痛みのデパート的な患者さんに対する1介入〜筋膜性腰痛と診断された例〜

筋膜性腰痛患者の問診

久しぶりに筋膜性腰痛の患者さんの痛みに対する介入を経験しました。休みのフォローだったのですが、来院する度に痛みの箇所、程度が変わり、坐骨神経痛の症状もあるとのことでその都度対応を変えていたそうです。20分しかないので問診が鍵になると思い問診すると、まず運動量が多い。

「ウォーキング1時間、任天堂のWii fit とスイッチのリングフィットアドベンチャーを30分、毎日頑張ってます!!」

今日も1時間歩いてきた後なのでお尻から腿裏まで張りと痺れがあって・・・。とのことでした。臀部は軽く押圧しただけで痛みがあり、ほぼ触れるだけが限界しかし、触れる筋肉には張りはなく、どちらかというと、ポチャっとした筋肉の質。ゆるいという表現がいいかもしれません。運動しているわりに、筋肉に張りがなく、でも本人は痺れやつっぱり感等を含めた痛みを訴えていました。触診での筋の質感が気になったので少し掘り下げて問診すると、多くの既往歴と経過の長さが発覚。

「痛みを我慢して頑張って運動する」患者

元々股関節や脊柱の問題があり、どこに行っても痛みに対しては介入がなく、数年間耐えてきてやっとここで対処してくれたとのこと。しかし、「痛みも少し減ってきたし、でも動かないと治らないと思って今頑張って運動してます!」と、話されていました。このような「痛みを我慢して頑張って運動する」患者さんって、たまにお会いします。痛いまま、痛みを押して運動する。そこには、家族や医療関係者からの、「運動不足による筋力低下が原因で痛みが出る」という、なぜか一般の方にも変に浸透してしまっている全く根拠のない言葉を信じてたりすることも。

自分の体の状況について把握していない

また、自分の体の状況について把握していないことが多いように感じます。そして話を聞けば聞くほど痛みの場所が増えていきます。

どこが本当にどれだけ痛いのか?
どんな動作、関節運動で痛いのか?

それ以前に、

自分の身体・関節はどこまで楽に動かせるのか?
姿勢はどうなっているのか?

ということすらわからなことが多くあります。まずはこの痛みに支配された思考・感覚から脱する必要があります。

 ポイントは「楽」

そのためにもまずは、自分の身体・関節が痛みなく、楽にどこまで動かせるのか
ご自身で動いて感じてもらいます。

その結果、痛みを感じない範囲で動いた時の軽さだったり爽快感だったり、感想を聞きます。

そして、目指すべきはその時感じた感覚をベースに動いていくこと、「楽に動く」ということを提案します。この「楽に動く」ために、杖や他のツールを使っても構いません。

この楽に動くことを「サボってる」と思わせないこと

そして、この楽に動くことを「サボってる」と思わせないこと。ここは家族にも説明が必要でしょう。正しい情報より、身近な信頼できる人の言葉を信じるのが人の常です。家族の「頑張れ」が痛みのループから抜け出せない一因になることもあります。

この方には、自主トレをいくつか提案させていただきました。SLRテストも陽性でかつ、股関節も伸展制限がありましたが、ストレッチでは痛いまま運動することになるので、ポジショナルリリースを提案。また、運動中の軽い痛みならOKですが「運動中に痛みが増えたらその運動を中止する」ことをお伝えして終了しました。

経過を追えないのでその後は分かりませんが、動作確認と自主トレのデモを一緒に行ったあとは、スッキリとした表情で元気にお帰りになられたので、一定の成果はあったかと思います。痛みの経過が長く、にもかかわらずあまり悲観的ではない方は逆に頑張りすぎて「痛みのループ」から抜け出せなくなっている場合があります。

そんな方には「楽に動く」を提案してみてはいかがでしょうか?

 

本日も最後まで読んでいただきありがとうございます。

 

リハカレ認定講師
理学療法士 中嶋 光秀

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