どうして上肢のトレーニングはADLに結び付きにくいのか?

2017年11月11日 admin_ccra

こんにちは。

CCRA(脳卒中包括的リハビリテーションアプローチ)関西地域講師の岡澤です。

 

 

上肢のトレーニングに、
積み木を積む練習を取り入れたり、
お箸で豆をつかむ練習を取り入れたことはありませんか?

 

 

僕は今までよくやっていましたし、今でも取り入れることはあります。
しかし、現実はなかなかADL上の変化がみられにくい。
そんな経験をされた方も少なくないと思います。

どうしてなのでしょうか?

先日関西でおこなったセミナーは、アドバンスコース「生活動作編」。

 

主に上肢に対する評価・介入方法についてお伝えしました。

実際のセミナー内容を少し紹介しながら、先ほどの疑問に対し答えていきたいと思います。

 

 

最初に提示したような、
積み木を積む練習

端で豆をつまむ練習

は臨床ではよく目にする光景です。

 

 

このどちらの練習も、ADLに結び付きにくいある共通点があるのです。

 

 

 

それは、運動という一面のみに対する介入であること。

 

 

 

リーチ動作を動作を例に考えてみましょう。

 

 

リーチ動作をおこなうためには、まずリーチする対象物を認識することから始まります。

 

 

対象物と自分との距離感、方向を認識した上で、リーチ動作は始まります。

 

 

認識したら身体は反応します。

 

 

手をリーチするまでにそのような反応が身体には起きているのです。

 

 

反応が起きていない状態なのであれば、リーチ動作はうまく起きてこないでしょう。

 

 

リーチ動作をうまくおこなうためには、認識とそれに伴う反応がなければならないのです。

 

 

これらを通しても、

手を伸ばす出力だけに介入してもリーチ動作がうまくいかないということがわかります。

 

 

 

もう一点リーチ動作に関するものです。

 

 

リーチするには肩関節が屈曲しながら、肘関節を伸展する必要があります。

 

 

共同運動パターンが出現しやすいCVA患者様のリーチ動作は、

肘が曲がった動作になったり、

肩甲帯が上がってしまう動作になりがちです。

 

 

 

そのような共同収縮系の問題には、

単純に筋出力を向上させることだけが、問題解決になるとは限りません。

 

 

より状況に応じた筋出力がおこなえる身体機能を獲得する必要があります。

 

 

とはいえ、ただでさえ思い通りに身体が動かせないCVA患者様です。

 

セラピストが意図した運動感覚を入れることは容易ではありません。

 

 

それを解決する方法が、「身体のつながり」を意識した操作方法です。

 

 

CCRA全般を通してキーワードとなっているのがこの「身体のつながり」です。

 

 

動作の中で問題となっている部分を探る評価も、

この「身体のつながり」をきっかけに進めていきます。

 

 

セミナーではこの「身体のつながり」を受講生の皆さんに感じてもらうこと、

実際に「身体のつながり」を評価・アプローチに活かすことができるようになること、

を目標に構成されています。

 

 

 

アドバンス編に参加いただいた受講生の皆さんからは、

 

「身体のつながりを意識したハンドリングができるようになってきた」

「今まででは考えられないくらいリハビリの効果を実感できるようになった」

 

というお声をいただいております。

 

 

今年のCCRAセミナーはすべて終了しましたので、

来年開催日程はまた決まり次第お伝えします。

 

 

 

ちなみにアドバンス「生活動作編」は今回お伝えしたリーチ動作に関するものの他にも、把握や握ったものを離す動作、

手のひらの中で物品を操作する動作についてなど、

上肢を使った動作を分解して評価・介入方法についてお送りしております。

 

 

 

お読みいただきありがとうございました。

 

 

 

CCRA関西地域担当講師

認定理学療法士(地域理学療法分野)

岡澤 頼宏