患者理解を深めるために、医療の物語性を考えてみよう。

医療の物語性

あなたは「医療の物語性」という言葉は聞いたことがありますか?

医療従事者の認識では、医療を提供する際のプロセスや、医療行為の流れをさす言葉です。
ですが、また違った意味もあります。

人生の物語」です。

 

■ well-being(ウェルビーイング)

作業療法の定義にもあるように、

作業療法は、人々の健康と幸福を促進するために、医療、保健、福祉、教育、職業などの領域で行われる、作業に焦点を当てた治療、指導、援助である。作業とは、対象となる人々にとって目的や価値を持つ生活行為を指す。(日本作業療法士協会)

健康で幸福……最近よくきく言葉の「well-being(ウェルビーイング)」もそうですね。

人は、それぞれ感じている価値が違います。
その価値に気づいている人もいれば、いない人もいる。

それぞれが人生の主人公であり、人生の物語を紡いで生きています。
リハビリテーションを業とする以上、その人の物語を健康で幸福なものであるよう促進する支援をしていくことになります。

 

■ 健康の定義

1948年の世界保健機関 (WHO) 憲章における定義:
「健康とは、病気でないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態にあることをいいます。(日本WHO協会訳)」
https://japan-who.or.jp/about/who-what/identification-health/

健康と幸福を促進する支援をする、その手段としての作業療法や、リハビリテーションがあると考えています。

あなたにとって、健康とは何でしょう。

なかなかに難しい質問かもしれませんね。
でも、時折考えてみませんか?

 

■ 人生の物語(り)に関わる

物語(り)、つまり「物語」と「物語り」があります。
僕たちは、リハビリテーション専門職として、物語と物語りを使い分けています。

ざっくり紹介すれば、

      • 完結していたり、切り取られ編集された物語(story)。
      • 人と人との対話で新しい解釈を生み出す対話の物語り(narrative)。

もっと別な言い方をすれば、「事実と解釈の使い分け」、「統合と解釈」です。

でも、それは手段。

目的は「患者さんの生活が本人にとって価値あるものになること」ですね。
もっと簡単に言えば「患者さんが望む生活が送れること」です。

そのために知らず知らずのうちに使いこなしています。

 

患者さん自身も気づかない根本原因や、そもそも原因らしい原因の存在しない病など、ネガティブな情報を書き換えることで、今を受け入れ、日々を自分らしく生きていくことができる。

リハビリテーションによる支援として、統合と解釈をするにも、今回の物語(り)の要素を加えてみてはいかがでしょう?

 

 

今回は以上となります。
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リハカレ認定講師 齋藤 信

 

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