うっ血性心不全〜合併症・既往歴にあった場合、注意すること〜

心不全は病名ではなく状態

心大血管の施設基準を取得していない病院・施設でも、既往や合併症としてうっ血性心不全を患っている方へのリハビリ介入は多いと思います。心不全は病名ではなく状態を示すものなので、リハビリ介入を行う前に、うっ血性心不全になった原疾患、経緯を事前に把握しておく必要があります。

うっ血性心不全とは?

うっ血性心不全には2つの機序があり、1つは左心不全が悪化して右心不全に移行したもの、もう1つは右心不全単独のものがあります。

左心不全の悪化からくる全身のうっ血

心筋梗塞や大動脈弁狭窄症などにより左室からの血液拍出量が少ない状態になると、心臓の中の血液循環が渋滞します。その渋滞が左房、肺静脈、肺と続くと肺うっ血となり、呼吸困難等の左心不全症状を引き起こします。左室からの拍出量に改善がみられないと、この渋滞がどんどん進んでいきます。つまり、肺動脈、右室、右房と渋滞していくと、心臓が全身から帰ってくる静脈血を受け入れられなくなるので、全身の静脈がうっ血して、体静脈うっ血となります。

右心不全について

右心不全は単独で起こることはあまり多くありませんが、機序は左心不全とほぼ同じです。拡張型心筋症や肺動脈疾患などにより、右房、右室の血液循環が滞ると、その前にある体静脈が渋滞し体静脈うっ血を起こします。

左心不全からのうっ血か、右心不全からのうっ血かで症状が違う

うっ血性心不全と言っても、上記のように左心不全が悪化した状態なのか、右心不全単独であるか?によって症状が変わってきます。また、左心不全、右心不全に陥る原疾患によってもその対応が変わってきます。

うっ血性心不全がどのような機序で起こるかがわかると、リスク管理としてどの疾患を押さえればいいのか、見るべきデータ、禁忌となる運動や中止基準がみえてきます。

安定している慢性心不全も、いつ急性増悪するかわかりません。過度な心負荷をかけないためにも、病態を把握し、運動量のコントロールをしていきましょう。

最後まで読んでいただきありがとうございます。
リハカレ認定講師
理学療法士 中嶋 光秀

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