前回から始まった「うつ病のリハ介入と対応」シリーズ。
・身近で知らないココロのハナシ 動画まとめ記事
・身近で知らないココロのハナシ(1)うつ病になりかけた話
・身近で知らないココロのハナシ(2)うつ病のおさらいをしよう
・身近で知らないココロのハナシ(3)うつ病の治療には何がある?
・身近で知らないココロのハナシ(4)うつ病のリハビリ手順
・身近で知らないココロのハナシ(5)うつ病のリハビリ3つの方向性
今回は「うつ病のおさらい」をします。
そもそも「うつ病」ってなんだっけ?
そんなお話になります。
*次回以降、もっとこんな話をしてほしい!と言う話題がありましたら、以下のフォームからお知らせください^^
■あなたはうつ病かもしれない!簡易診断してみよう!
みなさん、PHQ-9はご存知ですか?
うつの診断補助ツールとして広く使われているものです。
- 物事に対してほとんど興味がない、または楽しめない。
- 気分が落ち込む、憂うつになる、または絶望的な気持ちになる。
- 寝付きが悪い、途中で目がさめる、または逆に眠り過ぎる。
- 疲れた感じがする、または気力がない。
- あまり食欲がない、または食べ過ぎる。
- 自分はダメな人間だ、人生の敗北者だと気に病む、または自分自身あるいは家族に申し訳がないと感じる。
- 新聞を読む、またはテレビを見ることなどに集中することが難しい。
- 他人が気づくぐらいに動きや話し方が遅くなる、あるいはこれと反対に、そわそわしたり、落ちつかず、普段よりも動き回ることがある。
- 死んだほうがましだ、あるいは自分を何らかの方法で傷つけようと思ったことがある
これらの質問に対し、0~3点をつけていき、その合計で評価します。
「うつ病症状レベルの評価」は以下の通り。
・合計点「0~4点」 :症状レベル「なし」
・合計点「5~9点」 :症状レベル「軽度」
・合計点「10~14点」:症状レベル「中軽度」
・合計点「15~19点」:症状レベル「中軽度~重度」
・合計点「20~27点」:症状レベル「重度」
です。
ファイザー社が著作権フリーでPDFデータを配布していますので、是非こちらからダウンロードしてチェックしてみてください。
(PHQ-9 日本語版 元データファイザー社)
■うつ病ってどんな病気?
先の診断はどうでしたか?
DSM-5より、うつ病の診断基準は「抑うつ気分、興味の喪失が二週間以上続いていること」とあります。
「あれ?自分、結構まずいのでは……」
と思った方もいるのではないでしょうか?
もちろん、身近な人の様子を見て思った方もいるでしょう。
今回のシリーズで紹介する「うつ病」は、「うつ病/大うつ病性障害」のことです。
いわゆる「躁うつ病」、「双極性障害」の「躁状態のエピソード」がなく、「抑うつエピソード」のある病気です。
■抑うつエピソードって何?
標準精神医学では、抑うつエピソードの基本症状として、
抑うつ的な気分と、何をしても興味・関心や楽しさが感じられなくなってしまう状態の2つである。
と言っています。
抑うつ気分として、患者さんは「気が滅入る」「悲しい」「くよくよする」「希望が持てない」などと言ってきます。実際よく訴えられます。
また観察可能なものとして、表情が暗く沈んでいる、俯きがち、涙もろいなどがあります。
興味関心喜びの喪失では、以前好きだったり楽しみだったものに興味が持てず、楽しみも無くなってしまう状態です。仕事が学業に関心が持てなくなります。集中できなくなった、と訴える人もいますね。
他にも、「体重や食欲の変化」「睡眠の変化」「精神運動性の焦燥もしくは抑制」「疲労感または気力の減退」「無価値感あるいは自責感」「思考や集中力の減退あるいは決断困難」「自殺念慮、自殺企図」その他、不安、性欲減退、身体の痛み、発汗、便秘などの自律神経症状を訴える方もいます。
仕事でストレスが溜まると結構出てきてしまいますね。
■どうしてうつ病になるのか?
どうしてうつ病になるのか?と患者さんに質問される事ってありますよね。
その時、何と答えますか?
標準精神医学で紹介されている「うつ病を説明する際に用いる疾病モデルの一例」では、以下の図で示されています。
そして医師が指針とする回答はこんな感じです。
ストレスなどをきっかけとして「脳の機能不全」が起き「否定的なものの見方」をするようになり「悪循環が起きている」から。
「怠けている」とか「やる気」などの精神論ではなく「脳の機能不全」、「脳の誤作動」など、「脳の病気」であることを伝えます。
■うつ病の治療はどんなことをするのか?
では、うつ病の治療として行われるのは、どんなものになるか……
介入は大きく4つに分けられます。
- 休養
- 薬物療法
- 環境調整
- 精神療法
これら4つです。
先の図で出ているものに当て嵌めればこのようになります。
- ・脳の休息と抗うつ薬(薬物療法)
- ・睡眠の調整(休養)
- ・周囲のサポート(環境調整)
- ・認知行動療法(精神療法)
- ・優先順位をつける(精神療法)
次回はこれら治療介入について踏み込んでみましょう!
■まとめ
- PHQ-9でうつ病の簡易評価をしてみよう。
- うつ病と双極性障害(躁うつ病)は別。
- 抑うつ気分と興味関心喜びの減退が出てきたら要注意。
- 基本的に脳の機能不全が起きる脳の病気。
- うつ病4つの治療方針は休養、薬物療法、環境調整、精神療法。
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本日は、最後まで読んでいただきありがとうございました。
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■ 参考資料
- 作業療法マニュアル54:うつ病患者に対する作業療法
- 標準精神医学第7版
- 作業療法学全書第三版:作業療法治療学2精神障害
- 作業療法学ゴールドマスターテキスト精神障害作業療法学第三版