突然ですが質問です!
「安全」の反対語は何ですか???
(*正解は本文中にあります)
とうとう5月になりましたね。
今年は新型コロナウイルスにより新人さんは大変な思いをされていることでしょう。
これまでは、入職すぐに感染予防や事故対策などの研修をじっくり受ける時間も余裕もありました。
ですが、今や緊急事態。
ただでさえ養成校では「感染予防」や「事故対策」を詳しく学びません。
実習でなんとなく大切と体験しても、あくまで体験。
現場に飛び込んで、初めて実感が伴っている事でしょう。
そこで今回から「リスク管理」その入門編を紹介します。
安全の反対語は事故ではない?
冒頭の質問にあなたは何と回答したでしょうか?
「事故」と回答したのでしたら、それは間違い。
安全とは事故がない事ではなく、許容し難い事故がなく、かつ、おそれ(リスク)のがないことです。
予測の範囲内で、安心できること、恙ないことです。1)
うん、少し分かり辛い……かな?
最近では、医療事故(防止)対策委員会から「医療安全対策(確保)委員会」と名称を変えているところもあるようです。
医療事故を防止する為の対策をするのではなく、医療安全を確保する為の行動をすることがカギになります。
じゃあ、そもそも危険って何?
じゃあ、危険って、そもそも何だと思いますか?
今回の新型コロナウイルス、奴は非常に危険ですね。
もちろん生命の危機があるものだからでもありますが、現在の状況が危険を表しています。
現状維持や安定をはかれば危険がないわけではありませんよね。
望む望まないに関わらず、ウイルスの発生(環境の変化)がおきました。
ここで、予定外、予想外の事態が発生しましたね。
新型コロナの話題が出た当初、ここまで狡猾なウイルスと誰もが思っておらず、緊急事態宣言が出るなんて完全に想定外。
そう……
自分や組織が変化しなくても、望むと望まないとに関わらず、環境の変化がおきました。
その時に予定外、想定外の事態が発生した事を「危険(性)」あるいは「リスク」と言います。
その不都合な結果を「事故」、「障害の発生」と呼ぶんですね。
事故をなくすことはできない?
最初に宣言しておきます。
「事故はおこりうるもの」です。
医療事故対策という名の犯人探しや責任追及が行われています。
ですが「事故をなくすこと」はできません!
あくまで事故の可能性を少なくすることしかできないんです。
そもそも「医療」は医療法で定義されていません。
定義していないのではなく、定義できないんです。
日進月歩の科学技術、今回のような緊急事態などの変化に対応するためです。
また、不確実性が医療の特性でもあるからです。
実は医療は不確実
え?医療って不確実なの?
驚いた方も多いかもしれませんね。
だから医療専門職があり、国家資格があるんです。
医療の不確実性に話を戻します。
人は全く同じ存在ではありません。
個体それぞれで生体の反応が違います。
同じ介入をしたからと言って、同じ結果が出て、期待した成果が出るとは限りません。
不確実性の存在を認め、変化に常に対応していくことが医療の特徴なんですね。
安全確保は当たり前?
今回は「安全」を話題の中心に置いて話をしてきました。
最初の質問……
「安全」の反対語は「危険:予定外、想定外の事態が発生すること」
医療は不確実性を持っているので、危険な状況を減らすよう努力し、被害を最小限にとどめることが大事です。
「それが当たり前だ!」
と、強気に言う先輩もいるでしょうが、それは責任感からの言葉です。
きっと
「危険性があることを引き受けている」
という意識があるからですね。
患者さんは期待通りの質が得られる事を期待します。
個別の状況で変化するサービスとはいえ、危険性がない事を「当たり前」として捉えています。
先輩も強気に言うだけではなく、緊急事態宣言のいまだからこそ、「当たり前」のすり合わせをする機会にできたらいいですね。
内容が盛り沢山になってきたので、今回はここまでにします。
今回の内容も順次動画にして配信しますね。
お楽しみに。
(次回につづく)
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引用・参考文献
- 病院早わかり読本 第5版 増補版 飯田修平(2017)
コラム筆者も再版される毎に買いなおしている本です。
医療従事者必読書としてオススメします。
特に新人さんは、現場で教えてもらえないことがあるアレコレが補完できます。
「大きな病院だからできることだろ!」と言う批判もある本ですが、管理職やベテラン勢も誤解している部分を再学習できますよ。
何より、次回はきっとCOVID-19対策が盛り込まれるだろうから、今から楽しみにしている本です。(文責:齋藤)