うつ病とあわせておさえておきたい「双極性障害」。
今回から「双極性障害のリハビリ」をテーマにお話しします。
これまで紹介してきた内容以外にリクエストや質問がございましたら、気兼ねなくフォームからご投稿くださいね^^
Table of Contents
■うつ病と双極性障害
前回までお話ししていた「うつ病」と同じく、「双極性障害」は「気分障害」に分類されます。
1回またはそれ以上の躁病エピソードが認められると、双極性障害の診断につながります。
一生のうち、再発を繰り返す症例が90%以上を占めており、治療上「再発予防」が重要です。
双極性障害の約10~20%は、年に4回以上も躁病エピソードないし抑うつエピソードを繰り返す「急速交代型」を示すと言われています。
治療を受けなかった場合、躁病エピソードは約2~3ヶ月続き、軽躁エピソードは6ヶ月以上続くことも稀ではないそうです。
長期の経過観察によると、双極Ⅰ型の場合で1/3、双極Ⅱ型の場合は約半分の期間を抑うつエピソードで過ごすことが報告されています。
そのため、多くの双極性障害の患者さんが「うつ病」だとみなされている一因だとも言われています。
うつ病より自殺リスクが高く、生涯危険度は一般人口の15倍と考えられています。
■Ⅰ型?Ⅱ型?循環性?
躁病エピソードにより、双極性障害は大きく3つに分けられます。
- 双極Ⅰ型障害
- 双極Ⅱ型障害
- 気分循環性障害
それぞれ見ていきましょう。
◆双極Ⅰ型障害
1回またはそれ以上の回数の躁病エピソードの存在が求められる。
抑うつエピソードの存在は必ずしも必須条件ではない。
◆双極Ⅱ型障害
少なくとも1回の抑うつエピソードと、少なくとも1回の軽躁病エピソードが経過中に生じる。
◆気分循環性障害
2年間以上の期間、複数の軽躁病エピソードと、抑うつエピソードの診断には至らない程度の抑うつ症状を示す時期がある。
■双極性障害の治療はどうする?
双極性障害の治療は「心理教育」が重要です。
というのも、
- 周囲は躁病を治してほしい。
- 本人はうつ病を治してほしい。
と、それぞれの病相に注目して治療を希望するからです。
本人だけではなく、家族や周囲の人々にも「双極性障害への理解」を促すことがポイントになります。
◆心理教育のポイント
作業療法中の関わり方と共通しています。
よく確認しておきましょう。
- 再発の可能性が高く、各病相への対応のみではなく、経過を考慮した治療が必要であることを伝える。
- 自殺危険率が高く注意を要する。
- 本人は躁状態を本来のあるべき姿と考えがち。
- うつ病相での治療目標が高くなりすぎることに注意。
- 睡眠不足をきっかけとした躁転の危険性がある。
- 睡眠リズムのチェックは欠かさない。
■まとめ
今回は双極性障害の概要を確認してみました。
目に見えてわかりやすい躁病エピソードをする患者さんと関わることも多いかと思いますが、その前の躁転のサインを見落とさず、先回りした対応が作業療法の現場で求められます。
僕たち自身がまず、病気を理解した上でリハビリテーションを進めていきましょう!
その他の精神科作業療法に関連する記事が気になる方は 「まとめ記事」 をご参照ください!
今回は以上となります。
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■ 参考資料
- 作業療法マニュアル54:うつ病患者に対する作業療法
- 標準精神医学第7版
- 作業療法学全書第三版:作業療法治療学2精神障害
- 作業療法学ゴールドマスターテキスト精神障害作業療法学第三版