香りと記憶。

こんにちは。
肉の中でも牛肉が大好き、MARTインストラクターの小長谷佳世です。


10月7日、8日にMART上級セミナーが開催されました。

受講された皆様、お疲れ様でした!


筆記試験、実技試験と続き、
皆様どっと疲れていたようでしたが、
最後まで笑顔が見られて良かったです。


受講された皆様がセミナー内で発表された時に、
切り込み隊長(笑)としてお話をさせていただきましたが、
今回のコラムではその場で言えなかった事を、
少し詳しく書いていこうと思います。

 

 

皆さんは、
ある香りを嗅ぐと以前の記憶が蘇る、
という経験をしたことはありませんか?

 

 

こういった現象は、《プルースト現象》と呼ばれています。

 

マルセル・プルースト(1913)による長編小説“失われた時を求めて”の中で、主人公が紅茶に浸したマドレーヌの匂いを嗅いだ瞬間に、幼少期の出来事をありありと思い出す、という場面があり、この場面が印象的に描かれたことから、《匂いとの遭遇を契機として過去の記憶が無意図的に思い出される》現象が、一般的にプルースト現象と呼ばれるようになりました。

 

このプルースト現象を使った研究は以前から多くされており、
香りと記憶についての見解が多くなされてきました。

 

それらの研究から明らかになった事は、

 

 

・香りによって想起された自伝的記憶(過去の記憶の中でも、
その人にとって特に重要な意味を持ち、
自分自身のアイデンティティを形作るような記憶)は、
言語などの手がかりによって想起される記憶よりも、
情動性が高く鮮明であり、
追体験(他人の体験を、作品などを通してたどることによって自分の体験としてとらえること)を伴い、快(ポジティブ)だと感じる記憶が多い。

 

香りによって想起された自伝的記憶は、
6~10歳の出来事が多い。

 

・香りの手がかりと言語を手がかりとした想起実験では、
香りの方が自伝的記憶の想起数が多く、
想起数による年齢差はなかった。

 

・高齢者では若年者よりも、鮮明性などの様々な記憶特性が高くなる。

 

・認知症があっても、馴染みのある匂いであれば、
長期記憶(長い間覚えている記憶)の再認識は健常者と同程度に保持される。

 

・嗅覚イメージ能力(匂い体験により培われたもの)が高いと、
匂いを手がかりに記憶を想起する際に、嗅覚に関する全体的な情報が豊富に利用可能になる。

 

・嗅覚イメージ能力が高いと、
感情喚起度、重要度、想起頻度が高い自伝的記憶が想起される。

 

これらの結果は一部です。

ちょっと難しいですよね・・・、
私も色々と調べながら解釈をしていきました。

 

まとめてしまうと、
冒頭にあったプルースト現象とは、
というところに繋がりますね。


香りで記憶が想起される

ということです。

 

 

と、いう事は、
人間は何かを記憶する時に香りも一緒に覚えているのです。

  

もちろん、
これは年齢や認知症の有無に関わらず、です。

 

 

記憶を想起することは、今まで生きてきた中で、
香りの経験値をどれだけ積んだか、にも関係してきます。


これが、嗅覚イメージ能力というものです。


多くの香りを経験することで、
この匂い、あの匂い、など、香りを手がかりとして記憶を想起する際に、
経験豊富な量から想起しやすくなります。

 

 例えば、
何か大事なテストがある場合に、
普段から何か香りを嗅いで勉強をしていれば、
テスト本番にその香りを嗅いで記憶が想起されやすい、
ということにも繋がるかもしれません。

 

香りと記憶は、私たちが知らない間に関連づけられているのです。

 

 介護施設などでも、
香りを使って回想法を行うことで、よりその効果を発揮できるかもしれません。

 

もちろん、
海馬や嗅覚の神経細胞は再生する、と言われているので、
それらの神経細胞の活性化と記憶の想起を、香りによって可能にできます。

 

そういう部分においても、
香りというのはどんどん取り入れていきたいところです。

 

 

私の勤めている施設では、
嗅覚イメージ能力の向上も目的の一つとして、
アロマも使用しています。

 

記憶の想起を狙うのであれば、
普段から色々な香りを嗅いでみることも大事ですね。

 

今回も、最後までお読みいただき有り難うございました。

 

MARTインストラクター 小長谷佳世

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