◇世界が高齢化
日本人の平均寿命が延びていますが、どうやら世界で一番ではなくなった模様です。
シンガポール国立大学(NUS)公衆衛生学院のチア・キーセン教授は「多くの人にとり、障害、疾患が良好な生活の妨げになることはない」と指摘。慢性病は無自覚のものが多く、病を抱えていても心は健全性を保てると述べた。
(参考:平均寿命でシンガポール、日本を抜き世界1位に)
「健康とはなんなのだろうか??」
という部分についてはそれぞれの定義でいいのでしょうかね?
内服薬を飲みながら、自分で自分の好きなことをできていたら、健康と呼んでもいいように思います。
定期的に受診が必要な状態を健康とは言わない、と言うのであれば、私は不健康です。(真珠腫性中耳炎の手術後定期的に受診している)
◇認知症対策
寿命が延びて高齢者が増えることで心配される「認知症高齢者の増加」について、我が国としても対策を練っているようです。
「70代の認知症の人の割合を10年間で1割減らす」、などの数値目標を立てたと思ったら、(批判を受け)撤回するなど、まだまだ議論は行われています。
認知症高齢者の増加によって生まれる社会的コストという現実面を考えたら、何かしらの手を打つ必要はありそうですが、万人が納得するプランが生まれるかは不明です。
多くの人は「認知症にはなりたくない。」と思っているようであることは、私が出会う高齢者やその家族から直接耳にすることからも伺えます。
認知症になりたい人はいない、ですよね。。。
認知症の原因ははっきりせず、具体的な予防策が生まれていないことが現実だと思います。
一般的に知られる「記憶」に関する症状から考えると「海馬」という部分が関係することが言われています。
画像診断から得られる海馬の萎縮、周辺の血流低下は認知症症状と関連しています。
以下の研究は、海馬の体積に関するものです。
Exercise training increases size of hippocampus and improves memory
認知症のない120歳以上の成人を対象に、有酸素運動群(n = 60)とストレッチング群(n = 60)に分けて、介入前、6カ月後、プログラム終了後にMRIの撮影をしたそうです。
ストレッチ群に比較して、有酸素運動群は、部分的に海馬体積の増加を認めたそうです。
他にも酸素摂取量などの増加も認められています。
加齢に伴って海馬の体積は減少していくことが知られていて、それが認知症のリスクになることが言われています。
今回のデータは、有酸素運動が「効果を生む部位がある」ことが報告されました。
それは、前方の海馬だそうです。
有酸素運動の効果が現れる部位は選択的なようですね。
ちなみに、この研究で行われた有酸素運動のプロトコールは
Participants started by walking for 10 min and increased walking duration weekly by 5-min increments until a duration of 40 min was achieved at week 7. Participants walked for 40 min per session for the remainder of the program.All walking sessions started and ended with approximately 5 min of stretching for the purpose of warming up and cooling down.
10分歩くことから始め、7週目に40分が経過するまで、毎週5分ずつ増やす。
残りのプログラムでは1セッションあたり40分歩く。
すべてのウォーキングセッションは、ウォームアップとクールダウンを目的として、約5分間のストレッチで開始および終了。
だそうです。
◇認知症リスクに効果的なこと
認知症リスクの一つである海馬の体積減少に対して効果的なのは、「ウォーキング」なのですね。
しかし、そのようなことは昔から散々言われていました。
「やる」のか「やらない」のか
「続ける」のか「やめる」のか
ここが境界線になりそうです。
過去に、ウォーキングを必死にやりすぎて半月板損傷になっていた高齢者のリハビリを担当したことがあります。
先ほどのものに加えて
「どう」やるのか
も重要ですね。
これから高齢者になる人も、現在高齢者の人も、「歩ける体」でいることが、なによりも重要かもしれません。。。
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