動作分析の前に姿勢分析?〜姿勢分析の基本⑤背臥位と坐位の違い

背臥位と坐位の違い?

前回までの4回は背臥位から寝返りまでのお話でした。

姿勢分析の基本①

姿勢分析の基本②

姿勢分析の基本③

姿勢分析の基本④

今回からは坐位編に行こうと思います!

さて、背臥位と坐位の違い。そもそも姿勢が違うので違うのですが、
背臥位と坐位って何が違うのでしょうか?

力学的特徴

坐位は背臥位に比べ、支持基底面が狭く、重心が高い姿勢です。
(支持基底面は背中一面から臀部・両大腿後面へ。体幹が床面から空間に移動)

また、3平面の動きがよりスムーズに可能になります。(矢状面、前額面、水平面)
そのため、屈曲・伸展・側屈に回旋要素が加わった「ねじれ」が見え始める姿勢でもあります。
(背臥位では見づらいだけで、回旋要素はあります)

支持基底面が狭く、重心が高い姿勢なので、背臥位よりは動きやすく、動力に重力も活用できます。

重力方向の違い

次に大きく違うのが重力方向の違い。
背臥位は背中一面に床方向への重力を受けますが、坐位は頭尾方向になります。

つまり、背臥位では姿勢保持のために重力は邪魔にはなりませんが、
坐位になると姿勢保持のために、重力に抗う必要があります。

そのため背臥位は従重力位、坐位以降は抗重力位と言われます。
大きな違いは姿勢保持に筋活動が必要か否か?です。

背臥位と坐位姿勢にみられる共通のアライメント不良

ここで見るべきポイントがあります。
それは、背臥位と坐位姿勢で共通のアライメント不良があるかないか?ということ。
特に体幹部に著明に出るのですが、背臥位で体幹部にアライメント不良があった場合、
坐位になると、重力が頭尾方向にかかる関係で上から押されてアライメント不良を助長
してしまうことが多くあります。通常はそれを姿勢保持筋がサポートして坐位姿勢を保持
するのですが、筋活動や筋緊張などに差があると、重力に抗せず潰れてしまいます。

坐位は重力下における股関節より上のアライメントを見るのに最適な姿勢

つまり、背臥位と坐位の大きな違いは、重力の影響を受けない全身のアライメントを見るのか?
重力の影響を受けた体幹部のアライメントを見ているのか?という違いがあります。

背臥位と坐位の両者で共通のアライメント不良があれば、そこはその後の動作にも影響しますし、
重力に対応できていない箇所として問題点に上がります。それは動作になった時に「動かない場所」
として見えることが多いと思います。

まずは、アライメント不良の共通点を見つけてみましょう。そして、坐位バランスで実際に
相手に動いてもらい、「動いて欲しいけど動いていない箇所」をみてみましょう。
必ず、共通点があるはずです。そこに介入ポイントが隠されていることが多いですので、
ぜひ試してみてください。

最後まで読んでいただきありがとうございます。
リハカレ認定講師 理学療法士 中嶋光秀

 

関連記事

  1. 心不全に対するリハビリテーション③〜心機能分類と運動の目安〜

  2. 徒手療法は無意味なのか?

    徒手療法で変化を出すことは無意味なのか?

  3. 触診を上達させるためのポイント②

  4. 白血球の数値は自律神経バランスに関係する?【リハビリに役立つ血液検査データの見方5】

  5. 2021年大予測? 今年はどんな年になる??

  6. 肩関節周囲炎のポイント②