療養病棟身体リハ

療養病棟で身体リハが?希望の光と闇【作業療法とは?】(09)

1月29日、中央社会保険医療協議会 総会(第448回)が開催されましたね。

その中で「精神療養病棟におけるリハビリテーションの推進(案)」について記載がありました!

とうとう……とうとう精神科で身体リハができるぞ!

 

この基準の改定に伴い、

「やった~!」

と声を上げた方も多いのでは?

 

これまで算定外でサービスとしてやってましたから。

精神科専門療法(精神科作業療法)と同じく加算になる方向なら、始めようとする病院も増えそうですね。

 

これは療養病棟での身体リハは希望の光となりそうな予感。

ということで、「精神療養病棟におけるリハビリテーションの推進(案)」を考えてみます。

 

 

精神療養病棟におけるリハビリテーションの推進(案)とは?

精神療養病棟身体リハ案

この内容がPDFで公開されている「個別改定項目について」から抜粋したものです。

基本的な考え方、改訂案についてよくみてみましょう。

 

 

基本的な考え方

高齢者の健康状態

「精神病棟に長期に渡り入院する患者の高齢化及び身体合併症等の実態を踏まえ、精神療養病棟におけるリハビリテーションの算定要件を見直す」

とあります。

以前の記事でも触れましたが、高齢化や身体合併症があることは精神科作業療法の現場では常に課題となっていました。(https://iairjapan.jp/archives/12400

次の図にあるように、合併症として想定されるものが数字で出てきたのですから、これはどうにかしなきゃですよね。

中央社会保険医療協議会 総会(第434回)2019年11月20日 個別事項その10より
https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/000568660.pdf

 

 

具体的な内容

精神病棟長期入院患者身体合併症リハ

「精神療養病棟入院料について、疾患別リハビリテーション料及びリハビリテーション総合計画評価料を別に算定できるよう見直す」

だそうです。

そもそも精神療養病棟は、主として長期にわたり療養が必要な精神障害患者が入院する病棟として認められたもの……でしたね。

記載の内容をピックアップしていくと……

【精神療養病棟入院料】 [算定要件]

注2 診療に係る費用(注3から注6までに規定する加算、第2節に 規定する臨床研修病院入院診療加 算、地域加算、離島加算、精神科措置入院診療加算、精神科措置入院退院支援加算、精神科地域移行 実施加算、医療安全対策加算、感染防止対策加算、患者サポート体 制充実加算、精神科救急搬送患者地域連携受入加算、データ提出加 算及び薬剤総合評価調整加算、区分番号H000に掲げる心大血管 疾患リハビリテーション料、区分番号H001に掲げる脳血管疾患等リハビリテーション料、区分番 号H001-2に掲げる廃用症候群リハビリテーション料、区分番号H002に掲げる運動器リハビリテーション料、区分番号H003に掲げる呼吸器リハビリテーシ ョン料、区分番号H003-2に掲げるリハビリテーション総合計画評価料、第2章第8部精神科専門療法に係る費用並びに除外薬剤・注射薬に係る費用を除く。) は、精神療養病棟入院料に含まれるものとする。

この下線部分が今回の改訂案です。

う~ん……ごっちゃり。

 

 

身体リハがようやくできるぞ!?

施設基準届け出数

「身体リハがようやくできるぞ!」と、手放しで喜びたいところですが、ちょっと待ってください。

今回、疾患別リハと評価料について加算がされるわけですが、これらを個別にみたことはありますか?

  • 区分番号H000に掲げる心大血管疾患リハビリテーション料
  • 区分番号H001に掲げる脳血管疾患等リハビリテーション料
  • 区分番号H001-2に掲げる廃用症候群リハビリテーション料
  • 区分番号H002に掲げる運動器リハビリテーション料
  • 区分番号H003に掲げる呼吸器リハビリテーション料
  • 区分番号H003-2に掲げるリハビリテーション総合計画評価料

だそうです。

これらを行うにあたって、少し考えなければならないことがあります。

精神療養病棟でも各算定要件を満たす必要があるんじゃないか、ってことです。

特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて(保医発 0305 第3号 平成 30 年3月5日)https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12400000-Hokenkyoku/0000203034.pdf

 

 

算定要件を満たせるのか?

疾患別リハ概要

さて、また厚労省のデータを引っ張り出してきました。

図にあるのは、脳血管等リハと運動器リハの算定要件の一覧です。

さて、この図をみた時点でピンときた方は、少し残念な気持ちになっているかもしれませんね。

機能訓練室45m2以上」って時点でそれをどこに確保しよう……って思いませんでしたか?

療養病棟内の機能訓練室で40m2以上か、病院内に作業療法室等があること。

新たに部屋をどこに確保するのかが課題ですね。

 

以前僕が管理職をしていた病院では、旧基準で作業療法室を作ったため、内寸80m2以上のOT室を4部屋つくりました。

今では、そのうちの1部屋を運動器リハ専用の部屋にしているため、常にその部屋を精神科作業療法の算定面積とは区切って使用してました。たまたま旧基準時にリフォームしたのが結果オーライに。

 

でも、そうそう面積が確保でいるものではありませんよね。

作業療法室を削ることも、新たな部屋を確保することも難しいですね。

 

 

面積だけじゃない?人員は確保できるのか?

運動器リハ

精神科作業療法に従事するOTを身体リハに充当することはできるのでしょうか?

療養病棟に常勤する作業療法士が機能訓練も担うので、基準の(Ⅲ)は確保できそうに見えます。

ですが、本当にそうでしょうか?

現行のルールでは、常勤者が精神科作業療法を算定するには、病棟内での機能訓練の代行として精神科作業療法で充当するやり方をしてきました。

ですが、療養病棟の専従常勤者なので、身体リハの基準と同じく専従常勤者が求められます。

身体リハの基準の文書上「療養病棟」とは書いていませんが、同じ人ではダメ、とも読み取れますね。

となれば、新たに理学療法士さんを雇用することになるでしょう。

でも、問題はそれだけではないかもしれませんよ。

 

 

療法士以外に確保が必要な重要人物!?

医師の事を忘れちゃダメです。

図にあるのは脳血管疾患等リハ(Ⅰ)の基準です。

なので、精神療養病棟でいきなり(Ⅰ)の基準を取ろうとはしないでしょうが、基準を上げる可能性を考えるなら、重要な事が記載されています。

当該保険医療機関において、専任の常勤医師が2名以上勤務していること。ただし、そのうち1名は、脳血管疾患等のリハビリテーション医療に関する3年以上の臨床経験又は脳血 管疾患等のリハビリテーション医療に関する研修会、講習会の受講歴(又は講師歴)を有すること。

ね、あなたの病院にいますか?この条件に合致する医師が……

 

とはいえ、(Ⅲ)であれば、

専任の常勤医師が1名以上勤務していること。なお、週3日以上常態として勤務しており、 かつ、所定労働時間が週 24 時間以上の勤務を行っている専任の非常勤医師を2名以上組み合わせることにより、常勤医師の勤務時間帯と同じ時間帯にこれらの非常勤医師が配置されている場合には、当該基準を満たしていることとみなすことができる。

となります。

おそらく、現実的に(Ⅲ)の基準の取得が模索される事でしょう。

これは……非常勤医師確保争奪戦が始まりそうな予感。

精神科のゆる~い雰囲気のままだと大火傷しそうです。

 

 

療法士の立場で現実的な問題は?

心身はモビール

療法士の立場で現実的な問題が一つあります。

基準云々、ぶっちゃけ医事課と医局総出で看護部と事務長を丸め込めば、どうにかできます。

そこではなく、療法士同士で起きる問題……その対処の為の準備が大事です。

療法士の立場で現実的な問題とは……

  • 「精神科作業療法のことを、身障系の療法士が全く知らない」
  • 「身障系リハの実態を、精神科作業療法士が全く知らない」

と言うこと。

「共通言語で話せない」

のが、大きな問題となるでしょう。

まずはお互いにお互いの専門分野を知らない事実を理解し、相手の専門性を尊重しあいましょう。

心身一如と言います。

今更、心と身体を切り離して考えるなんて事をしないでくださいね。
不完全燃焼状態な思考はゴミ箱にポイしちゃいましょう。

 

 

現実問題への対処法

作業活動の場面

精神科どっぷり上がりで、IAIRで組織滑走法®︎(TGA)の講義をしてきた筆者視点で言えば、まず精神科作業療法士の皆さんを底上げしたいです。

僕の経験で皆さんの助けになることでしたら、いくらでもシェアします。

今回の現実問題に対処するなら……

  • 身体リハの最低限の知識を思い出す。
  • 精神科で行われるリハビリテーションについて伝えられるようにする。
  • 精神科作業療法を知る。
  • 身体リハで行われている事を新人が理解できるように伝えられるようにする。
  • お互いの専門性を尊敬する。

この5つです。

基準については、2019年11月に引き続き、先の1月が速報状態です。

これから検討が重ねられ、3月には明確になるでしょう。

 

施設の準備は事務方的には決まってからしか動きません。

 

ですが、知識の収集と、身体リハの勉強今からでも十分できます。

 

まずは、学生時代の教科書を引っ張り出すことから始めてくださいね。

 

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参考・引用


Saito Makoto

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精神科作業療法に従事する。そのなか、臨床実習指導と院内改善指導に携わり、統合的な視点で医療の質向上をマネジメントする取組みを10年にわたり行ってきた。 IAIRに参加することで、病ではなく人をみる視点を手に入れ、同時に組織も人と同じく、病を抱えていることに気づく。共に育む「共育」をテーマに、療法士一人一人が組織に関わるための多角的な視点を持てるよう、人財育成とマネジメントに関する発信を行っている。
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