精神療養病棟で疾患別リハを始めたい!令和2年診療報酬改定案を具体的に考えてみる【作業療法とは?】

先輩「んっふっふっふ」
新人「あれ?先輩どうしたんですか?」
先輩「ん~♪ うん」
後輩「……あ、もしかして今回の改訂案じゃ?」
新人「改訂案?」

後輩「そっか、報酬改定も始めてだよね」
新人「ええと、その、まだ書類を読めてなくて」
後輩「まあ、そうだよね。文字ばっかりだし!」
先輩「ちょっと!何でそんなにテンション低いかな~」

新人・後輩(うわっ、いい笑顔……)

先輩「精神科で身体リハって、かなり大きな事なんだからね!」
後輩「あ~まぁ、そうでしょうけど、PTだとピンと来ないんですよね」
新人「私も一昨年の実習でしか見てないので正直……」
先輩「え~ 後輩くんは仕方ないけど、この感動を新人さんと共有できないなんて……」

新人・後輩「……ははは」

 

はい、久々に彼らの登場です。

前回までのエピソードでは、先輩さんが退職し、精神科病院に務める!と宣言してましたね。

4月から務めるタイミングで、「精神療養病棟におけるリハビリテーションの推進(案)」が出るとは。

昨年8月時点では先輩さんも知らない事実。

彼女にとっては、いわゆる身障系から精神科への転職。

経験を期待されちゃうでしょうね。

と言う事で、今回は前回の内容をもっと具体的に考えていきましょう。

 

 

精神療養病棟で疾患別リハを始めたい!

精神病棟長期入院患者身体合併症リハ

これまでの要望通り、精神科の現場で身体リハが行えるようになります。

これは「精神、身体の両面がみることができる」のですから現場には最高の状態と言えます。

何よりこれまでのように闇営業をしないで済みますからね。

とはいえ、前回いきなり「やりたい!」と言う気持ちを挫いたように、いくつか条件を確認しなければなりません。

この先は、あなたの精神療養病棟、あるいは作業療法室や病院全体を思い浮かべなから読んでくださいね。

 

 

疾患別リハの算定要件を確認しよう!

疾患別リハ概要

今回、療養病棟で疾患別リハを開始するにあたり、最低限の条件……算定基準が一覧になっています。

この図を見て、何を準備しなければならないのかをチェックです!

チェックをする時にオススメの考え方があります。

「5W2H」です。

つまり……

  • When(いつ)
  • Where(どこで)
  • Who(だれが)
  • What(なにを)
  • Why(なんのために)
  • How to(どのように)
  • How much(いくらかけて)

やるのか?

ってことです。

 

 

When:いつ?

いつやる?

いくつか分けて考えたいですね。

  • いつやるのか?
  • いつまでやるのか?
  • いつからやるのか?

などなど。

院長、事務長、看護部長、医局長ら運営幹部に方針を訊ねないことには始まりません。

やるのか、やらないのか?

やるなら「いつからやるのか?」ってね。

開始したい日程が分かれば、逆算して期限とその為の準備をいつやればいいのかわかりますね。

 

 

Where:どこで?

どこでやる?

ここはシンプルに「疾患別リハを算定する為の場所」にしましょう。

最低45m2以上でしたね。基準を上げたり複数算定したいなら100m2以上です。

精神科作業療法室(50m2以上)が2部屋分必要ってことですね。

まだ明確になっていませんが、精神療養病棟内の機能訓練室はそれに充当できるのかが気になるところ。

僕の考えを言えば、ダメでしょうね。

精神療養病棟にいる方の機能訓練を目的にした部屋なので、使用することはできても、基準上の面積にはカウントされないでしょう。

だったら、「どこでその面積を満たすのか?」ですね。

大型の作業療法室を持つ病院なら、今回の件に至るまで精神科作業療法の対象となる方が徐々に減ってきた事実があるでしょう。

作業療法室の一部を改修、あるいは一部屋を疾患別リハ専用の部屋にする方法を取るのではないでしょうか?

その他、空きスペースの確保や、場合によっては工事が必要になるかもしれませんね。

 

 

Who:だれが?

だれが?

前回も話題にしましたが、人員の確保が必要です。

精神科作業療法を行なってきたOTさんは、どうしてもHands-onアプローチの経験が足りません。

いわゆる身障系の経験がある療法士を確保する必要があります。

また、医師の条件もありましたね。取得したい疾患別リハおいて3年以上の経験を有する医師でなければ(Ⅰ)の基準は取れません。

さて、質問です。

  1. 今、あなたの職場で、「身障系リハ経験のある療法士」はいますか?
  2. 疾患別リハの臨床経験あるいは研修が修了している医師はいますか?
  3. いないなら、誰にやってもらいますか?

すぐに顔が思い浮かばないなら、調べるか、募集するか……

となれば、リハ科だけで考えてもどうにもなりません。

リハ科、医局、看護部、医事課、などなど、全職種の主要メンバーを招集して話し合い、運用をしていかねばですね。

病院の新たな事業として、自分ごととして全員でやれるのが理想ですね。

 

 

What:なにを?

何を?

さて、ここまで進んできたら、具体的に何をやろうか、って事になりますよね。

人員、面積が確保できたものに応じて……おそらく(Ⅲ)が現実的でしょうね。

しかも、要件が最も満たしやすいもので言ったら「運動器リハ(Ⅲ)」になるのではないでしょうか?

もちろん、それらをやるにしても他の細かな準備が必要になります。

精神科作業療法と違って、具体的すぎる具備すべき備品等は無いようなので、プラットホーム(施術台)やT字杖など必要なものを準備すれば……

 

 

Why:なんのために?

理由

大元の目的ですよね。

患者さんの為にならないのなら、今無理に基準を満たそうとしない、と言う選択肢もありです。

やるとしたら、病院全体の事業として動く必要が出てきます。

「患者さんの人生における健康と幸福の支援」が開設する目的ならば……少なくとも作業療法士間では共通認識ですよね。

目的と行動の為の言葉はシンプルに設定しましょう!

 

 

How to:どのように?

どうする?

ここは各病院さんで違ってきますよね。

なので、現場で話し合いをする事がまず最初です。

でも、それでも考える足がかりや、具体的な方向性をつける為の行動をしたいなら、相談できる場があるといいですよね。

一つアドバイスをするなら「考える事を諦めない」ですね。

 

 

How much:いくらかけて?

いくら

これは忘れがちなもの。予算組みなどは上司任せ……となることもしばしば。

ですが、少なくともかけた金額をどんな期間で回収するのかを計算していきましょう。

ここは医事課と具体的に詰めていくのがいいでしょうね。

まだ医事課長と仲良くなっていないのなら、今回の報酬改定をネタに仲良くなってください。

色々調べて教えてくれますよ。

 

 

まとめ

まだまだ議論の余地もあれば、始めたとしてどんなアプローチをすればいいのかなど、考える事はたくさんあるでしょう。

一つずつ解決しながら、開設を実現したいですね。

 

 

 

 

 

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参考・引用

 

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