リハビリはサービス業ではいけないのではないか?

◇医療はサービスだと思っていなかった

「医療はサービス業である」

就職した施設の接遇研修などで、こんな言葉を聞いたことがありませんか?

 

広辞苑によると「サービス業」とは

日本標準産業分類の大分類の一。旅館、下宿などの宿泊設備貸与業、広告業、自動車修理などの修理業、映画などの興行業、医療・保健業、宗教・教育・法務関係業、その他非営利団体を含む。(広辞苑より)

と、あります。

 

広辞苑的では、医療はバッチリ「サービス業」に入ります。

 

 

新人の頃の私は、そんなことは頭になく

「サービス業?そんなこと言って、患者「様」とか呼ぶからモンスターペイシェントっていうのができあがるんでしょ。医療者は威厳ある態度でいなきゃダメでしょ」

って本気で思っていました。。。

 

 

今から18年前の話です。。。

そうしたら、どうなったと思います?

 

◇名指しでクレームをもらう

そうです。ご想像の通りです。

私、福田は患者さんから名指しでクレームをいただきました。

 

今でも覚えています。

お名前も、疾患名も、クレームをいただいた理由も。

 

当時、現役で教師をされていた人で

やさしく

厳しく

クレーム(本当はクレームでなく、愛あるご指導)を頂戴いたしました。

 

 

それ以来、「誰のための医療なのか」、「何のための技術か」という部分は相当意識して仕事をしてきたつもりです。

 

 

話しかた、接し方(触れ方)、目線の高さ、姿勢、服装、髪型

技術じゃない部分の精度もかなり気をつけてきました。

 

◇それでもリハビリがサービス業だと思えない

「医療はサービス業である」を知らず、その言葉に納得できない若造だったけど、今なら納得できるか?

というと、答えは【No】

 

その理由をお話しします。

まずはこの記事の引用部分をご覧ください。(少し古い記事になりますが・・・)

 

あなたは、サービスとホスピタリティの違いが説明できるでしょうか?

(以下引用)

「サービス」とは、お客様から言われたことに対応することです。
「お水ちょうだい」
「はい、承知いたしました」
これがサービスです。

一方、「ホスピタリティ」は、木下氏が実践していること。すなわち、言われる前に「お客様がやってほしいだろうな」と感じたことをやってあげることになります。
「お水お注ぎしましょうか?(残り少ないようですから)」
「あ、はい、ありがとう(ちょうどおかわりしようと思ってたんだよな・・・うれしい!)」

これがホスピタリティです。

「吉野家のベテラン店員に学ぶロボットに代わられない接客の極意」 より引用

 

 

どうです?

医療がサービスで良いと思いますか?

求められるのはホスピタリティですよね?

 

これが「医療がサービスである」にNoを言う理由です。

医療はサービスでなくホスピテリティを目指してほしい。

言葉が丁寧ならいいわけじゃないんです。

 

◇リハビリに求められるのはホスピタリティ

ホスピタリティの秘訣は「観察」ですね。

療法士たちは「動作」を観察するのが好きです。(とくにPT)

 

 

では「人間を観察」しているでしょうか?

 

「この人、こういうことをして欲しいんだろうなぁ」

ということを見つけようとしていますか?

 

患者さん(あるいは上司や他部署の人)から、言われて初めて動くのであれば「サービス止まり」なんです。

 

 

最近のテクノロジーの進歩を見ているとホスピタリティに関しても「ロボットが代替」できそうな感じですよ。

Amazonなんかは、「こういうのお好みじゃないですか?」という感じでオススメ商品を紹介してきます。

過去の膨大なデータを元にしているわけです。

 

カメラのレンズ性能や、認識レベルが向上してくれば、「微妙な表情の変化」などもデータとして収集して、最適なアクションを導くかもしれません。

 

他にもサーモグラフィー、赤外線カメラ、GPS,などなどあらゆる機器から情報が数値化されて、データとして取り込まれ、学習されていけば、機械によるホスピタリティは実現するかもしれません。

 

入力に対しての出力が、サービスであるとしたら、予測が可能という意味でロボットはサービスを超えるポテンシャルを持つと考えられるわけです。

 

 

 

◇療法士は何を目指す?

・自分が臨床で提供しているリハビリテーションは、どんなにテクノロジーが進化してもロボットでは絶対にできない!

・社会がどうなろうと、医療情勢がどうなろうと、自分が提供するリハビリテーションは絶対に必要とされる!

という自信がありますか??

 

かつては、「はい、自信あります」と言えるために、自己研鑽が必要と考えていました。

最近はロボットと競っても仕方ないな、と感じています。

 

 

人間でしかできない部分は、実はそんなにないのかもしれません。

考えられるのは「共感」でしょうかね?

 

楽しい時に一緒に「楽しい」って思える。

悲しい時に一緒に「悲しい」って思える。

 

そういうところかもしれません。

つまり、人として当たり前な部分。

 

それには、やはり相手の表情や仕草を観察して「どうして欲しいのかな?何を考えているのかな?何を感じているのかな?」と探るといいのでしょうね。

 

笑っているなら、いっしょに笑えるといいし、泣いていたら、一緒に悲しむ。

人に残されたところってそういうところなのかもしれません。

 

または2020年の現時点で言えるのは、ロボット、AI、などのテクノロジーは”まだ”自ら問いを立てないのではないでしょうか?

問いを立てるのは人に残された部分なのかもしれません。

 

◇IAIRは教育機関です

学術的な勉強に関しては学校でもできますし、インターネット上に情報はたくさんあふれています。

技術的な勉強に関しては、色々な講習会が存在しています。

 

IAIRで学んだ人が、患者さん、多部署の職員の方々から感謝され、信頼される理由は「人間として大事な部分」を身につけているからだろうな、と考えます。

IAIRの理念や学ぶ内容に対しては、提携している企業様からも高い評価をいただいています。

 

 

IAIRの育成システム

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