【作業療法士の苦手克服講座】身体障害になぜ集団プログラムが必要なのか?[OTが伝える集団レクの仕組み](03)

身体障害と集団療法

前回まで、「Activityの意味と現場活用」と「作業面接の価値」についてお話しました。
今回は「身体障害になぜ集団プログラムが必要なのか」をお話します。
作業療法士に限らず、個別リハにない価値を発見できます。
理学療法士、言語聴覚士のみなさんも是非チェックしてくださいね^^

 

身体障害になぜ集団プログラムが必要なのか?今回お伝えするポイント!

    • 1、喪失体験から立ち直り、新たな生活の再建に大きな効果がある。
    • 2、障害の受容過程にあわせた介入をする。
    • 3、自信を取り戻せば、生活を楽しみ、質も上がる。

 

身体障害になぜ集団プログラムが必要なのか?

喪失

集団プログラムと言えば、精神科作業療法
そう言われがちですが、実は身体障害の場面にも集団プログラムが有効です。
一言で言えば「喪失体験から立ち直るため」です。

 

身体障害で不動・不活動になるのは身体だけじゃない!

自信喪失

あなたに質問です。
「身体障害によって失われるものは一体なんでしょうか?」
質問をするくらいですから、「身体の機能」だけではないです。

教科書的に言えば

      • 「身体的自己像の喪失」
      • 「家庭を含めた社会生活における地位や役割の喪失」
      • 「将来設計の崩壊」

などです。

これら喪失体験から立ち直るまでの道のりをFreudは「悲哀の仕事」と呼んだのですが……
身体障害の場面においても、新たな生活の再建に大きな効果があるので、作業療法士は集団プログラムを身体領域でも用いるんですね。

 

集団プログラムの具体的な効果って?

再起

大枠で生活の再建が目的なのはわかりましたが……では、実際にどんな効果があるのかを紹介します。
この図を見ると、障害の受容過程を思い出すことでしょう。

山根は8つのポイントを紹介しています。

  • 【集団教育効果】
    • 1:機能回復や生活の適応に向けた訓練を協力して行う。
    • 2:多少意識レベルが低下していても、他者の模倣やひとと共にという共有体験を活かして治療ができる。
  • 【ショックと否認の乗り越え】
    • 3:自分だけがこのような障害に襲われたのではないということを知る(普遍的体験)
    • 4:同様な苦しみを経験した他の人たちによって受け入れられる体験をする(受容される体験)
  • 【悲しみと怒りを超える】
    • 5:自分を襲ったショックや怒り、悲しみなどを語り受け入れられる(表現・カタルシス)
  • 【自律や適応】
    • 6:自分のおかれた状況を知る(現実検討)
    • 7:同様の障害がある人たちから、病気や障害に対する対処、生活上の工夫などについて教えてもらう(情報の伝達、模倣・学習・修正)
    • 8:同じ障害がある者同士として助け合う(愛他的体験)

 

どんなタイミングで何をすればいいの?

悲哀の仕事のプロセス

「ええ?上の順番ではダメですか??」
そう、そうなんです。

上記の8つのポイント、3~8までを回復過程に分けて活用していきましょう。

    • 急性期(3、4):混乱状態から立ち直るための心理サポートを中心にしたプログラム。
    • 回復期(5、6、7):混乱状態が落ち着いてきたので、客観視と生活の再建に向かえるよう支援するプログラム。
    • 維持期(8など):障害に変化が見られなくなるため、QOLの向上や生活をいかに楽しむかがカギ。自助グループの形成と支援。

などと言われていますが、いずれにせよ「自信を取り戻す」過程です。
自信を取り戻すことで、クライアントさんの生活が変わっていきます。
その支援をいかに行っていくのか……ですね。

あわせて集団療法実践のポイントを知りたい方はこちら >>> 第4回 集団療法3つのポイント

 

まとめ

ということで、今回は「身体障害になぜ集団プログラムが必要なのか?」の話をしました。

    • 1、喪失体験から立ち直り、新たな生活の再建に大きな効果がある。
    • 2、障害の受容過程にあわせた介入をする。
    • 3、自信を取り戻せば、生活を楽しみ、質も上がる。

これらをふまえて、クライアントさんと一緒にリハビリを進めていきましょう!

 

以上となります。

以上となるのですが……それでももっと具体的な方法を学びたいなら、筆者を頼ってください。
質問やご相談いただければ、お返事しますよ。

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本日は、最後まで読んでいただきありがとうございました。

サイトー
リハカレ認定講師 齋藤 信

 

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参考文献

    1. ひとと集団・場(第二版)
    2. ひとと集団・場(第三版)

 

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