インスリンって肥満ホルモン?〜正しい作用機序を知ろう!〜

インスリンは肥満ホルモン??


インスリンといえば、血糖値を下げる働きをするホルモンです。しかし、それは医療関係者の認識。
最近巷では、インスリンは肥満ホルモンだから、インスリンが出にくい食事の仕方をしましょう!
というような表現をメディアで目にする事があります。

このインスリンは肥満ホルモンであるという、偏った表現。
正しい作用機序を知っていると、偏った情報に振り回されずに、患者さんや利用者さん、
一般の方に正しく説明する事ができます。

インスリンの作用機序

では、インスリンの作用機序についてみていきましょう。

①食事により血糖値が上昇。
②膵臓ランゲルハンス島B細胞に指令が行き、インスリンが分泌。
③骨格筋細胞にあるインスリン受容体とインスリンが結合。
④骨格筋細胞内にGLUT4というホルモンが産生。
GLUT4が細胞膜に作用し、血糖を骨格筋細胞に取り込む。

ここまでがインスリンの作用です。
ここまでの機序をみると、肥満とインスリンは特に関連していないのがわかります。
では、なぜ肥満ホルモンという形で切り取られるのでしょうか?
それはこの先のグルコースの代謝と肥満という所に関係してきます

グルコースの代謝

骨格筋細胞に取り込まれた血糖(グルコース)は
解糖系を通り→クエン酸回路→電子伝達系を通り、ATPを産生するために消費されます。
ただ、大量のグルコースが骨格筋細胞に取り込まれた場合ATPを産出しても、余ってしまいます。
その余ったグルコースが、脂肪という形で体内に貯蔵されます。

血糖(グルコース)は食事として摂取した炭水化物が消化分解されたものです。
つまり、食等により高血糖になることでインスリンが通常より多く分泌され、
多くの血糖が細胞内に入り、余った分が脂肪になる。」

この作用を中抜きして「インスリンは肥満ホルモン」なんていう表現がなされてしまいます。

正しくは、「高血糖状態が続くとインスリン分泌が多くなり、細胞に取り込まれた
グルコースが余った結果、脂肪になってしまうので、高血糖状態にならないように
食事・運動に気をつけましょう」です。

健康情報のなかには、目につきやすく、クリックしたくなるように、
情報を切り取って本来のものとは違った表現にしているものもあります。

一般の方や患者さんも、それにつられて間違った認識をされている方もいます。

医療関係者としても間違った認識をしないよう、作用機序などを調べてみると良いかもしれませんね。

 

最後まで読んでいただきありがとうございます。
リハカレ認定講師 理学療法士 中嶋 光秀

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