ウォーキングが健康に及ぼすエビデンスとは!?〜東京大学石井直方教授。独占インタビュー報告Vol.2〜

前回に引き続き、筋肉博士こと東京大学石井直方教授に、IAIRの森本とシドニーオリンピック競歩日本代表の柳澤哲先生とともに、独占インタビューをさせていただきました。

前回の記事はこちら。
ウォーキングの価値、魅力とは?〜東京大学石井直方教授。独占インタビュー報告Vol.1〜


(※東京大学石井直方教授)

石井直方教授の詳細のプロフィールは、こちらから。
(石井直方教授研究室ホームページ:http://wildlife.jpn.com/wildlife-consul/ishii/content/labo/index.html

◆ ウォーキングのエビデンスとは?

柳澤先生)

石井先生は「ウォーキングは有酸素運動なので【ダイエット的な要素】がイメージとしてすごく強いけれど、それよりも骨粗鬆症の改善や血圧の改善だとか、【健康でいるためのウォーキング】が大切になるだろう」仰っていたのが印象に残っています。ウォーキングの健康訴求ができるエビデンスというのはいかがでしょうか?

石井教授)

疫学的な研究で、ウォーキングをどのくらいやることによって認知症のリスクがどのくらい下がるとか、関連性とかもたくさんあるわけです。けれど、疫学的な調査っていうのは難しくて、基本的に個人の生活の差とか遺伝的な個人差とかを考慮するために、数を100とか200とかどんどん増やしていきますし、活動計や万歩計をつけて、何歩歩いていますかとか?そう言った事しかチェックをしないと、効果があるという研究と効果がないという結果が出たりしてしまうんです。

同じ歩数歩いているのに、何で差が出てきてしまうんだ?とか。地域が違うからかな?とか(笑)。

基本的に歩き方もちゃんと指導した上で、行えば結果は出るのに、ただ計測器渡して「歩いてください」というだけでは結果が出ないということですよね。

だから、<どういう風に歩くか?>というのも非常に重要なファクターであると思います。


森本)

本当に、その通りだと思います。公衆衛生学的には今まで量が多い方がエビデンスが高いと言われていましたが、いかに質」の部分も大切にしていくか視点を変えていくことが必要だと考えています。

 

石井教授)

信州大学の研究でも、<インターバル走法>をやればちゃんと筋力も上がるし、全身持久力上がるんだけど、「ただ歩いて下さい」で、一定の時間毎日歩いてもらうだけでは何もしない群とあまり変わらないという結果がでています(笑)。

やはり、「ただ歩けば良い」ではなくて、【どういう風に歩くか?】に寄って、<骨粗鬆症に対してこういう効果がある><膝に対して疲れが溜まっている><障害が出る危険がある>とか。

簡単なようで難しいというのがウォーキングだと思います。

 

森本)

公衆衛生学的な疫学の部分とクオリティの部分っていうのを、うまく縦と横でクロスさせていくっていうのが、セラピスト側に求められるというのが最近強く思っていて、そういったところ理学療法やウォーキングのノウハウが活用出来ればと思っています。

※ウォーキングに対して、熱く語る石井教授。

石井教授)

基本的には「(ウォーキングの)質を伴わない量」だけではだめですよね。

研究する側も「どうウォーキングをすれば良いのか?」理解し切れていない部分がありますよね。

それに、歩き方のポイントを的確に示すことによって、たくさんの人に狙った通りの歩き方をしていただく、というのがすごく大変だと思います。マンツーマンで教えるならまだ良いかもしれませんが、大勢を対象にして、歩き方の説明をして、その通りにやってもらう、というのは教える側に高い技術が求められますよね。

 

森本)

その部分は病院とかですと、EBM(エビデンスベースドメディスン)というのが強かったと思いますが。まさにそれが「量」というところだと思いますが、それを「質」に変えていくというか、バランスをとっていくことが非常に重要になってくるかと思っています。

<体型>< 背景><職種>とか、パーソナルな部分からも運動処方が出来ることが大切になってくると思います。

 

石井教授)

そうですね。みんな同じように一定時間以上歩いてください。ということではまず駄目ですということです。では「どういう風に歩くか?」というのが、実はその個人差って言うか、個人の状況に合わせて最適の歩き方をしていただくという観点がとても大事になりますよね。

 

森本)

ウォーキングをツールにして、理学療法士が社会と大きく関わる一つのきっかけになり、理学療法士が疾病・疾患の予防にも携われる。病院に皆さんが来る前の原因の部分「何で膝が痛いんだろう?」の様々なケースに関わることが出来てきます。


※IAIR森本と柳澤先生。

 

石井教授)

人によって違いますよね。無理して歩ってしまうとそれがかえって悪い方向に進んでしまうということもあるので、今の状況にとって一番良い歩き方、そういったことをちゃんと指示できるというのが非常に難しいと思うので、そこに理学療法士としての知識なり経験が必要になるところだと思いますね。

 

森本)

ありがとうございます。

今まで病院とか施設で疾患とか怪我をした方に対してリハビリテーションをするというのが一般的なイメージだと思うんですが、その理学療法士が社会に出て活躍するということにどういったイメージを持たれていますか?

 

石井教授)

まずは病院の中でリハをやっても少なくとも、入院している方はある時期がくると出なくてはいけないですし、通院してリハビリにくるのもだんだん遠ざかってきてしまうとかあります。多分病院から出て行って、リハをちゃんと続けたいと要請も出てくると思うんですよね。そういう意味も含めて意義のあることと思います。

リハビリテーションということ以外にも、【障害を予防して、健康でいられるか】という観点が非常に重要になってくると役割があるんじゃないか、という気がします。

だから一般の方へのウォーキングの指導と言っても、どうしても平均値や、ある種の絶対的な真理みたいなのがあって、それに合ってないと障害の予備軍と判断してしまう。しかし、個別化されていないウォーキングをすることで痛みを増幅してしまうこともあると思うんですよね。

 

そういうことでいうと、実際のリハビリテーションの知識や経験がある人が、リハじゃない普通の人のウォーキングを指導するという観点でも、【障害を予防して健康で元気で歩いてもらう】という点でも重要ではないかと思います。

 

つづく。。。
ウォーキング療法士として、社会貢献できる可能性が十分にある。〜東京大学石井直方教授。独占インタビュー報告Vol.3〜

 


【ウォーキング療法士の具体的活動

ウォーキング療法士は様々な活動を通して、関わるすべての方のQOLにお応えします。

【各地のウォーキングイベントでのサポート】

医療従事者に限定した『ウォーキング療法士(医学的裏付けを基礎に”歩く”を科学した専門職)』の資格認定制度を構築しています。
しおやでは、79.3km地点となる道の駅湧水の郷しおやにてIAIRのウォーキング療法士によるボディーケア用ブースが開設されます。
ぐんま、つくばでも同様のブースの開設が予定されています。

 

 

 

 

 

 

【健康経営サポート】

ラフール様との協業で、健康経営サポートも行っていきます。

【株式会社ラフール 会社概要】

社名:株式会社ラフール
本社所在地:〒103-0025 東京都中央区日本橋茅場町2-9-5 日進ビル7F
設立:2011年11月30日
代表:代表取締役社長 結城啓太
事業内容:メンタルヘルステック事業・スリープテック事業・コンサルティング事業・保育園事業・有料職業紹介事業
コーポレートサイト:http://www.lafool.co.jp

 

【ウォーキング研修会】

行政や企業など、場所を問わずウォーキングに関する研修会を受け付けます。

 

【ウォーキング個別指導】

完全な個別指導も行います。対象者の目標設定に応じたオーダーメイドな指導を行っていきます。

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