リハビリに役立つ血液検査データの見方4

2018年4月の記事を加筆修正しています。

 

血液検査データの見方と題して、連載しています。

誰かの役に立っているかどうか、あまり反響を聞かないのでわからないのですが、少なくとも自分自身の勉強にはなっています。

まだまだ続けていきますよ。

 

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本日は血球に関するパラメータを見ていきます。

 

◇ヘモグロビン値

赤血球の役割は?

と聞くと、ほとんどの場合

「酸素を運ぶこと」

と返ってきます。

 

酸素を細胞に届けるための運搬役を担っているのが赤血球です。

 

赤血球と言われるのは「赤い」からな訳ですが、それはヘモグロビン(血色素)というタンパク質が大部分を占めているからです。

 

そのヘモグロビンの値を「血色素量」とも表記されています。

 

ヘモグロビンとは何のことを指すのでしょう?

ヘモグロビンとはヘム(色素)とグロビン(タンパク質)によってできています。

 

ヘモグロビンは、貧血あるいは多血症の診断時の指標に用いられます。

 

ヘモグロビンは酸素と結びつく性質がありますので、「赤血球が酸素を運ぶ」というのはヘモグロビンの性質からきているわけですね。

赤血球数が正常な場合でもヘモグロビンが含まれていないと酸素運搬能力が落ちるので、貧血状態になることがあります。

 

基準値:13.5〜15g/dl
ヘモグロビン値が高い場合:脱水、多血症など
ヘモグロビン値が低い場合:貧血、妊娠、悪性腫瘍、白血病など

 

◇赤血球数

赤血球は、胸骨や大腿骨・頚骨の内部にある骨髄の幹細胞で作られている血液の主成分です。

先ほども触れたとおり、体の各部の組織細胞へ酸素を運搬し、二酸化炭素を受けとって肺まで運び戻します。

赤血球の寿命はは約120日間ほどと言われますが、酸素不足となると赤血球の寿 命は大幅に減少するそうです。

 

ヘモグロビン値と合わせて、貧血や多血症などの診断に用いられます。

 

◇ヘマトクリット値

血液は固体(細胞)成分である血球と液体成分である血漿に分けられます。

血液中に占める赤血球の総体積の割合を示します。

一定量の血液中に、どの程度の血球成分があるかを容積比で表したもので正常人では、血球と血漿の容積比はほぼ一定。

 

しかし、貧血状態ではその程度に応じて減少していきます。

なので、貧血の分類や多血症などの診断の指標となります。

 

基準値:「男性39-52%」 「女性35-48%」
基準値よりも高い場合:脱水、多血症など
基準値よりも低い場合:貧血など

 

◇赤血球

出生後は骨髄が造血の役割を担っています。

赤血球はミトコンドリアを持たないため、解糖系のエネルギー代謝が中心です。

 

血液中のグルコース濃度が下がりすぎると、赤血球でATPが生み出せず、その機能低下により酸素運搬能が落ちてしまうことが「低血糖症状」を呈すると考えます。

グルコースはある程度の濃度を保っていないと命に関わりますね。

 

先ほども触れましたが、ヘモグロビンはヘム+グロビンでできています。

120日ほどで寿命を迎える赤血球は、寿命が近づくと脾臓に取り込まれます。

酵素の働きにより、ヘムとグロビンに分解されます。

そのヘムはさらに

ヘム→鉄+ビリベルジン

に分解されます。

 

その時生じた鉄は、骨髄で再利用され、再びヘモグロビンとして合成されます。

その後赤血球となるわけです。

 

◇鉄(ミネラル)

赤血球の成分として重要な鉄。

鉄の排泄系というのは存在しないらしいので、鉄が不足するパターンは

  • 失血
  • 生理、妊娠
  • 合成(再生)不良
  • 細菌類が代謝?

などが考えられます。

 

ほとんどが体内で再利用されますが、日々、少量の鉄は失っていっているようです。

食物から取り入れることが可能なので、男性の場合、「鉄不足」の状態ということは、何かしらのトラブルが起きていると考えます。

(あるいは極端な栄養不足)

 

女性は、生理や妊娠、出産などで鉄を失うイベントが多いので、積極的に、努めて鉄を摂取するよう心がけていないと「鉄不足」が起こりやすいでしょう。

 

体内で過剰な量の鉄が存在するとアポフェリチンというタンパク質と結合して、フェリチンとなります。

ないと困るミネラルですが、ありすぎても困るわけですね。

 

 

 

◇まとめ

主に赤血球に関するパラメータを紹介しました。

細胞に酸素を届ける重要な役割を担う血液。

なぜ、細胞に酸素を届けたいかというと、細胞でエネルギー代謝を起こしATPを生み出したいからです。

 

血液のしかも赤血球の異常があれば、ATPの生産が追いつかず、

・動きたくない

・考えたくない

などにつながりますし、各組織、器官の機能低下にもつながっていきます。

リハビリテーションを行う上で、あるいは運動の負荷を検討するときに、考慮した方が良いパラメータです。

 

患者さんのみならず、療法士の健康管理の面でも、「鉄」についての認識は高めておくと良いように思います。

 

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