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前回のおさらい
前回は心臓が悪くなると腎臓が悪くなるというお話でした。
https://iairjapan.jp/rehacollege/archives/2062
簡単に説明すると、心不全状態になると心臓のポンプ機能が低下(左心不全)することで心拍出量が低下し、腎臓への血流量が減るので腎機能が低下する、もしくは体静脈うっ血(右心不全)により、体循環自体が滞り、腎臓から血液が出ていきにくくなるため、腎静脈圧が高くなり、腎臓もうっ血状態になり腎機能が低下する。こんなイメージでOKです。
なぜ腎臓が悪くなると、心臓が悪くなる?
では腎臓が悪くなると、なぜ心臓が悪くなのでしょう?ごくごく簡単にいってしまうと、尿生成ができず、水分を排出できなくなるため、体液が貯留しうっ血状態になるため心不全になるということです。
腎臓の機能
腎臓の機能の中で最も重要なことは水分の調整にあります。つまり尿の生成です。腎臓では血液を糸球体で濾過して原尿を作り、尿細管で原尿から水分(99%)やNaを再吸収し、原尿の1%が尿として排出されます。
腎機能が低下すると、糸球体濾過量が減ります。すると原尿の量も減るので、排出される尿量も減ります。
糸球体で濾過されない血液は多くの水分を含んだまま静脈に流れていくので、循環血液量自体が増えます。
循環血液量が増えると、心臓が血液を受け入れる拡張機能に負担がかかる(前負荷の上昇)ので、代償が聞かなくなると多くの血液量を心臓に受け入れられず心不全を起こします(体静脈うっ血による右心不全)。
うっ血が進むと血管内の圧が高くなるので高血圧となり、高血圧が続くと、心臓のポンプ機能(拍出機能)に負担がかかりやすくなる(後負荷の上昇)ので心不全を増悪させます(左心不全)。
心臓も腎臓も血液循環という1つの輪の中にいる。
身体の中には色々な臓器があり、それぞれ機能分科がされています。心臓は血液を送るポンプ、腎臓は血液を濾過する、肝臓は解毒、消化器は消化吸収、肺は呼吸、脳は全体の司令塔としての役割があります。
しかし、どの臓器・機関にも必ず血液が流れており、その血液によって栄養されて機能しています。
血液循環に関わるイベントは血液が流れる全ての臓器・機関に影響を与えます。私たちが行う運動療法も血液循環を変える1つのイベントです。今回は腎臓と心臓をテーマにしましたが、この2つにかかわらず、血液循環という1つの輪の中で相互に作用し合っているんだという、「繋がり」を知っていただければ幸いです。
最後まで読んでいただきありがとうございます
リハカレ認定講師
理学療法士 中嶋 光秀