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■前回のおさらい
安定した坐位とは、上肢活動がフリーである(バランスを取ることに関与しない)ことが第一で、上肢活動に合わせて体幹は立ち直り反応を駆使してバランスをとれる状態をさしています。
何度も繰り返しますが、坐位は【体幹部の抗重力位での振る舞い】をみているということを念頭において、今回からは立位の姿勢分析を考えていきましょう。
■立位は背臥位を抗重力位にした姿勢?
姿勢分析をする中で最も難易度が高いと思われている立位姿勢。難易度が高いと思わせる点が大きく2つあります。
- 姿勢保持が難しい方が多く、観察するにも離れてみることができない。
- 矢状面・前額面・水平面と3つのアライメントが「捻れ」という形で四肢・頭頸部・体幹に出てくるので、どこに視点をおいて観察分析すれば良いのかわからなくなってしまう。
この2点が臨床で感じるところではないでしょうか?
しかし、立位を見る前から立位姿勢の予測がついていたらどうでしょう?
実はもっと早い段階から皆さんも立位姿勢の予測はできています。それが背臥位姿勢のアライメントです。
もう一度背臥位を思い出してみましょう。
背臥位の一番の特徴は「従重力位で重力の方向は背中全面」。頭尾方向には重力を受けていませんので、重力に影響されてない「素」のアライメントをみることができます。
背臥位で観察されたアライメント不良は、そのままぐるっと起こして立位姿勢にしたときに、頭尾方向の重力を受け、アライメント不良が助長されます。つまり、背臥位のアライメント不良がより顕著に出るのが立位姿勢ということです。
■上半身はすでに坐位でみている
また坐位編でも繰り返しましたが、頭頸部・体幹と上肢の抗重力位でのアライメント、振る舞いは坐位でみれています。結論を言ってしまうと、立位姿勢は坐位での腰から上のアライメントに下肢の機能(支持+基底面狭い+高重心)が加わった時に、背臥位のアライメント不良を助長させた姿勢になっている可能性が高いということです。
順繰りと背臥位から姿勢をみているのは立位の予測のためでもあります。
■ポイントは3つ
では、改めて、立位をみるためのポイントを3つ挙げます。
- 立位全体像と背臥位に共通点はあるか?(立位と背臥位の全体的な印象が近いか?)
- 立位での上半身のアライメント、振る舞いは坐位と共通点はあるか?
- 下肢機能は股・膝伸展0度で左右均等に荷重し支持が可能か?
この3つがわかると、立位保持が短時間しかできない対象者でも立位姿勢がみれるようになります。
中でも一番注目したいのが、坐位と立位での頭頸部・脊柱のアライメント。すごく大雑把にいうと、坐位姿勢の下に
真っ直ぐの脚をつければ立位になります。つまり、坐位と立位姿勢で頭頸部・体幹のアライメント不良に大きな差がなければ、下肢の機能は立位保持という面では機能している可能性が高いです。
逆に立位になることで頭頸部・体幹のアライメント不良が助長される場合、下肢機能からの影響を受けている可能性が高くなります(片方の膝が軽度屈曲位など)。
ここがみれると、立位のアライメント不良が下肢の機能不全の影響を色濃く反映されているのか?そもそも坐位や背臥位でみられたアライメント不良が「頭尾方向の重力+高重心+支持基底面の減少」の影響で助長されただけなのか?という2つの原因?仮説?に分けられるのでまずはどこに介入したらいいのか?というヒントにもなります。
■最後に
立位は「背臥位に頭尾方向の重力をかけてアライメント不良を助長させた」姿勢である。
立位は坐位での上半身の抗重力位のアライメントに真っ直ぐな脚をくっつけただけの姿勢に近づくはず。
立位と坐位で頭頸部・脊柱のアライメントに差が出るなら、それは下肢機能の影響を受けている可能性が高い。
この3点を念頭に背臥位〜立位姿勢を見直してみてはいかがでしょうか?
最後まで読んでいただきありがとうございます
リハカレ認定講師 理学療法士 中嶋光秀