはいけませんが、発想次第で無限大にバリエーションが増やせそうですね。
実際にやってみた方は是非以下の投稿フォームからシェアしてくださいね^^

なんでも投稿フォーム

 

■ストーリーネタの例を紹介

前回割愛した「ストーリーネタ」について紹介します。
「季節ネタ」、「時事ネタ」、「物ネタ」と比較して、準備時間も必要で、難易度も高めです。

どんなストーリーを題材に使うか、ストーリーを主にするか従にするかでも変わってきます。
イメージもつけづらいかな、と思いましたので、先日「与話情浮名横櫛」……そう「お富さん」について動画で解説しました。
まずはこちらをご覧ください。

■このネタで何がしたかったのか?

お富さんの例でそのままお話ししますね。
「お富さん」はカラオケや音楽教室などで、患者さんからリクエストも多く、毎週のように歌っていました。
もちろん他の歌謡曲などもありましたが、ひとつ悩ましいことがありました。

1週間前に歌った曲名など覚えていなかった。

その時楽しむために歌っていたと言えばその通りで、目的には合致しています。
ですが、常同的に歌うだけで、単にメロディーをなぞっているだけではないのかな?
入院中で、日々の風景や生活パターンも大きく変わらず、新しい刺激が少ない生活。
新しい刺激よりも、親しみのある過去の記憶を反芻する日々。

だったら、過去の記憶でも、より周囲の人と交流する機会となり、また若かりし楽しかった記憶から、本人も忘れていた過去の体験を思い出すきっかけとならないか。

そんな、思い出や心に刻まれた印象や当時の感覚を呼び起こすことで、今を生きる活力につなげる、あるいはざっくり脳の活性化になれば、と当時は考えていました。

 

■このネタで何をしたのか?

「お富さん」の歌詞は、読めば雰囲気も分かりますが、聴いただけではよく分かりませんよね。
そこを逆手にとって、わざと間違えた解釈をリーダーがして見せます。

OT「粋なクロベエ 神輿を待つに……でしたっけ?」
患者「違うわよ(怒)」

といった具合にです。

そこから患者さんに歌詞を訂正してもらいつつ、「なるほどそういう歌詞だったのですね……」と進めるもよし。
「わかってますって!」と正しい意味や情景を説明するもよしです。

記憶の補助として寸劇を交えながら歌詞をなぞり、一つの曲をじっくりと紐解き、関心を惹きつけながら物語の様子を再現していく。

これらを通じて、本人も忘れていた記憶や体験を思い出すきっかけとしました。
また、更に1週間後にこの日に何をしたのかを確認することで、ただ歌うだけの回と寸劇を交えた回との覚えていることの違いを確認しました。

(「もっとたくさん歌いたかったよ」という感想が出たのはちと想定外というか、まぁそうだよね、と思ったというか)

 

■他にもあるの?

今回は「お富さん」と寸劇を例にしましたが、「赤城山」や「金色夜叉」などもおすすめです。
とはいえ、少し準備が大変ですし、もっとお手軽にストーリーネタを入れる方法もあります。

それは、「季節ネタ」とミックスさせる。

これからの時期ですと……

        • 端午の節句と金太郎
        • 衣替えと学生時代
        • 七夕と織姫彦星

などはいかがでしょう?
今から準備を始めれば、6、7月は間に合いそうですよ。

 

■まとめ

実はストーリーネタには思い入れがあります。
僕自身、物語が好きですし、物語り……Narrative based Medicineなどは、作業療法のなかでも用いられる考え方です。
人は物語に惹かれたり、自身の物語を物語ることで癒されることもあります。
今回は集団レクリエーションに関連して「ストーリーネタ」を紹介しましたが、「ストーリー:物語」や「ナラティブ:物語り」にも話題を広げていきたいとウズウズしています。
もし、興味が湧いた方がいましたら、気兼ねなくお声がけくださいね。

 

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本日も、最後まで読んでいただきありがとうございました。

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リハカレ認定講師 齋藤 信

 

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■ 参考資料

 

 

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