■ある理学療法士の体験
理学療法士である彼は、いつも通り新しい患者さんの疾患別リハのオーダーを手にしました。
でも、いつもと違う事が一つ。
―既往歴:統合失調症―
『うわ、ヤバい』
統合失調症の既往歴があり、ビビりまくったそうです。
・統合失調症って妄想とか幻聴があるんだよな。
・計画してもその通りに進まないんじゃない?
・俺のリハビリ……通用するのか?
色々と思い悩んでしまったそうです。
そして、直接お会いした初日……
「こんにちは、よろしくおねがいします」
「……こんにちは。担当になりました◯◯です。よろしくお願いします」
患者さんから笑顔で挨拶をされ、拍子抜けしてしまいました。
『なんだ、会ったらメチャメチャ普通の人じゃん、ビビった時間返せ』
でも、それがボタンの掛け違いの最初でした。
リハビリはいつも通りに進み、軽い雑談も普通。
少し困った表情で黙ってしまう事もあるけど、大きな問題もなくリハは終盤に。
そしてとうとう彼はやらかしてしまいました。
「もうすぐ退院ですね。ご家族の元に変える予定ですか?」
「家に帰ったら何かしたいことってあるんですか?」
その時、彼は患者さんのスイッチを押していた事に気づきませんでした。
翌日、病棟の看護師から急な状態悪化の連絡。
家族に電話をしながら怒りだし、ガチャ切り。
後ろを通りかかった別な患者さんに言いがかり。
怒鳴り散らしあわや喧嘩に……
一体、なぜ?
普通に話をしていたじゃないか……
さて、このエピソード。
あなたにも心当たりはありませんか?
最初に不安に思っていた「自分のリハビリが通用しないのでは?」というポイントではなく、何気ないやりとりのなかで、患者さんは破綻してしまいました。
この何気ない部分が、統合失調症の方との関わりの中で大切なポイントとなります。
この教材では、あなたが今行っているリハビリの内容を変える事なく、患者さんとの対応を円滑にしていくためのポイントを紹介します。
■みんな対応に困っていた?
2020年4月より、精神療養病棟での疾患別リハビリテーションが始まりました。
訪問の現場でも在宅で統合失調症の既往がある方が増えてきました。
前後し、理学療法士や言語聴覚士の皆様から「対応に困っている」との相談が増え、作業療法士の皆様からも「臨床実習以来で情報のアップデートが必要だ」との相談がありました。
身体障害領域の方はあまり知らないかもしれませんが、精神科では統合失調症に関して、あまり積極的な介入をしません。 理由は「患者さんのペースを乱し、安定した状態の破綻を招く」からです。 そのため、「困った」の解決の仕方は、直接的なアプローチを行う身体障害領域とはイメージが異なるかもしれません。
■今行っているリハビリ内容を変える必要はありません!
実際に皆さんのお話を聞いてみると、
「リハビリ介入の姿勢が、いわゆる一般の方と全く違うこと」で、対応に困っている方が多くいました。
確かに、病気を教科書の内容だけで理解していると、その影響で起きているご本人の特徴的な行動とつながりが分らなくなりますよね。
ですが、あなたが今やっているリハビリを変える必要はありません。
ちょっとした対応のポイントをおさえておくだけで大丈夫です!
今回のセミナーでは、そのちょっとしたポイントをお伝えします!
この機会に情報のアップデートをしていませんか?
■統合失調症は内容が幅広く複雑!
とはいえ、統合失調症は、病態の内容が幅広いだけではなく、非常に複雑です。
講義を行うにしても、病態の説明だけで1日かかるほどです。
そこで今回、しっかり学習してもらうために、オンラインだからこそできる講義方法を取り入れる事にしました!
〈事前学習eラーニング配信!〉
*テキストの一部を公開
各教材ごとに受講者のみが投稿ができる質問掲示板があります。
学んだ内容をアウトプットすることで、より自分の困ったにフォーカスして受講する事ができます!
■講義詳細
受講によって手に入るもの:
・統合失調症の概要が学べる。
・統合失調症の行動に対する対応が学べる。
・リハビリテーションの介入のタイミングとその留意点が学べる。
内容:
①「統合失調症総論」
②「病態の理解とその対応」
1.疾病概要の確認
2.再発させない対応
3.リハビリテーションとしての姿勢
4.質疑応答
③「統合失調症のリハビリテーション総論」、「文献紹介」
④「行動の特性とリハ介入時の留意点」
1.前回の確認と追加講義
2.特有の行動とその基本対応
3.リハ介入時の留意点
4.質疑応答
■講師
リハカレ認定講師 作業療法士 齋藤 信
資格:
・作業療法士
・セロトニントレーナー
精神科作業療法に十余年従事。そのなかで、医療の質向上活動と、精神科における身体介入の実践、脳科学の要素を取り入れたActivityの提供を行なってきた。
一般社団法人 国際統合リハビリテーション協会(IAIR)理事を経て、オンライン教育の可能性を模索する。 「医療の物語(り)性」、「遠隔リハビリテーション」を独自に研究中。
2020年現在、YouTubeで「Hand’s Off アプローチ」や「脳科学作業療法」、「患者との関わり方のヒント」など動画講義を毎朝開催中。10月13日時点で130講義を配信。
特に患者、クライアントの持つ人生の物語をリハビリテーションの中でより良いものに書き換える支援方法に注力している。
■セミナーで寄せられた声
- 精神科に従事しているものではないですが、たまにその様な既住歴ある方もいるので貴重なお話しを聞けてよかったです。
- 統合失調症の方を担当させていただき、対応に大変困っていたので今後、急性期でも精神疾患について学んでいかないといけないな、と改めて思いました。とても勉強になってます。ありがとうございます。
- わかりやすい説明を大変ありがとうございました。今回の説明の中で一人の方はぴったり当てはまるなぁと思い、対応についても参考にさせていただきました。
- セラピストの責任と緊張感、仕事に向き合う姿勢を感じる事ができ、刺激になりました。
- わかりやすい統合失調症の方への対応の仕方を教えてくださり、ありがとうございました。
実際、業務の中で直接関わりのない精神分野ですが、これから関わりのある可能性がある人たちでもあるため、とても参考になりました。 - こういうのが苦手だからこうしていくと良いと提示されていたことで、患者様に対応する際にそのことを意識して声かけリハビリ指示ができました。また、苦手なことを理解したうえで変化のあるリハビリをする時に不穏など起こるかもと心構えができ、いざ不穏が起こってもこのようなことが苦手だからこうなるとわかり寄り添ってリハビリができました。
- 私が臨床で働いていた時に、もっと考慮して対応できていたら、もっと結果が違っていたのではないかと、今となってはすごく後悔しております。
- 訪問リハビリでは選択肢を提示しながら支援をしていく部分も多くありますが、それが混乱を招く恐れがあるということが分かり、大変勉強になりました。
などなど、一部を紹介させていただきましたが、皆様からアツいメッセージをたくさんいただきました。
(講師の齋藤が順番に返信しております。追加で気になった事はまたメッセージをくださいね)
今回の講義については、オンラインだからこそ出来る事前学習やフォローアップ、ディスカッションなどの形式を採用しています。
特に後半はみなさんの困っていることにフォーカスして、臨床現場に繋がるように講義内容も微調整することになると思います。この機会に、積極的に「分からない」を解決していきましょう!