骨盤帯は、腸骨、坐骨、恥骨(以上、寛骨)、仙骨で形成されています。
仙腸関節、恥骨結合で支持されている骨盤帯は、直立二足歩行で移動する人間の下肢と体幹をつなぐ重要な部位であることが既に言われています。
骨盤帯には、下肢の筋群だけでなく、体幹、上肢の筋群も付着していることから、移動能力への貢献に限定されず上肢の活動や姿勢保持に密接に関係を持つことも言われています。
骨盤帯は関節構造的に体幹直立位を保持するだけでなく、筋膜連結を通じて上肢の活動にも寄与するため、人間の動作、生活を考えた時にリハビリテーションとして介入の優先度は高い部位と考えられます。
骨盤(仙腸関節)は以下のように全身に影響しています。
・ 頸部筋緊張の左右差
・ 頸部痛
・ 上腕骨頭の前方変位
・ 腰背部の筋緊張の左右差
・ 大腿四頭筋の高緊張や左右差
・ ハムストリング高緊張や左右差
は、多くの場合、骨盤のアライメント異常が引き起こしているのです。
実際に体験してみることで、実感できると思います。
仙腸関節の変位は、筋連鎖によって頸部や足部まで影響を及ぼしています。
【骨盤調整によって起こる全身の変化】
- 頸部機能(頸部過緊張の緩和、側屈回旋可動域の改善)
- 上肢機能(胸部肩甲上部手部過緊張の緩和、肩関節屈曲可動域の改善)
- 起居動作時の下部体幹分離性の円滑化
- 座位、立位バランス範囲の拡大
- 体幹機能(筋緊張の調整、各可動域の改善)
- 歩行機能改善(スウィング、スタンス共に)
- 骨盤内圧現象による下肢血流量の改善
- 脳卒中後遺症者の下肢痙性の抑制
これらの重要な骨盤に対してどの様な介入を行うのか?
クライアントへの介入は常に『IAIRコンセプト』に基づき、
「ひとを見る」
「マルチファクターに対応できる」
「手段としての徒手療法を用いる」
上記ができることを目的に、
学術に基づいてリハビリ職者専用に作られた『TGA(Tissue Gliding Approach)』を用いた方法をお伝えします。
IAIR concept
IAIR conceptとは、基本的な西洋医学・運動学・解剖学・生理学に加えて、心理面や個人的背景を含めた個別的な物語りを重要視し、複雑に絡み合ったクライアントの要因を抽出して「統合と解釈」していく方法です。
そのために必須のアプローチ法が組織滑走法( TGA : Tissue Gliding Approach )です。
次世代のリハビリ専門職向け徒手アプローチ【TGA】
人体を巡る血液・脳脊髄液・間質液・リンパ液などの循環不全は組織に様々な影響を及ぼし、筋・筋膜のみならず、神経伝達・内臓の働きにも影響を与えることが明らかになってきています。
TGAは主に筋骨格にアプローチを行い、膜組織同士の滑走を生み出し膜組織に変化を出すことで毛細血管や神経組織の解放を可能にする、IAIRがリハビリ専門職専用に創り出したアプローチ法です。


TGAの原理と方法
触診によって得られるこわばった軟部組織の感触は、膜組織間での滑走が生まれないことによる抵抗感が生み出しているとIAIRでは考えてます。深層・表層の膜組織同士の滑走を促す筋骨格へのアプローチを行い、絞扼された毛細血管や神経組織の解放を目指していく方法です。研修会当日はアプローチ法の紹介と実践、そしてそれに様々な学術的解釈を添えて展開していきます。
深層組織滑走法
DTG:Deep Tissue Gliding Approach
骨に付着するような深層膜および関節包などの結合組織に対してアプローチしていく方法です。
浅層組織滑走法
STG:Superficial Tissue Gliding Approach
動作の反復や、持続する同一姿勢の影響などで起こる表層筋組織の機能異常は、痛みだけでなく知覚異常や循環不良といった症状の原因にもなります。STGは表層膜に対してアプローチしていく最善の方法です。
研修会の詳細内容は以下の通りです。
【骨盤テクニックセミナー1】
[講義内容]
- 骨盤の解剖
- 骨盤のアライメントを起因とした全身の筋連鎖の評価と調整法
- 仙腸関節の評価と触診
- 背臥位、側臥位での仙腸関節の調整法
【骨盤テクニックセミナー2】
[講義内容]
- 腹臥位での仙腸関節の調整
- 股関節の調整
- 1日目に習得したテクニックの応用法
- 誤理解の修正と臨床活用上の問題解決
以下、講義資料一部抜粋(転載等は厳しくお断りしています。)
国際統合リハビリテーション協会【IAIR】は2011年より法人格を取得し、全国のリハビリセラピストのべ20,000名以上の成長をサポートしてきた、臨床教育機関です。
当協会では「リハビリセラピストが確実に成長できる」講習プログラムを開催してきました。
この講習会は、その中でも非常に高い評価をいただいている代表的なものです。
【受講者様からのテクニックレビュー】
骨盤調整やインナーをゆるめる手技を初めてから、可動域が劇的に変わった方がいます。これまでほとんど反応がなかったのに追視が増えて表情を感じ、感動しています。終末期でも、変わるんですね。
作業療法士7年目 女性
骨盤DVD購入後骨盤セミナー参加。骨盤DVDを見て実際に行ってみたら、確かに変化が現れました。特に片麻痺の方には股関節1、2を欠かさず行うようになりました。偏側立位や下肢トーン、伸展制限が取れました。今回骨盤セミナーを受講し、触診の深さなどは実際にインストラクターに触られないとわからない部分もありましたが、あらかじめ予習してセミナーに臨めたので良かったです。
理学療法士2年目
パーキンソン病の患者様に股関節と仙腸関節の調整テクニック実施後、腰背筋の過緊張が軽減し、股関節の分離運動に向上がみられた。脚が軽くなり、立ち上がりや歩行も楽になったとの声が頂けた。
理学療法士20年目
骨盤調整で、CVAの方のスタンスもスイングも改善した。
階段昇降も杖での2足1段昇降が、次第に杖での1足1段昇降が可能になった。理学療法士3年目
股関節テクニックを使用し、即時効果がみられ歩行時等に足が動かしやすくなったと言われた。
理学療法士4年目
骨盤セミナー受講後、骨盤の評価をする頻度が増え、骨盤の矯正を土台として使用し、リハビリがしやすくなった。交通事故の方の首の痛みが骨盤の調整によってある程度改善された。
また、腱板損傷の方の痛みも上肢上肢のテクニックをおこなったところ、可動域の改善に繋がった。理学療法士7年目
骨盤セミナーに参加。複合的な整形疾患の患者さんに対して今までどうしたらいいかわからなかったが、セミナーに参加して取り掛かりができてリハビリの幅が広がった。
作業療法士4年目
IAIRテクニックを施行して、患者様から、少しずつですが指名をしていただけるようになってきた。
このまま頑張って結果の出せるセラピストになっていきたい。理学療法士4年目
IAIRは受講生さんの技術習得率を非常に重視しております。
受講される方に対して習得率を上げる為に以下の事柄を推奨いたします。
- 受講時学んだ技術は必ず臨床で使用して下さい。
- 各種DVD教材、講義資料を用いて受講前の予習、受講後の復習を行って下さい。
- 同僚の方と一緒に受講し、職場で毎日10分でもいいので練習会を行って下さい。
*上記の内容に関しては義務ではありませんが、実践する事でかなり習得率が高まることを保証いたします。