脊柱圧迫骨折の禁忌事項といえば
体幹の屈曲を伴う動き。
「圧迫」と名のつくように、椎体に上下からの
圧迫ストレスがかかった時に、骨密度が低いと
椎体が圧壊します。
この上下からの圧力は、主に体幹屈曲動作時に
高まり、有名な物としては姿勢における椎間板に対する
圧力を示した研究があります。
まずはこの圧迫ストレスを避けることです。
次に考えることは、骨折部の安静です。
屈曲動作の他にも、胸椎に圧迫骨折があれば
回旋動作も禁忌になります。
では、なぜ禁忌事項を守る必要があるのでしょうか?
そこには「骨折の治癒過程」が関わっています。
簡単にいうと骨折の治癒過程には
・炎症期
・修復期(仮骨形成期)
・リモデリング期
の3つがあり、
修復期(化骨形成期)が過ぎる骨折から約4週後
までは機械的な刺激に耐えうるまでの骨構造は
得られていません。
https://core.ac.uk/download/pdf/96989573.pdf
〔千葉医学 86:83 ~ 91,2010〕
骨折骨癒合研究の最近の進歩 ― 分子細胞生物学の視点から ―
つまり、この時期に骨折部に過剰な運動が入ると、
骨癒合の遅延を招き、偽関節などを
引き起こす原因となります。
これらのことから、圧迫骨折の急性期〜回復期にかけて
は特に注意が必要となります。
(骨粗しょう症の合併で通常よりも治癒は遅延するはず)
ただ、血流増加による骨折部への栄養付加や
軸方向への機械的刺激は骨折治癒を促す因子になるので
完全安静は急性期で痛みの強い時期のみにした方が
良いと思います。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsma1939/57/3/57_3_269/_article/-char/ja/
[昭和医学会雑誌57巻3号]
骨折治癒過程における仮骨の役割と機械的刺激について
骨折の治癒過程を知ることで、禁忌はなぜ禁忌なのか?
いつ、何に気を付けておけば良いのかがわかると思います。
運動の開始時期や、負荷量、運動方向の指示は
Drとの相談になる部分がありますが、
療法士も今骨折の治癒過程のどの期にいるのか?
骨密度や痛み、基本動作やADLの状況を見ながら
Drとのやりとりができると、良いかもしれません。
在宅や施設でも既往に圧迫骨折を持っている方
もいるかと思います。
今どの期にいるのか?、痛みが増えているか?
骨折を繰り返しているか?などのリスクチェックを
しながら過度の屈曲運動や座り過ぎなどを避けること
を念頭に入れつつ、運動・生活指導、援助ができると
よいかと思います。
禁忌だからといって怖がりすぎず、なぜ禁忌なのか
、今はどの時期なのかを知って、バランスよく
トレーニングを取り入れていきましょう。
最後まで読んでいただき
ありがとうございます。
理学療法士 中嶋 光秀
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