褥瘡対策、踵が浮いていたらOK?〜徐圧の基本は体圧分散〜

褥瘡の発生部位として多いのは、
骨突起部と言われてい部分。

 

背臥位での発生部位で多いのが仙骨、踵、後頭部。
これらの部位は軟部組織が薄く、体圧や剪断力に
よって血流が阻害されやすい場所でもあります。

 

褥瘡予防のための徐圧の中でも、「踵部」は
体の先端部ということもあり、比較的簡単に
関わることのできる部位でもあります。

 

では、踵の徐圧をする際、
「踵がベッド面から浮いていればOK?」
なのでしょうか?

 

例えばこれ↓

下腿に巻いたタオルなどで高さを出すことで踵にかかる
体圧は逃がせています・・・。

 

が、タオルの上に乗った筋腱移行部部分に圧が集中
してしまい、
ここに血流障害や痛み、最悪ここに褥瘡
を作る可能性があります。

 

また、点で支えられると下肢が不安定になるため、
それを止めようして、股関節周囲筋の過緊張を招く
可能性があります。
(皆さんご自身で体験してみてください)

 

踵の徐圧を試みたのに、新たな褥瘡のリスク+
過緊張による拘縮のリスクを増やす可能性が
増えるって、怖いですよね?

 

徐圧の基本は「体圧分散」です。
文字通り、体にかかる圧を分散させること。

 

後頭部、仙骨、踵のように体の中でも極端に
体圧がかかりやすいところを「浮かす」のでは
なく、体圧の高い部位の近くに圧を分散させる
ことが重要です。

 

先程の踵の徐圧ならこんな感じ↓

踵1点にかかっていた体圧を下腿後面全体で受け止めて
踵を徐圧する(画像の角度が悪いですが、ちゃんと
踵は床についています)。

 

イメージとしては踵と下腿後面が同じぐらいの体圧に
なるように高さ調整すること。

 

逆に高すぎると下腿で受け止めても踵が浮いてしまい、
また違う弊害(尖足位の助長など)が出てきます。

 

踵の徐圧の場合だと、膝の伸展制限や過伸展の問題も
出てくるので下腿だけというより、下肢全体でどこに
どれだけの厚みでタオルや褥瘡用枕を入れればいいか?
という検討が最終的に必要になります。

 

効果の是非は、本来なら体圧計を用いるのが
いいのですが、現場ですぐ使えてわかりやすいのが
「筋緊張」です。

 

具体的などこのどんな筋緊張?という声も上がると思い
ますが、大雑把に、下肢がリラックスしているかどうか?
を見ます。

 

タオル等で接地面積を増やし、突起部の体圧が分散される
ことで、下肢の安定感が増えるので、過剰な筋緊張が軽減
するということです。

 

徐圧をするなら「体圧分散」を意識すること。
徐圧がうまくいっているかどうかは、筋緊張をみる。
これを忘れずに褥瘡対策をしていきましょう。

 

ちなみに、徐圧目的で接地面積を増やしすぎると、
安定感が高くなり過ぎて、自力体動を阻害することも
あるので、やりすぎには注意しましょう。

 

最後まで読んでいただきありがとうございます。

 

国際統合リハビリテーション協会
理学療法士 中嶋 光秀

 

 

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