東京パラリンピック
現在行われている東京パラリンピック。オリンピック同様、多くの日本人選手が活躍されています。
パラスポーツの中でも比較的ポピュラーなバスケットボールやラクビー、ブラインドサッカーや
ボッチャなどそれぞれ障害に合わせたルールと構成で私たちも一緒に楽しめる種目も多くあります。
私の地元もパラスポーツが盛んな街なので、応援に熱が入りますが、その中でも今回改めて注目したのが競泳。
特に四肢の障害が重度のクラス分けをされた選手たちの泳ぎに驚かされました。
それは、自分の持っている身体条件でいかに速く泳ぐか?ということを突き詰めた、非常に効率の良い身体操作です。
正常動作ってなんだう??
私達が普段取り扱う「正常歩行」や「正常動作パターン」と同様、水泳にも自由形、平泳ぎ、背泳
などの基本的な型があります。しかし、パラリンピック選手の泳ぎをみるととても個性的。
そしてその個性的な泳ぎは、今持ち合わせている身体機能を泳ぎに特化させ、最大限に生かしたからこそ
の形であり、記録に繋がっています。
四肢の欠損で左右差がある選手も、その左右差を利用してバランスを取る側と推進力として使う側と役割を変えたり、
それに合わせた体幹の使い方をしたりと、よりスムーズに速く泳ぐために必要な動きを沢山分析して実践してきたのだと
思います。特に体幹の動きは素晴らしく、非常によく動いています。
パラ競泳の泳法についての詳しいルールは分かりませんが、そのルールの範囲内で最大限の動きを作り出しているのでしょう。
きっと一般的な泳法の型を教えていては、パラリンピックどころか、まともに水泳すらできていないと思います。
動作は自由でいい
私は今回パラリンピック競泳をみることで、ある種の確信を持ちました。
「動作は目的が完遂されるなら、自由でいい」ということ。
障害のせいでできない動き、逆に出てしまう動きもあります。でも、パラリンピック選手に共通しているのは
今の身体でよりよく動くために必要なことを探求しているということです。
セラピストはなぜか「正常動作」「左右対称」という呪縛に近い囚われを持っています。
しかし、そんな私達自身も「正常動作」「左右対称」では動いていません。「動きやすい方法」を選んでいます。
知識としての「正常動作」は大切ですが、「正常動作でなければならない」わけではありません。
今回の機会をきっかけに、障害というものを「悪いもの」から「個性」と捉え、その個性の中でどのように
動作を遂行し生活していくのか?そういう視点も持ってみると、普段の臨床の幅が広がっていきますね。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
リハカレ認定講師 理学療法士 中嶋 光秀