仮説検証作業は机上のもの?
普段の臨床の中で、仮説検証作業は必須の項目です。
下図のように、評価→仮説→治療→再評価とぐるぐる回していくのが主な流れです。
この仮説検証作業ですが、皆さんのイメージとしては、「机上ですること」というイメージをお持ちではないでしょうか?
多くの評価をして統合と解釈をし、治療方針を決める。治療結果から考察し、再度の統合と解釈を経て次の治療方針を決める。レポートやカルテ上で整理したり、頭の中でぐるぐる考えたり。
机上や頭で考える部分が多いのは否定しません。しかし、机上で考える前にとても重要なファクターが仮説検証作業に含まれています。
介入の結果が検証作業を左右する
検証作業の3つの輪のうち、重要になるのが「治療介入」です。何が重要かというと、介入技術の差が結果の差になるということ。
AさんとBさんが同じ問題点に対して同じ治療介入をした時に、AさんとBさんの介入結果が違うとどうなりますか?
同じ問題点に対して同じ治療介入をしたのに、違う結果が出るので、その後の考察が変わってしまいます。当然、その後の治療方針も変わっていきます。
治療技術はあって当たり前
大工さん用語に「2度見て、1回で切る」という言葉があります。「間違えないように図面を2回見直して、どの長さで切るかを確認しておけば、正確に切る技術はあるので切る作業自体は1回でいい」。つまり、正確に切る技術があるからこそ、図面を見直すことに時間をかけられるんです。
仮説検証作業でいえば、図面は「評価と仮説」。切る作業が「治療介入」になります。
教科書や文献検索なんかも図面に当てはまると思います。いつも図面ばかりをみていませんか?
どんなに素晴らしい図面(評価・仮説)を持っていても、正確に切られ木材(治療介入・結果)を用意するだけのスキルを自身が持ち合わせているか?そのための準備をしていますか?
技術がなければ、図面通りの完成品はできません。
もし、技術に不安があるなら、精度を高めるために職場の同僚・先輩・後輩と練習をしましょう。
普段からの準備が、日々の臨床の精度を高め、仮説検証作業の流れをスムーズにしてくれます。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
リハカレ認定講師 理学療法士 中嶋 光秀