Table of Contents
【前回までのおさらい】
心不全に対するリハビリテーション①〜心不全を知る〜
https://iairjapan.jp/rehacollege/archives/4904
心不全に対するリハビリテーション②〜心臓の機能を知る〜
https://iairjapan.jp/rehacollege/archives/4948
心不全に対するリハビリテーション③〜心機能分類と運動の目安〜
https://iairjapan.jp/rehacollege/archives/5011
前回は心機能分類に合わせて運動強度を心拍数かMET’sで設定することから始めてみようという内容でした。
今回はまた心臓の機能について。心腎連関についてのお話です。
【心臓と腎臓の関係】
心臓は言わずと知れた血液を全身に送りだすポンプの役割をしています。
心臓の動きが悪くなると当然全身への血液供給が悪くなるので、多くの血液を必要とする器官・臓器も機能低下を起こします。
特に内臓の中でも単独で20%もの血液供給を受けているのが「腎臓」。
腎臓は血液を濾過する機能を持っているので血液が必然的に多く集まるのですが、
腎臓自体が機能するためにも多くの血液を必要としています。
【心腎連関】
心機能の低下により血液供給が落ちることで、多くの血液を必要とする腎機能も低下するという関係性です。
この逆もあり、腎機能が低下すると尿量が減ることで体内が水分過多となり、血液量が増加するため心負荷が
高くなることで(前負荷が高まる)心不全を誘発していきます。
今回は心不全からの視点なので、心不全症状の中でも浮腫の増加や短期間での体重増加(1週間で2〜3kg)が
みられる患者さんに対しては、腎機能の低下を疑う必要があります。また、心不全自体はあまり重くないはずなのに、
運動時の息切れ等が強い患者さんは、RBC・Hbの低下が見られることもあります。消化管等からの出血が考えられない
なら、腎機能低下による造血作用が低下している可能性があります。
【押さえておくべきデータ】
心拍出量の低下による腎機能低下を疑う場合にみておくべきデータとしては、まずは基本となるのがCr/BUNの数値になります。これらが高いと腎機能の低下を疑います。また、電解質(増加)もチェックが必要です。
もう一つは先ほども挙げた血球データです。RBC/Hbが基準値の低めもしくは基準値より低下している場合は
腎臓の造血機能(エリスロポエチン)が低下している可能性があります。(貧血による息切れ)
これらのデータがみれるだけも、関わる患者さんの状態把握には十分だと思います。
患者さんの症状はなぜ起こっているのか?、運動療法の禁忌、中止基準をどうするか?などリスク管理を含めた
運動療法の幅が増えていききます。
日々の臨床の一助としていただけたら幸いです。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
リハカレ認定講師 理学療法士 中嶋 光秀