大殿筋は歩行にとっての要。
PTの人は特に移動、歩行に関して関わることが多くあると思います。
その中で、「異常歩行」や「歩行障害」いわゆる【跛行】の改善を目的に、
介入することも多いです。
そもそも、この跛行というのは、
・骨、関節など身体的構造上の跛行
・痛みや疼痛回避による跛行
・筋や神経障害によるは跛行
という原因があり、現象として現れていることが多いですね。
教科書的にも、跛行というのはいくつもあります。
中でも、以下の5つは臨床でも多く接することが多いと思います。
・トレンデレンブルグ徴候
・デュシャンヌ徴候
・反張膝
・ぶん回し歩行
・すくみ足、小刻み歩行(神経)
それぞれに対しての分析はまたの機会にしますが、
こちらの本は、非常に参考になります。
ペリー歩行分析(医歯薬出版株式会社)
観察による歩行分析(医学書院)
この本の中で書かれていることを、
私見を交えて簡単に一言でいうと、
歩行への介入において着目すべき点は、
「体幹〜頭部の安定性」
と
「下肢の運動性」
の2つです。
上記に上げた教科書の中では、
Passenger Unit(上半身・体幹)とLocomotor Unit(骨盤帯を含む下半身)に分けて考えましょうというもの。
どちらも大事で、お互いの関係性も見ないといけません。
この着眼点を持っているだけでも、介入のポイントが絞りやすくなります。
歩行周期で重要視されるのは?
上記の教科書にもありますが、
歩行周期において、最も重要視するべきタイミングあります。
それが、
立脚初期(IC:イニシャルコンタクト)
画像引用:運動療法のための機能解剖学的触察技術下肢・体幹第一版(メジカルビュー社)
この立脚初期(初期接地)は、
歩行周期の定義としては、
・歩行周期の始まりと終わり
・踵が地面に接触する瞬間
とされています。
このタイミングで、
身体機能としてチェックすべきところが、
====================
・踵が接地できているか
・大殿筋の収縮が得られるか
====================
の2つです。
歩行周期の始まりですから、
スタートが肝心ということになります。
歩行周期を考える際には、
モーメントという概念に触れることが、
原因追求には役立ちます。
ただ、今回のコラムですべてをお伝えするのは、
むずかしいので、
大殿筋の収縮が得られるようにするためには、どうしたらいいか?
という点に着目してお話をしていこうと思います。
(画像上は、大殿筋麻痺となっています。画像引用上記同様)
そして、跛行の中でも、
筋力や可動域の問題で起きてしまっている状態へのアプローチです。
大殿筋を鍛えるトレーニングの鉄板
ブリッジ(お尻上げ、ヒップリフト)は、
多くの方が行っているリハビリメニューかと思います。
1、仰向けに寝る
2、下腿が床に対し垂直なるように膝を曲げる
3、お尻に力入れて、上げる
4、体は膝から肩にかけて一直線になる位置まで上げて止める
5、ゆっくりお尻を下ろす。
患者さんの自主練習でもよくやってもらいますね。
ここで、大事なのは、
やはり大殿筋の収縮がきちんと入っているかどうかです。
この運動自体は、体幹の安定性向上を目的にも使われるものなので、
脊柱起立筋などが過剰に収縮して、
腰椎の前弯、骨盤の前傾がでていないかどうかをきちんとチェックします。
そこが要注意ポイントの1つです。
また、膝の屈曲角度によっても、
大殿筋かハムストリングスに対してのアプローチかを分けて捉えることもできます。
◯膝の屈曲角度が深くなる⇒大殿筋に効かせるアプローチ
◯膝の屈曲角度が浅くなる⇒ハムストリングスに効かせるアプローチ
まずは実際に自分で試してみてくださいね。
そして、もっと負荷をかけたい場合は、片脚ブリッジですね。
こちらは、両脚ブリッジよりも大殿筋、中殿筋、大腿筋膜張筋の活動量が3倍以上という報告もあります。
大事なのは、
大殿筋の収縮がきちんと入っているかどうか、
患者さんや利用者さん自身でも理解し、体感できているかということをきちんと確認しましょう。
筋力トレーニングだけしても効果があるわけではない。
とはいいつつも、
筋力だけで解決してくれたら万々歳なのですが、
なかなかそうは行きません。
股関節の可動性を高めた上で、
上記のトレーニングを行うと更に効果的です。
股関節の可動性を高める方法は、
こちらでお伝えしています。
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トレーニング↔再評価の繰り返し
実際に、上記のアプローチを行ってみて、
歩行での動きに客観的かつ主観的にも変化があるかを確認しながら、
アプローチを継続していくことが大事です。
トライ&エラーの繰り返しで、
その人に効果的な関わりができることが、
リハビリにおいては大事になります。
そのトライのための引き出しを多くすることが、
現場でのスピード感を生むのです。
今回は、大殿筋に着目してお話してきましたが、
動作と機能の結びつきを常に考えながら、アプローチしていくきっかけになれば幸いです。