脂肪細胞と慢性炎症
前回に引き続き、「慢性炎症」のお話。
https://iairjapan.jp/rehacollege/archives/2929
慢性炎症を引き起こす1要因として、脂肪細胞から出る炎症性サイトカインが
いくつか存在します。
この炎症性サイトカインがインスリン抵抗性を引き起こし、糖尿病のトリガーとなる
のではないかと言われています。
しかし、慢性炎症を抑える薬の研究・開発が進んでいるのですが、慢性炎症が起こる原因や、
なぜさまざまな疾患を引き起こすのか?という明確な機序はまだ解明されていません。
運動が慢性炎症を改善する
そこで運動療法の登場です。
慢性炎症と運動についても研究がされており、概ね運動すると慢性炎症が軽減するといった報告が多いです。
- 免疫細胞の変動に注目した運動による慢性炎症の改善効果 https://is.gd/fcrdMg
- 加齢性慢性炎症性疾患に対する運動効果 https://is.gd/9UGZbZ
特に注目されているのは、内臓脂肪からでる炎症性サイトカイン。
「肥満により肥大化した脂肪組織や脂肪肝では、血中から遊走・集積した単球が炎症性マクロファージに分化してTNF-αなどの炎症性サイトカインを分泌し、脂肪・肝実質細胞のインスリン感受性を低下させる(De Taeye et al.:Am.J.Physiol.Endocrinol.Metab.,2007)」
とあるように、脂肪細胞の肥大化が慢性炎症を引き起こす一因となっており、
その脂肪細胞の肥大化を防ぐ、もしくは解消するために運動療法が必要となってきます。
どんな運動がいいの?
運動療法といえば、ウォーキングをはじめとする有酸素運動とレジスタンストレーニング(筋トレ)が
挙げられますが、どちらがより肥満を解消させるか?という議論は尽きないのが現状です。
最近ではHITTに代表されるような高強度インターバルトレーニングも推奨されており、
運動そのものの効果、トレーニング効果としての代謝向上、さまざまな切り口で運動療法の
効果が示されています。
せっかくやるのなら、より効果の高いものを効率よくやりたいというのが本音。
しかし、それを求めるあまり調べるだけで満足して、実は一歩も動いていないなんてのが
実情です。
効果の高さ、効率性は大切です。でもそれは運動を始めて、かつ継続した人だけが得られる恩恵です。
まずはなんでもいいので運動を始めましょう。
手頃なのはスクワット。椅子に捕まってもいいです。膝が痛いなら、曲げても痛くない角度でOKです。
今なら、密を避けて河川敷や公園でお散歩でも良いです。
とにかく、動き始めること、運動習慣をつけること。それが、慢性炎症を予防・改善する最も近道で簡単な方法です。
あなたは研究が進み慢性炎症を抑えるお薬が出るまで待ちますか?
それとも今すぐ運動を始めて、今から慢性炎症に対する予防・改善に努めますか?
最後まで読んでいただきありがとうございます。
リハカレ認定講師
理学療法士 中嶋 光秀