身体は歩行しやすいようにできている
というタイトルの前回。
この立位の構造を受けての今回のお話。
倒立振り子の構造になっている人体。(重心が高く、支持面が狭い)
体重心は足関節よりも前方にあるため、足圧中心も足関節より前方にあります。
回転軸は足関節になるため、静止立位の際は常に前方へ倒れる方向に重力が作用するため、下腿三頭筋が踏ん張って
前に倒れないように制御しています。
静止するために下腿三頭筋が踏ん張っているのなら、前に進むためにはどうしたらいいのでしょうか?
一歩目の重心移動
「歩行開始の制御」によると歩行が開始される直前に、足圧中心が後方にずれることで、重心に重力が作用して前方への推進力となります。
出典:歩行開始の制御 理学療法科学第16巻第3号
https://www.jstage.jst.go.jp/article/rika/16/3/16_3_139/_pdf
この際に起こっているのは、TAの収縮と、下腿三頭筋の弛緩。これによって足圧中心が後方に移動します。
つまり、前に倒れないように踏ん張っていた機能をOffにすることで、「動き出しのきっかけ」を作っています。
出典:歩行開始の制御 理学療法科学第16巻第3号
https://www.jstage.jst.go.jp/article/rika/16/3/16_3_139/_pdf
前に進むために筋力を使っているのではなく、構造上前に倒れやすいようにしておいて、
その踏ん張りをoffにすることで前に勝手に倒れる仕組みが身体の中に備わっています。
これだけをみても歩行って歩行をするための制御プログラムがあるのではなく、
身体の構造自体が歩行を可能にするシステムになっていると考えても不思議ではないですよね?
身体って面白いと思わせてくれるが力学的視点の良いところです。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
リハカレ認定講師 理学療法士 中嶋 光秀