パーキンソン病のリハビリテーション①疾患の機序を知ろう!

パーキンソン病のリハビリテーション

今回からパーキンソン病のリハビリテーションについてのシリーズになります。

神経難病の中でも比較的ポピュラーなパーキンソン病ではありますが、緩徐とはいえ進行性の疾患のためリハビリテーションに難渋されている方は多いと思います。

代表的な介入方法として、聴覚誘導や視覚誘導性の歩行練習(メトロノームの音に合わせて、線を跨ぐ等)があります。

しかし、「なぜ聴覚誘導や視覚誘導がパーキンソン病の歩行に一定の効果があるのか?」、「それ以外で何か介入するすべがあるのか?」、そもそも、「評価・仮説・検証のプロセスを踏んでいるのか?」など、パーキンソン病のリハビリテーションについて曖昧にしていることも多くあると思います。

そこで今回は、まずはパーキンソン病ってなぜ起きるの?というところから学んでいきたいと思います。

パーキンソン病は大脳基底核病変である。

パーキンソン病の定義としては、「中脳黒質緻密部のドーパミン神経細胞の脱落・変性によるドーパミン不足からくる運動症状と、レビー小体の広範囲の蓄積による非運動症状を呈する、緩徐進行性の疾患である」とされています。

ポイントは黒質緻密部から出るドーパミンがどこに作用しているか?にあります。
その場所が、大脳基底核にある線状体という場所になります。

大脳基底核は視床と脳幹に対して抑制系出力をする部位です。大脳基底核が促通されると、抑制系出力が増えるので、視床、脳幹が抑制されます。

パーキンソン病のように、ドーパミンが不足すると、線状体からの作用がうまく働かなくなるので、大脳基底核の活動は活発になります。
すると、視床と脳幹の抑制が強くなるので、視床→大脳皮質にいくルート(大脳皮質-基底核ループ)や基底核-脳幹系(歩行リズムや筋緊張の調整)が抑制され、運動自体が発現しにくくなったり、筋強剛や無動を引き起こしたりします。

まずは簡単な脳の機能解剖と大脳生理学を知るだけでも、パーキンソン病でなぜ4大症状が出るのか?という疑問を解決することができます。
(全てではないです)ここを足ががりにすることで、患者さんがうまく運動できないのは、パーキンソン病の症状のせいなのか?2次的な運動器の問題なのか?等分けて考えることもできるようになっていきます。

脳の機能となると皆さん遠ざかりがちになりますが、簡単な模式図で簡単に理解するところから始めてみましょう。

最後まで読んでいただきありがとうございます。
リハカレ認定講師 理学療法士 中嶋 光秀

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