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オンライン化の波
まだまだコロナ禍における自粛が明けない昨今。講習会のあり方も変わってきていて、都道府県士会レベルでもZoomでのオンライン講義に移行しています。
我々リハカレもオンライン講義を始めて2年になり、ますます皆さんの学習意欲に驚かされています。
講習会のオンライン化もそうですが、ネット検索での情報取得ということに関してもかなり一般化してきており、何を学ぶにおいても最低限ネットでの情報取得をするということがマストになってきています。
オンライン化が進むことで、ネット上での文献検索や大学の教授をされているような普段お話をなかなか聞けない先生方の考えをブログ等で拝見できたりと、情報収集をするということに関してはバリアは皆無になってきています。
ここで何が言いたいかというと、「知識を学ぶ」ということに関してはいつでも誰でもできる環境にあるということ。
それを「やるか」「やらないか」というだけで、それ以上のバリアはないということです。
何のために勉強する?
SNS界隈では「何のために勉強する?」という話題がちらほらみられますが、私たちにとっての勉強とは何のためなのでしょうか?
リハカレの中では疾患別シリーズや運動器疾患に対する介入のための機能解剖&触診についての講義が多くなっています。
より多くの知識をわかりやすく理解してもらうのがコンセプトではありますが、目的は「勉強」ではありません。
私たちが多くの知識を必要とする一番のポイントが仮説検証作業の中にある「評価〜仮説」です。
疾患についての知識はもちろん、薬や血液データなどさまざまな指標をもとに評価をしていかなければなりません。
ここでの知識量の多さが、評価〜仮説にかけて色々な可能性を考えられるベースになります。
考えられうる可能性をできるだけ網羅した評価をいかに解釈し、どれだけ仮説のバリエーションを増やせるか?
この仮説のバリエーションを増やすためには前段となる知識が必要になります。
心リハを例に
例えば心不全の患者さんを例にすると、まずはリハビリに必要な心機能の評価をします。心不全症状の有無や分類、%EF、心胸比、運動耐容能や筋力などがそこに当たると思います。それらの評価のもと仮説を立てて、中止基準に気をつけながら運動療法をスタートします。
ところが、思ったより患者さんの体力が持ちません。運動をしてもすぐに息切れ等を訴えます。
ではこの患者さん、体力がないだけと決めつけて低レベルからの運動を始めることで息切れは解決するのでしょうか?
もしここで少し心臓の勉強をしたことのある方なら「心腎連関」ということが頭をよぎると思います。
通常心臓から送られる血液の20%が腎臓が機能するために送られています。つまり心臓が悪くなると腎臓に行く血液も滞るので腎臓も悪くなるということです。
腎機能が低下することで血圧のコントロール不良や血球成分の不足が見られることがあり、心不全であれば同時に腎機能のデータと血球データを確認する必要が出てきます。
腎機能の低下があれば、HbやRBCが低下して貧血状態にあることがよくあります。つまり、息切れは心臓のポンプ機能の低下や体力がないだけではなく、貧血による息切れの可能性も考えられるのです。そこで改めて患者さんの顔色などを再確認すると「安静時からちょっと青白い感じがするかも…」というような気付きを得ることもでき、普段からのフィジカルアセスメントの重要性が見えてきます。
知識は繋がっている
今回は心不全を題材にお話をしました。心不全だから心リハのガイドラインがあれば大丈夫!ではないことが実際の臨床ではよくあります。
もし心腎連関を知らず、腎臓の勉強をしていなければ、「安全に運動療法をする方法」ばかり探していたかも知れません。
私たちが今まで勉強してきたことも、これから勉強することも、それだけを見れば1つの点でしかありません。
しかし、多くの点を持つことで点がつながり、線になり、面となっていきます。
一つの事象に対して多くの視点から見ることで、可能性という仮説が多く立ちます。
その仮説を検証すること(治療)で問題解決に近づいていきます。
多くを学ぶことは簡単ではありません。しかし、情報へのアクセスが容易になった昨今では「全くわからない、知らない」ということは逆にナンセンスな時代でもあります。
まずは興味のある分野、今必要な分野で構いません。若いうちはとにかく多くの知識という点を打ってください。
数年後それが何かのきっかけでつながり線になったときに、一気に成長していきます。
知識を簡単に得られる時代になりました。それゆえ知識を持っているかどうかで差がつく時代ではありません。
知識は持っていて当たり前。それを知恵に昇華させいかに使っていくか?がこれからの差になります。
まずは知識の点を多く打つことから始めてみませんか?
最後まで読んでいただきありがとうございます。
リハカレ認定講師 理学療法士 中嶋 光秀