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何を始めるにもまずは基本が大事。
この言葉は運動、勉強に関わらず色々な場面で使われます。私等療法士にとっての基本・基礎といえば、一番わかりやすいのが国家試験問題。国家試験問題を合格点まで取れるという勉強内容が土台になります。
先日、国家試験当日にリハカレFBライブにて運営チームが「運営スタッフは昨年の試験問題を解けるのか?」的な配信をしたのですが、若干あやふやな場面もちらほら。いい悪いの話ではなく、実際多くの皆さんも専門・得意分野以外はあやふやになっているはずです。
同じように治療技術の中でも基本となるのがROMex。
膝関節一つ動かすだけでも、骨・関節・靭帯・関節包・筋肉・結合組織(皮膚等)の解剖学的知識と運動学、運動中や最終域でのfeeling(エンドフィール等)、前後の関節との関係性など色々知らなければならないことが多いですが全てバッチリいつもやれてますか?と言われると自信を持って手を挙げられる方はどれぐらいいますでしょうか?
実は私達は基本、基礎が疎かになっていることに日頃あまり気がついていません。
そして、「基本だから簡単」という謎のマインドセットのもと、「基本・基礎を身につけきれないまま」臨床に出ていることが
多いのではないでしょうか?
基本・基礎の反復が応用につながる。
「臨床は応用ができなければ対応できない」と思っている方も多くいると思います。まさに臨床は応用のオンパレード。そのため、応用知識、応用技術に関しての学習意欲はとても高いものがあります。
しかし、「基礎ができないと応用はできない」という事実をみなさん忘れがちです。そして何より「自分は基礎ができている」という幻想に陥っています。どんなに先端の応用知識や応用技術を学んでも、応用するための土台となる基礎がないと真の理解にはつながりません。
実は私たちが応用と思い込んでいることのほとんどが「研修会で習った新たな技術や文献・参考書から持ってきた答え」でしかない場合がほとんどで、「基本・基礎的な知識・技術をしっかりやった上でその応用をした」ということではないことの方が多いのではないでしょうか?
本当の応用というのは基礎を繰り返して身につけた後に、「これができるならこうゆう方法もできるのではないか?」という発想から生まれます。もちろん、自分以外の誰かのアイデアを文献や講習会で受けとる場合もあります。しかしその場合は自分も同じような基礎を知っている、できているから応用知識・技術として使えるという前提があります。
大工がノコギリで木を切るということは何を示す?
わかりやすい例として、ノコギリで木を切るということを考えてみましょう。
木を切ることで求められる1番の要素は線に沿って「真っ直ぐ切る」ということ。
何回切っても真っ直ぐで、同じ形になる。という技術。これが基本・基礎です。
次に、家を建てるために必要な木を加工するために、斜めに切ることや凹凸を作るように切るというのが応用です。
しかし、ただ斜めに切る、凹凸を作るように切ればいいのではなく、同じものをいくつも作ったり図面通りの形にならなければならないので
正確性・再現性が必要です。この正確性・再現性を担保するのが「木を真っ直ぐ切る」という基本・基礎の技術になります。
どんなに優れた図面があっても、材料を加工するための基本的な技術・知識がないと形になりません。その基本・基礎はどのようにして身につけるかというと「反復練習」しかありません。
基礎を飽きずに反復する
今回は大工さんを例に出しましたが、実は皆さんもっと若い頃から「基礎の反復の重要性」を体験済みなのです。
部活等でたくさん基礎練習を反復しませんでしたか?そして、基礎をおろそかにしている人ほど上達しない。そんなことを体験してきているはずです。
では皆さん療法士としての基礎を反復練習・学習したことのある方はどれぐらいいらっしゃいますでしょうか?
これは誰かを責めるものではなく、今の自分は何を土台にしているのだろう?という再認識です。
その土台は確固たる足場になっているのか?たまにぐらついても、修復が効くのか?そもそも不安定な足場なのか?
これは皆さん自身がそれぞれ感じるところです。
ただ一つ言えるのは「基礎を飽きずに反復する」ことができる人ほど、前に進んでいるということ。
私も何度も何度も基礎にもどらざるをえなくなります。少し応用ができるようになり、経験を積めば積むほど自分の足場の不安定さに気がついて基本・基礎を再確認します。
「基礎を飽きない」という言葉は新人さんより、中堅ベテラン療法士に向けた言葉ですね。
どんなに経験を重ねても、基礎という土台は嘘をつきません。年に1回、国家試験をきっかけに自分の土台となる基礎を見直してみませんか?
最後まで読んでいただきありがとうございます。
リハカレ認定講師 理学療法士 中嶋 光秀