うつ病とあわせておさえておきたい「双極性障害のリハ介入と対応」シリーズ。
今回は「躁病のリハビリテーション」をおさらいしましょう。
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■実は介入よりも環境設定では?
リハビリテーションとして行えることを調べると、うつ病よりも内容が少ないと思いませんでしたか?
養成校時代も、どちらかといえばうつ病や抑うつエピソードに対する介入が多く、躁病、躁病エピソードへの介入は軽く触れられるだけでした。
実際、介入点と言うより環境設定に関することが目につきませんか?
例えば
- 「作業療法室に参加のルールを貼っておく」
- 「介入頻度を少なくして落ち着ける環境を提供する」
- 「短時間参加から始める」
- 「基本は行動を見守る」
などです。
個人への刺激を少なくしつつ、双極性障害の特徴である「過剰な気分爽快」と「行動の拡散」を抑制するには、「規範」や「ルール」を明示することで、「社会という枠」の中で生活することを訓練していくことが重要と考えています。
そのため、直接の注意や指摘ではなく、場の設定、環境調整をすることで、病的な行動を抑制しているんですね。
■リハ介入ではなく援助を
うつ病シリーズの際に紹介した山根先生が作成した図です。
様々な教科書や論文で取り上げられているので、既にご存知の方も多いものですね。
この図は「うつ病の回復過程と各時期の作業療法の役割」ですが、「気分障害の治療」として見れば、回復時期や支援目標に大きな違いはないと考えています。
ただし、「作業療法の役割」は違います。
- 急性期前期:病棟生活が優先される。
- 急性期後期:社会的な規範、ルールを明確に示し、非難・注意は回避する。活動への参加は短時間頻回とする。
- 回復期前期:結果よりプロセスにおける努力を認めていく。
- 回復期後期:他者感情を共感・理解させ、適切な対人関係を学習させていく。役割を遂行させる。融通性のないパターン、完全癖などの認知・行動も修正していく。
何とも使役表現が多いですね。う~ん……仕方ないのかな……。
ともあれ、「枠」を設定し、「見守り」ながら、「共感・理解・学習」を進め「社会生活に戻る準備」を積み重ねていくことになります。
■具体的には何をする?
うつ病の時にもなかなか具体的にお伝えしづらかったのですが……実は今回もです。
基本的には「適切な活動」を提供することになります。
双極性障害の特性をふまえ、以下のような留意点が挙げられます。
- 短時間で出来栄え良く完成するもの。
- 工程が単純明快で破壊的ではないもの。
- はじめは個人活動。
- 徐々に他の患者との共同活動へ移行する。
これらを患者さん本人の様子にあわせて組み立てていくので、「これを提供すればいい」という正解はありません。
無理やり例を書くとするなら……
- 革細工の栞から始まり、工程を増やしていく。
- 塗装済みまたは塗装なしでパーツの少ないプラモデル。
- 目的、ルール、やることが明確な小グループの活動。
などでしょうか。
書道も悪くないですが、出来不出来がハッキリしたり、清書で緊張が強くなったりで、見守り側がハラハラしてしまいました。
あくまで参考程度として、その人にあわせて選択できるといいですね。
皆さんも何をやったのか教えてほしいところです。
■今回のまとめ
- 「枠」のある作業を準備する。
- 「環境設定」で病的な行動を抑制する。
- 社会生活に戻る準備のため、段階的に「共感・理解・学習」を進める。
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今回は以上となります。
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