肥満と糖尿病〜運動が必要な理由②NEATをみてみよう!〜

糖尿病に運動が必要な理由を
前回一部紹介いたしました。

 

 

しかし、ガイドラインで推奨されている運動は、
健常者でも結構ハードルが高い
http://www.fa.kyorin.co.jp/jds/uploads/gl/GL2019-04.pdf

 

そこで近年注目されているのが、
日常生活活動によるエネルギー消費(NEAT)です。

日常生活活動によるエネルギー消費(non-exer- ciseactivity thermogenesis:NEAT)は、肥満者と標準体重の者では大きな差があり、それが肥満の形成に大きく影響することが示唆されているほか、日常生活において座位の時間が長いほど死亡率と心血管疾患が増加することも示されている。

2型糖尿病患者においては、30分に一度軽い運動を行うと、座位を維持した時よりも食後高血糖が改善することが示されており、座位時間が30分を超えたら一度座位を打ち切り、軽い運動を行うことが勧められる。さらに、疫学的に糖尿病患者で運動と生活活動を合わせた身体活動が高い人ほど心血管疾患の発症や総死亡率が低いことが示されている。

出典:糖尿病診療ガイドライン2019
http://www.jds.or.jp/modules/publication/index.php?content_id=4

 

つまり、トレーニングを何分やったかより、
日常生活でどれぐらい活動しているか?が
肝になります。

 

では、実際にある日の私のライフログから
NEATを見てみましょう。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

7:00起床〜朝食、身支度

8:20出勤〜自家用車で10分

8:30職場到着〜着替えのため5Fまで階段を昇る

8:40〜9:00〜始業前ミーティング
この間立位がメイン

9:00〜12:00〜AM臨床業務
(リハ室は5F。患者移動はエレベーターで)
 5Fでリハ実施は1名のみ。後は2Fの
ベッドサイドリハへ。

 *AMの階段昇降は2F〜5Fを2往復

12:00〜13:00〜昼休み(昼食&昼寝orカルテ業務)

13:00〜17:00〜PM臨床業務(2Fベッドサイド
*PMのみで9名実施。階段昇降は1往復のみ

残務で18:00〜カルテ書類業務

18:10〜3kmジョギング後車にて帰宅

18:40〜帰宅。夕食までスマホで動画視聴。

0:00〜就寝(夕食・入浴以外の時間はスマホかPC作業)

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

というような1日です。

 

さて、どれぐらい活動量があると思いますか?

 

職場では階段昇降は計4往復。
(出勤・退勤時の移動含む)

 

歩行時間は、リハ送迎やベッドサイドの移動等をみても
患者1名につき5分と計算してこの日は13名のリハ
だったので65分

 

介助歩行をする患者さんは居ないので
リハビリ中の私の姿勢はほぼ座位。

 

と考えると、仕事での身体活動は
65分の歩行と2〜5Fの階段4往復のみ・・・。
ROMex等で身体は動かしますが、たかだか
しれてます。

 

この日はジョギングをしたので、まだましですが、
帰宅後は就寝まで、ほぼ定位置で座位で過ごしています。

 

つまり、24時間中、90分程度しか
座位以上の活動をしていない・・・。

 

忙しそうにしているはずなのに、
体を動かす仕事のはずなのに・・・。

 

こうやってライフログを簡単に見直して
みると、自分がいかに動いていないかが
わかります。

 

ここが「みえる化」すると、どこで活動量を
増やすと自然と活動量が増やせるのか?という
ヒントがみえてきます。

 

運動や活動量を増やすときに必要なのは
習慣化です。

 

新しい習慣というのは身につくのに1〜3ヶ月
ぐらいかかる(気が遠くなる・・・)ので、
まずは新しい事はしません。

 

簡単な方法として、今ある身体活動のレベルを
ちょっとあげるorながらでできる運動。

 

私の場合だと、再現しやすいのは、
出勤は極力徒歩。

 

勤務時間中の移動は
65分の歩行移動を早歩きや歩幅を広げる
(だらだら歩かない)
階段を昇るときは1段飛ばしで。

 

後は帰宅後に何らかの家事を追加
(皿洗いでも、風呂・トイレ掃除など)

 

特別なことをしなくても、これだけで
活動量が増やせます。

 

他には、歯磨き中には爪先立ち、
着替えや、シャワーは立って実施

 

トイレは必ず座ってする(立って小をしない)
(立ち座り動作が入る&ついでに汚しにくい)
などなど。

 

また、新たに活動量を増やしたいなら、
趣味活動などの楽しみや家庭内外で役割のある
ことを追加すると良いと思います。

 

目的は肥満の予防や、生活習慣病の
予防、改善という大義があります。

 

そこにフォーカスしすぎると何だか
決められた規則、メニューの中でしか
生活できない息苦しさの方がまさって
しまいます。

 

どうせなら、楽すぎず、かつ楽しく活動することで
結果的に身体活動量が増えて、病気の予防や治療
に繋がる。

 

そんな身体活動を患者さんと一緒に
作りあげられたらいいですね!

 

最後まで読んでいただきありがとうございました。
国際統合リハビリテーション協会
理学療法士 中嶋 光秀

 

PS.今回のライフログから自分の活動量の低さも実感
しましたが、これがデスクワーク中心のサラリーマン
だったらと思うとゾッとします。そりゃ普通に生活
していたら加齢と共にメタボになりますよね・・・。

 

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