作業療法士が頻繁に使う「アクティビティ/activity」ってありますよね。
正直言って、それが何かわからず……
「作業療法の方法のことかな~」
的に勝手に解釈していませんか?
もちろん作業療法士諸氏もそう。有名な先生方が色々と定義、解釈していますね。
本当のところ、自分の使っている「アクティビティ」という言葉は何を意味しているのでしょう?
今回は、OTの視点からアクティビティを紹介します。
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アクティビティとは?
アクティビティを定義しようとすると難しいと言われています。
でも、いくつか定義や意義があるので紹介しますね。
- 「作業(activity)」の意義は、「作業するプロセスを経て得られる対象者の生活行為における満足感や心地よさと言った感覚的変化」にあります。(中略)作業療法では作業療法士のはたらきかけと作業する人自身の感覚的変化を含む、そのプロセス全てを「作業(activity)」と言います。(作業療法覚書/山根寛)
- アクティビティを行う意義とは、「活動を通して、身体的に必要な動作の維持・向上を図る。精神的な安定や、生活していくための自信をつける」というところにある。(アクティビティと作業療法)
- 作業活動(activity):作業療法の手段、作業療法で用いられる道具、activities。定義は明確ではない。(作業療法概論)
- 「作業(作業活動)とは:作業療法士が対象に対して行う治療、指導、援助のひとつで、人(患者、利用者等)がある目的(課題)に向かって対象(環境)に対して働きかけることを通して、人が本来持っている特性を活かすことにより、成果(身体的・精神的・社会的・経済的)を生み出すプロセスである。」(基礎作業学)
- 作業を「対象となる人々にとって目的や価値を持つ生活行為」と定義している。(作業療法ガイドライン2018)
これらが所謂アクティビティです。
アクティビティって、よく分かららない!
一般の人にしてみれば、アクティビティと言えば海外旅行先でする遊びを指します。
南国に行った事があるなら、水上バイクやダイビング?
山ならパラグライダーやラフティング?
雪山ならスキーやスノボでしょうか。
そこからそのまま「アクティビティ=遊び」になってたら困るなぁ。
定義にあるように、アクティビティ=活動なら「生きる過程で行う活動全般」ですから。
色々あるよねアクティビティ!?
ここでもう一つ加えておくことがあります。
「治療的な介入か否か」
冒頭の定義と意義がそうですね。
作業療法士が行えば、遊びも治療に変わります。
揶揄する言い方をすれば、資格があれば一緒に息を吸うだけで治療になります。
勿論、この言葉の裏を読むのが作業療法士。
資格があることの重みも、言葉ひとつの重みもなんとなく分かっている……かな?
リハビリ専門職共通認識のアクティビティ
とはいえ、作業療法士だけわかっていればOKとはいきません。
生きることそのもの……と高い視点で話をしても困るもの。
PT、OT、ST、お互いの共通認識で話ができるものがあるといいですよね。
OTさんなら、概論(3版)のp124を参照です。
そう、ICF(国際生活機能分類)です。
ここで分類されている項目に「活動/activity」ってあるじゃないですか!
アクティビティで迷ったらICFを見ればいい?
ICFは個人因子以外を分類しています。
当然、「活動/activity」だって分類されています。
そこでは……っと、ここはもう膨大なので図を日本作業療法士協会の作業療法ガイドラインから引用です!
結構ありますね。
でも、アクティビティで何をしたらいいか分からなくなったらこの一覧に立ち戻ってみればいいでしょう。
もちろん、それ以前に「目的が大事」ですけどね。
いや、それでもアクティビティで迷うってば!
って、あれ? まだ迷います?
具体的に何をしたらいいかネタが……無い?
いやいやいやいや、そんなことはないでしょ……ある?
もしかして……こちらで紹介したEラーニングでも上級者向けだった?
そうですよね。
誰にだって初めてはあります。初心者時代はあるものです。
ずっと個別OTしてた人がいきなり集団療法のリーダーに抜擢されても、学生時代は遥か昔。
手数が欲しいという声は僕にも聞こえてます。
さて、どうしようか……
アクティビティの手数を増やす!
まず最初に考えたいことは、ある程度手数を増やすこと。
ベテランOTさんはこの発想を嫌がるだろうけど、まずはコレ!
道具箱に道具を入れないことには、必要な時に必要な道具が取り出せません!
なので、手数=道具を増やすことは大事です。
具体的には、先輩や他のOTさんが行なっているものを真似すること。
いわゆる「神の火を盗め」です。
■ 集団療法で介入するタイミングが知りたい方はこちら
■ 身体に働きかける作業療法が知りたい方はこちら
アクティビティの幅を広げる!
次に考えることは、ひとつの道具に使い方や目的を複数持たせることです。
意味がわからない?
抽象的な言い方をすればその道具に持つ固定観念を解き放つこと。あり得ない使い方を考えること、とも言います。
(僕がセミナー中によくやる発想拡大ワークですね)
すると、自分の知識や認識に無かった使い方を知っただけで、道具の数は増えずとも、適応する相手は無限大に増えていきます。……うん、無限大は言い過ぎた……掛け算的に増えていきます。
活用のヒント
・道具のありえない使い方を発想するには、使い方自体ではなく、サイズ、材質、重さを変えたらどうなるだろう? と考えてみましょう。
アクティビティの活用場面を変える!
アクティビティの手数を増やしたがる若手や新人に困り顔をするベテランさん……いますよね。
なぜそんな顔をするかといえば、道具を使い捨てにしているように見えるから。
その時、その場面、その相手には思ったような効果が出なかっただけで、その道具に罪はありません。
使う場面が違えば、見違えるほど光り輝く道具だったりします。
ちょっと試して、使えないという烙印を押すではなく……
「あ、このタイミングでは違ったかも。別なタイミングでまた使ってみよう」
と選択肢から外してしまわないことが肝要です。
箸でケーキは食べても、箸でゼリーは食べませんよね笑
まとめ:治療としてのアクティビティとは?
まとめます。
- 作業療法士の言うアクティビティ/activityは「生きる過程で行う行為全て」に治療的な介入をすることです。
- でも、その内容の広大さに愕然としたら、ICFを頼りましょう。
- 具体的な手数を増やすなら他のOTさんからラーニング!
- 幅と用途は工夫次第で無限大!
- でも目的は大事だよ!
以上となります。
以上となるのですが……それでももっと具体的な方法を学びたいなら、筆者を頼ってください。
質問やご相談いただければ、お返事しますよ。
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本日は、最後まで読んでいただきありがとうございました。
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参考・引用文献