【作業療法士の苦手克服講座】身近で知らないココロのハナシ(8)躁病のリハビリは何をする?何をしない?

躁病のリハビリ

うつ病とあわせておさえておきたい「双極性障害のリハ介入と対応」シリーズ。
今回は「躁病のリハビリテーション」をおさらいしましょう。

これまで紹介してきた内容以外にリクエストや質問がございましたら、気兼ねなくフォームからご投稿くださいね^^

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■実は介入よりも環境設定では?

リハビリテーションとして行えることを調べると、うつ病よりも内容が少ないと思いませんでしたか?

養成校時代も、どちらかといえばうつ病や抑うつエピソードに対する介入が多く、躁病、躁病エピソードへの介入は軽く触れられるだけでした。

実際、介入点と言うより環境設定に関することが目につきませんか?

例えば

      • 「作業療法室に参加のルールを貼っておく」
      • 「介入頻度を少なくして落ち着ける環境を提供する」
      • 「短時間参加から始める」
      • 「基本は行動を見守る」

などです。

個人への刺激を少なくしつつ、双極性障害の特徴である「過剰な気分爽快」と「行動の拡散」を抑制するには、「規範」や「ルール」を明示することで、「社会という枠」の中で生活することを訓練していくことが重要と考えています。

そのため、直接の注意や指摘ではなく、場の設定、環境調整をすることで、病的な行動を抑制しているんですね。

 

■リハ介入ではなく援助を

うつ病の作業療法介入時期

うつ病シリーズの際に紹介した山根先生が作成した図です。
様々な教科書や論文で取り上げられているので、既にご存知の方も多いものですね。

この図は「うつ病の回復過程と各時期の作業療法の役割」ですが、「気分障害の治療」として見れば、回復時期や支援目標に大きな違いはないと考えています。

ただし、「作業療法の役割」は違います。

      • 急性期前期:病棟生活が優先される。
      • 急性期後期:社会的な規範、ルールを明確に示し、非難・注意は回避する。活動への参加は短時間頻回とする。
      • 回復期前期:結果よりプロセスにおける努力を認めていく。
      • 回復期後期:他者感情を共感・理解させ、適切な対人関係を学習させていく。役割を遂行させる。融通性のないパターン、完全癖などの認知・行動も修正していく。

何とも使役表現が多いですね。う~ん……仕方ないのかな……。

ともあれ、「」を設定し、「見守り」ながら、「共感・理解・学習」を進め「社会生活に戻る準備」を積み重ねていくことになります。

 

■具体的には何をする?

うつ病の時にもなかなか具体的にお伝えしづらかったのですが……実は今回もです。

基本的には「適切な活動」を提供することになります。

双極性障害の特性をふまえ、以下のような留意点が挙げられます。

      • 短時間で出来栄え良く完成するもの。
      • 工程が単純明快で破壊的ではないもの。
      • はじめは個人活動。
      • 徐々に他の患者との共同活動へ移行する。

これらを患者さん本人の様子にあわせて組み立てていくので、「これを提供すればいい」という正解はありません。

無理やり例を書くとするなら……

      • 革細工の栞から始まり、工程を増やしていく。
      • 塗装済みまたは塗装なしでパーツの少ないプラモデル。
      • 目的、ルール、やることが明確な小グループの活動。

などでしょうか。

書道も悪くないですが、出来不出来がハッキリしたり、清書で緊張が強くなったりで、見守り側がハラハラしてしまいました。

あくまで参考程度として、その人にあわせて選択できるといいですね。
皆さんも何をやったのか教えてほしいところです。

 

■今回のまとめ

      • 「枠」のある作業を準備する。
      • 「環境設定」で病的な行動を抑制する。
      • 社会生活に戻る準備のため、段階的に「共感・理解・学習」を進める。

その他の精神科作業療法に関連する記事が気になる方は 「まとめ記事」 をご参照ください!

 

今回は以上となります。
随時追記や分類を増やしていきますので、皆さんも是非ご意見やご要望をお寄せください!

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リハカレ認定講師 齋藤 信

 

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■ 参考資料

 

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