慢性腰痛の方に、「眠れていますか?」と聞いていますか?
こんにちは。
ILPT(Interactive Low back Pain Technology)主宰、赤羽秀徳です。
慢性的に腰痛を訴えている方で、睡眠に悩んでいる方はいらっしゃいませんか?
「なかなか寝付けなくて……」
「夜中に何度も目が覚めてしまう……」
「眠っても、体が休まった感じがしない……」
このように、不眠にもさまざまなタイプがあります。
共通しているのは、睡眠に対して十分な満足感が得られていないことです。
腰痛のある方では、
「痛みがあるから、よく眠れない」
と考えることも多いでしょう。
もちろん、重篤な器質的問題によって夜間痛が生じている場合には、医師による診察が必要です。
一方で、そうした問題が除外されているのであれば、
「痛いから眠れない」だけではなく、「眠れていないことで痛みに敏感になっている」
という可能性も考えてみる必要があります。
実際に、睡眠と腰痛との関連を示す報告もあります。
では、あなたが関わっている患者さん・利用者さんはどうでしょうか?
長引く腰痛を訴えている方に対して、睡眠の状況まで確認していますか?
今回は、慢性腰痛とも関係する「睡眠」について、改めて一緒に考えてみましょう。
そして最後には、自分に合った睡眠パターンを考えるためのセルフチェックもご紹介します。
不眠の原因には、どんなものがある?
睡眠不足による影響は、腰痛だけに限りません。
倦怠感、意欲低下、集中力低下、抑うつ気分、頭重感、めまい、食欲不振など、さまざまな症状につながることがあります。
では、そもそも不眠にはどのような原因があるのでしょうか?
厚生労働省の「生活習慣病予防のための健康情報サイト」では、不眠の原因として大きく以下のようなものが紹介されています。
① ストレス
心理的なストレスや緊張などが、睡眠に影響することがあります。
② からだの病気
高血圧、心臓病、呼吸器疾患、腎臓病、前立腺肥大、糖尿病、関節リウマチ、アレルギー疾患、脳血管疾患など、身体の病気が睡眠に影響することがあります。
③ こころの病気
うつ病など、精神的な問題が不眠の背景にある場合もあります。
④ 薬や刺激物
カフェインやニコチンなどが睡眠に影響することがあります。
⑤ 生活リズムの乱れ
交替制勤務や時差などによって、体内時計が乱れることがあります。
⑥ 環境
騒音、明るさ、温度など、寝室の環境も睡眠に関係します。
このように考えると、
「眠れない」という一つの症状だけを見ても、その背景にはさまざまな要因がある
ことが分かります。
だからこそ、慢性腰痛の方に対しても、
「痛みは何点ですか?」
だけではなく、
「最近、眠れていますか?」
と聞いてみることには意味があるのではないでしょうか。
まずは「自分に合った睡眠パターン」を知る
不眠の原因として思い当たることがあれば、できるところから生活を見直していくことが大切です。
ただし、睡眠に関しては、
「これをやれば、すべての人が眠れるようになる」
という絶対的な方法があるわけではありません。
大切なのは、自分に合った方法を探していくことです。
そのヒントの一つになるのが、「クロノタイプ」という考え方です。
「朝型」「夜型」という言葉を聞いたことがあると思います。
クロノタイプとは、個人が持っている体内時計の特徴を反映したものと考えられています。
自分が普段、どのような時間帯に活動しやすいのかを振り返ってみることで、自分の睡眠パターンを考えるきっかけになるかもしれません。
セルフチェックができるサイトもありますので、興味のある方は一度確認してみてください。
「自分は本当に朝型なのか?夜型なのか?」
普段の生活を振り返るきっかけにもなると思います。
自分に合った「快眠の工夫」を探してみる
ここからは、睡眠のために一般的に紹介されている方法をいくつか確認してみましょう。
すでにご存じのものも多いと思いますが、改めて振り返ってみることも大切です。
① 就寝・起床時間をできるだけ一定にする
生活リズムを整えるためには、起床時間をなるべく一定にすることが一つのポイントになります。
「たくさん寝たいから、休日はいつもより遅くまで寝る」というよりも、起床時間を大きく変えず、必要に応じて早めに就寝するという考え方もあります。
もちろん、個人差がありますので、無理のない範囲で調整していきましょう。
② 「○時間寝なければ」と睡眠時間にこだわりすぎない
例えば、予定していた起床時間より30分ほど早く目が覚めてしまったとします。
そのとき、眠気がなく、スッキリしているのであれば、
「あと30分寝なければ」
と無理に眠ろうとする必要はないかもしれません。
「○時間寝なければならない」
という考えにとらわれすぎないことも、一つのポイントです。
③ 朝の光を浴びる
朝に光を浴びることは、体内時計を整えるうえで重要です。
特に、朝起きてから日中に光を浴びる習慣は、睡眠・覚醒リズムを整える一助になります。
「朝起きたらカーテンを開ける」
「少し外に出る」
といった小さな習慣から始めてもよいでしょう。
④ 適度に身体を動かす
日中に適度な運動を行うことも、睡眠にとって大切です。
運動の種類やタイミングには個人差がありますが、日中の活動量を確保することは、夜の睡眠につながる可能性があります。
また、就寝前に軽いストレッチなどを取り入れることで、リラックスしやすくなる方もいます。
ここでも大切なのは、
「どの運動が正解か」ではなく、「自分にとって心地よいか」
という視点です。
⑤ 自分なりのストレス解消法を見つける
ストレスへの対処も人それぞれです。
音楽を聴く。
読書をする。
スポーツをする。
誰かと話す。
散歩をする。
どれが正解というわけではありません。
「誰かに勧められたから」ではなく、自分が心地よいと感じる方法を見つけること。
これが意外と大切なのかもしれません。
⑥ 寝る前に「リラックスタイム」をつくる
私自身は、寝る前にベランダに出て、大きく深呼吸するのが好きです。
ほんの数分でも、
「これをすると、そろそろ眠る時間だ」
という自分なりの習慣をつくる。
そんな方法もよいかもしれません。
⑦ 寝酒に頼らない
お酒を飲むと寝付きやすく感じる方もいると思います。
しかし、睡眠の質という観点では、寝酒は必ずしも良い方法とはいえません。
「眠るためにお酒を飲む」という習慣には注意が必要です。
⑧ 自分にとって快適な寝室をつくる
ベッド、布団、枕、照明、温度、音など、寝室の環境も睡眠に関係します。
ただし、ここにも「絶対的な正解」はないと思います。
大切なのは、
自分が実際に横になったとき、「心地よい」と感じられるかどうか。
自分にとって快適な環境を少しずつ探していくことが大切なのではないでしょうか。
慢性腰痛へのアプローチにも共通すること
ここまで、快眠のための方法をいくつか紹介してきました。
しかし、これらを一度に全部やろうとすると、それだけで負担になってしまいます。
これは、慢性腰痛へのアプローチにも共通することだと思います。
まずは、
「何か一つだけ変えてみる」
という考え方です。
今までと少し違うことを一つ試してみる。
そして、
「眠りやすくなった?」
「翌朝の感じはどうだった?」
「腰痛は変わった?」
と、その変化を一緒に確認してみる。
そうすることで、自分に合った方法が見つかることがあります。
「その人に合った一つ」を一緒に見つける
慢性腰痛の治療でも、睡眠へのアプローチでも、大切なのは、
その人の、その時の状況や価値観に合った方法を一緒に探すこと
ではないでしょうか。
ある人にとっては運動かもしれません。
別の人にとっては、睡眠環境かもしれません。
また別の人にとっては、
「痛み=身体を壊しているサインではない」
といった、ものごとの捉え方を変えることかもしれません。
セラピストが一方的に「これをやりましょう」と決めるのではなく、
患者さん・利用者さんと一緒に、「自分に合う方法」を見つけていく。
その中で、
「これならできそう」
というシンプルな一つを見つける。
私は、そんな支援が理想だと考えています。
睡眠について聞くことは、単に「よく眠れているか」を確認するだけではありません。
もしかすると、それはその人の慢性腰痛を理解するための、大切な入り口の一つになるかもしれません。
ぜひ明日からの臨床で、腰痛を訴える方に一度、
「最近、眠れていますか?」
と聞いてみてください。
そこから、新しい臨床のヒントが見つかるかもしれません。
すべての人々の“ハッピー”のために。
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対話的腰痛アプローチ
Interactive Low back Pain Technology(ILPT)主宰
赤羽秀徳
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参考資料
厚生労働省「生活習慣病予防のための健康情報サイト」
睡眠と腰痛に関する研究報告
