前回の内容はこちら
パーキンソン病のリハビリテーション①〜疾患の機序を知ろう!
https://iairjapan.jp/rehacollege/archives/3792
パーキンソン病のリハビリテーション②〜薬物療法の役割とセラピストの目〜
https://iairjapan.jp/rehacollege/archives/3933
パーキンソン病の機序と薬物療法について前回までざっとお話していきました。
今回は、機序の部分で重要となる、大脳皮質-基底核ループについて。
大脳皮質-基底核ループ
大脳皮質-基底核ループは上図で示すところの、大脳皮質→基底核→視床→大脳皮質をめぐるループです。
この大脳皮質-基底核ループは大きく4つに分類されており、それぞれが独立的にではなく、並列的に同時進行で働いています。
運動系ループでは基底核からの出力によって運動プログラム作成中の運動の抑制、運動の開始、終了などを担っています。
眼球運動ループは眼球運動に(サッケードなど)関与しています。
前頭前野ループは認知情報や記憶、ワーキングメモリ活⽤し、意思の発動や⾏動計画、注意、社会的⾏動などの⾼次脳機能の発現に関与し、また推論や⽬標に対する⾏動など遂⾏機能に関与しています。
辺縁系ループは行動の動機づけや情動に関与しており、前頭前野ループとともに高次脳機能や精神活動に関与しています。
4つのループは抑制系出力に支配されている
つまり、これら4つのループの機能が抑制系出力でコントロールされているという前提に立つと、ドーパミン不足による基底核の機能障害が起きて抑制系出力が増えると(パーキンソン病など)、運動全体の低下(無動など)、高次脳機能や精神機能が低下して抑うつ傾向や自発性の低下などが起こったりすることが容易に想像つくと思います。
このように、脳の機能がわかると、障害を受けた部位によってどのような症状が出る可能性があるか?がわかってきます。
今ある症状が、リハビリテーションで回復可能なものなのか?、そうではないのか?、薬はどこに作用しているか?などがみえてきます。
次回は運動ループについて少し掘り下げていこうと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
リハカレ認定講師 理学療法士 中嶋 光秀