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バランス評価の視点とリハビリコンセプト

From.IAIR 福留良尚   バランス能力の評価治療は、患者のADLを高めていく上で重要な課題です。 例えば… 大腿骨骨折による筋力の低下 脳卒中後の麻痺による感覚障害 パーキンソン病のような姿勢反射障害 など、多くの患者がバランスに問題を抱えています。   しかし、臨床場面でバランス評価を行うには多くの時間とスペースを要します。   代表的なバランス検査 リハビリテーションで行われるバランスの検査には、主に以下のようなものがあります。 片脚立位テスト Functinal Reach test(FRT) Time up and go test(TUG) Berg balance scale(BBS)   特にBBSは評価項目も多く、なかなか臨床で使うセラピストが少ないのが現状でしょう。 かといって、FRTやTUG、片脚立位テスト単体の評価では、バランス能力を包括的には見切れないということが指摘されています(Persad CC, 2010)。   これらのテストを組み合わせ、患者のバランス能力を包括的に見ることで、介入前後の変化を点数化し、アプローチの有効性を測ることは重要なことです。データとして蓄積していくことは、我々臨床家として重要な課題でしょう。自分が興味のある分野に関してはデータを取っていき、それを報告することで医療の質を高めていく必要があるはずです。   しかし、臨床の現場では毎日それを行うことがなかなか難しい。1単位20分という時間の中で、評価に時間を使えるのは冒頭2~3分というのが現状ではないでしょうか?そこで、臨床では短い時間の中で患者のバランス能力を把握することが重要になってきます。   患者の動き、例えばリハ室に入ってくるときの歩容、方向転換の際の状態、椅子やベットに腰かける時の安定性などを観察することで、ある程度のバランス能力を推察することが可能になります。これらの動きの観察はTUGのように時間は測れなくとも、同じような動きの評価(立ち上がる・歩き出す・方向転換・座る)になっていますね。   観察したい視点 全体的な動きやバランスを観ることも大切ですが、視点を絞ってみていくことでアプローチにつなげていくことが可能になります。   次の3つの部分の観察は重要です。 股関節 足関節 ステッピング 立位姿勢における安定性は、この3つの部分が担っていると言われ、これを姿勢戦略(ストラテジー)といいます。   股関節を中心に行われる股関節戦略(hip strategy) 足関節を中心に行われる足関節戦略(ankle strategy) ステッピング戦略(stepping strategy)       股関節ストラテジー 股関節戦略とは、バランスを保つ(安定させる)ために、股関節を屈曲させたり、伸展させたりすることを言います。FRTではここの機能を観ることが可能になります。   足関節ストラテジー 足関節戦略とは、足首の底背屈や内外反によって、体を傾けることで姿勢を変え、転倒してしまわないように姿勢の安定を図る戦略です。この戦略は、姿勢の安定化のために先行して働くのが普通で、高齢者はこの戦略を上手く使えなくなると言われています。その代償として股関節を屈曲(体幹前傾)させ、円背姿勢になることで代償的に安定していると考えられます。   ステッピングストラテジー ステッピング戦略は、一歩前に足を踏み出して姿勢を整える戦略のことです。急速に支持基底面を超えて重心が偏移してしまった場合に用いられます。パーキンソン病のような疾患では、この機能が上手く使えなくことが分かります。   特に高齢者の転倒の要因は、足関節戦略が上手く使えなくなることにあります。 背屈可動域 下腿三頭筋、前脛骨筋の筋力 足部のアーチ これらに問題がある場合はアプローチしていく必要があります。   距腿関節の動き、脛骨腓骨間のスライド、立方骨のアライメント調整。 これらのアプローチ方法は下肢セミナーでお伝えしています。   代償戦略 また、これらの戦略が機能しなくなることで、代償的に身体を固めてしまうことがあります。先ほどの円背姿勢もそうですし、膝の変形も発端はこの機能低下によるものと考えられます。ただ単にROM制限があることを問題にするのではなく、どこかを代償するために固定したことで制限が出た、と考えられるようになると、リハビリは対症療法ではなく原因解消の手段になります。   しっかり患者さんの問題点の本質を捉える評価を身に付けていきましょう。   それでは最後まで読んでいただけて感謝致します。     追伸:セミナー日程はコチラ 【IAIRセミナーページ】https://iairjapan.jp/calendar 全国各会場のセミナー申し込みを受け付けております。   ******************************* 一般社団法人 国際統合リハビリテーション協会 理事 IAIR九州 理学療法士 福留 良尚 E-MAIL:yoshihisa.fukudome■iairjapan.jp(←■を@に変換してください) HP:https://iairjapan.jp/ Facebook:https://www.facebook.com/iairjapan/ 個人ページ:https://www.facebook.com/yoshihisa.fukudome *******************************...

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体幹を安定させるためのリハビリテーションプログラム

From.IAIR九州 福留良尚   体幹の安定性は、基本動作、ADLにおいてある意味基盤です。 体幹が安定しているからこそ、巧緻性の高い動きが出来る。   まあ、これは常識ですよね?   しかし、私が新人だった頃は、この安定というものをかなり誤解していました。     安定=静止   こう思っていたんですね。     そのためのリハプログラム、、   筋力トレーニング バランス訓練   「とにかく安定するためには筋力だ」 「高齢だからバランス感覚が落ちているんだ」     高齢者にムチ打って、足りない部分を補うようなリハビリをしていました。   その結果どうなったか?     、、、良くならないんです。   リハ室では出来るけど、普段のADLに全然結びつかない。   何故か?   体幹の安定性とは、剛性を高めることではなく、柔軟性が必要だったんです。 専門的にいえば「選択的筋活動」     例えば、赤ちゃんや子供は筋トレなんてしません。 それでもちゃんと歩くことが出来る。   何故なら、 「多くの筋を選択的に使えるから。」     高齢者や疾病後の患者さんは、体が固くなり、その周囲の筋が機能し辛くなっています。   普通に筋力トレーニングをしたり、バランス訓練をしても、欲しい筋活動が動員されません。     私はこれを 「スイッチが入っていない」 と表現しています。     もちろん脳卒中による麻痺などは別ですよ。 あの問題は脳ですから、今回のテーマからは外れます。     安定した動作を遂行するためには、体の固さをとる、つまり関節の緩みが必要なんです。   固めるのではなく、緩める。   これが体幹の安定性に非常に大切です。   それを踏まえたうえで、、     体幹の安定性を高めるリハビリプログラム   ①深呼吸   先ずは深く、ゆっくりとした呼吸をしてもらいましょう。   可能であれば腹式呼吸が望ましいです。   呼吸によって横隔膜は刺激され、筋膜の繋がりによって深部筋に緩みが生まれます。   必ずゆっくりとした呼吸で、努力的にならないようにしましょう。   努力する=緊張です。   目的は緩めることなので、肩が上がったり腹直筋が緊張してしまうような呼吸では効果は上がりません。     ②手足をブラブラする   ROM-exをすることも必要ですが、患者さんが自主的に行うことで得られる緩みは、非常に有効です。   立位が難しい方は座位でもOKです。   手首足首をブラブラ、指をグーパーグーパーして、動きに滑らかさが出てくるように繰り返してもらいましょう。     ③寝返り動作   末梢の緩みが出てきたら、今度は体幹を緩めていきます。   縦重力位になることで、重力に抗するために緊張していた筋を解放します。   ゴロゴロ寝返りをすることで、普段使われていない筋活動を促すことが出来ます。     この3つを立位になる前や、歩行訓練の前に行うだけで、かなり違いが出てくるのが分かるでしょう。     バランス=静止   もしそう考えていたセラピストさんは、その考えを改めていくことをお勧めします。     関節の固さが強固で全く動かない場合は?   これはもちろん徒手的なアプローチが必要でしょう。   しっかりと介入していかなくてはなりません。     特に大切になってくるのは、骨盤、そして脊柱の柔軟性です。   「骨盤は動かない」   と思っている方もいるかもしれませんが、骨盤は動きます。   脊柱も1つ1つの椎間関節が動くことで、深層にある筋はそれぞれが選択的に収縮してくれるのです。     骨盤へのアプローチはコチラ   https://iairjapan.jp/pelvis     それでは最後まで読んでいただけてありがとうございます。   ***************************************************************** 国際統合リハビリテーション協会【IAIR】 常任理事 九州地区責任者 理学療法士 福留 良尚 E-MAIL:yoshihisa.fukudome■iairjapan.jp(←■を@に変換してください) HP:http://iairkyushu.jp Facebook:https://www.facebook.com/iairkyushu *****************************************************************   【IAIR九州支部Facebookページ】 いいね!を押して連載コラムをいち早くチェック! https://www.facebook.com/iairkyushu/ ...

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